365日、ジュウニブン ベーカリーの杉窪さんが考える 

【潤いのレシピ】 水が決めてのパン・レッスン(特別編第2回)


PromotionPromotion  / Feb 3, 2021

有名シェフの素材への向き合い方を聞きながら、日々の食から暮らしに潤いを与えるようなレシピを朝・昼・晩と三食ご提案いただく連載企画【潤いのレシピ】。今回は「特別編」として、杉窪章匡さんによる「水が決めてのパン・レッスン」です。

前回は杉窪さんのパンと水の関わりについて聞いてみました。今回から2回に分けてご紹介するのは、「ジュウニブン ベーカリー」でも人気の「ジュウニブン食パン」。これをクリンスイの2種類の浄水器で作り比べるという企画です。

ジュウニブン食パン
はるきらり、春よ恋、TYPE100を使用。湯種に「はるゆたか」。加水率は驚きの120%。

水を含ませる割合が増えれば増えるほど、粉と同じくらい水の選択が重要になる、と杉窪さん。

「加水率が100%を超える、つまり小麦粉と同量かそれ以上の水を入れるのですから、小麦や酵母と同じくらい『どんな水を使うか』は大事です」その実証実験として、今回クリンスイの2種類の浄水を使い、全く同じ条件・レシピで「ジュウニブン食パン」を作っていただきました。

今回の実験のために、特別に2箇所に浄水器を設置しました。まず一つ目は、業務用浄水器「MP02-2」。
活性炭フィルターを使用した浄水器で、水道水中の塩素除去ができます。またカルキ臭やカビ臭もフィルターに吸着し除去するものです。

二つ目は、業務用浄水器「MP02-4」。

活性炭+中空糸膜(ちゅうくうしまく)フィルターを使用した浄水器で、水道水中の塩素のほか、雑菌、濁りの除去ができるグレードの高いタイプです。この中空糸膜はクリンスイの心臓部とも言えるもの。糸の壁面に網目のような無数の孔があり、0.1μm(1/10000mm)の粒子も除去します。

パン作りをする前に、この2種類の浄水を杉窪さんに飲み比べていただきましょう。いかがでしょうか?

「…うん。MP02-2の浄水の方が、パンがおいしくなります」確信を持った様子の杉窪さんに、取材班一同驚きを隠せず。なぜならろ過精度としてはMP02-4の方が高いからです。

「お米を炊くのであれば絶対にMP02-4だと思います。雑味は米の味を邪魔しますから。でもパンの場合、MP02-4の水だとあっさりしすぎてしまい、僕の目指すパンのうまみが出ない。それぞれのパン屋さんには目指す味があると思うので一概には言えませんが、少なくとも僕のパンにとっては『複雑さがある水』の方がいいんです。論より証拠、早速試してみましょう」

「ジュウニブン食パン」は湯種を使った食パン。湯種とは、小麦粉に熱湯を入れて、デンプンをβ化させた(糊化させた)もの。タンパク質が糖に変わることで甘みが増すと同時に、しっとりとした食感のパンが作れます。

まずはボウルに、はるきらり(中力粉)をふるい入れ、熱湯を注ぎます。

ゴムベラで混ぜて生地がひとまとまりになったら、ビニールに包んで冷まし、冷蔵庫で一晩冷まします。

「ここで2つの湯種を味見してみてください」と杉窪さん。
ちぎって食べてみると……違う! MP02-4使用の湯種は平坦な甘みが、MP02-2使用の湯種はコクを感じます。

「もう既に違うでしょう? これを一晩置くと、さらに違いがありますよ」杉窪さんが笑い、前日に同じ条件で仕込んでくれていた湯種を出してくれました。

一晩経った湯種も同じく味見してみると、やはり全然違う。「旨味や複雑味の違いが水で生まれていることが、よくわかると思います」

さあ、いよいよ生地作りです。ミキサーに湯種と小麦粉、バターを入れ、バターの粒に粉をまぶせる、いわゆる「サブラージュ」をし、そこから他の材料や水を加えてグルテンを出していきます。

そういえば、ジュウニブン ベーカリーには、他のパン屋の厨房でよく聞く音があまりありません。そう、タイマーの音です。

「低速で何分とか、測っていないんですよ。数字には頼らない。なぜなら小麦粉は農産物だからです。つまり、その年、その時で常に状態が一定ではないということです。お菓子の世界からパンを始めたとき、僕はずっとミキサーを見つめていました。生地が変化する状態を見ていたんです。そうすると次に移るタイミングがわかる。タイマーに頼ると、生地の見極めをせずにシステマティックに作業してしまい、出来上がりにムラができてしまうんです」

様々な実験をしてデータを溜めて分析する反面、五感も同じくらい大切にする。このバランスが杉窪さんのパン作りのオリジナリティを支えています。

「感覚はぶれやすいって人は言うかもしれない。でも反対なんです。生地の仕上がりを視覚として覚えていた方が、誰がやってもぶれない。そして伝えやすい。365日やジュウニブン ベーカリーで、僕がいなくてもぶれないパンを提供できているのは、この共有ができているからなんです」

最後に氷を生地に入れ、低速でゆっくりと回し、氷を生地に溶かし込んでいきます。氷の音がしなくなったら生地作りは終了。ビニールに包み、0℃で一晩寝かします。

前日に同条件で作ってくれた生地を取り出します。ビニールを開くと色の違いは歴然! これには取材陣一同、息を飲みました。

ろ過精度の高いMP02-4使用の生地(写真右)は明るいクリーム色なのに対して、MP02-2使用の生地(写真左)はグレイッシュなクリーム色に。

「焼成前の生地なので試食には向きませんが、実はこの時点で生地の味わいはかなり変わっています。でもそれは焼成後のお楽しみにしましょう」と杉窪さん。

次回は2種類の浄水を使った「ジュウニブン食パン」食べ比べの顛末と、その後の水についてのディスカッションです。どうぞお楽しみに!

杉窪章匡
1972年石川県出身。[365日][15°C] オーナーシェフ。辻調理師専門学校卒業後、パティシエとしてキャリアを積んだのち、パン職人に。2000年に渡仏、[ジャマン] や[ペトロシアン]などで修業し、2002年に帰国。複数のパティスリーやベーカリーでシェフを務めた後、ウルトラキッチン㈱を設立。
名古屋、福岡、神奈川にプロデュース店を手がけ、東京・代々木公園に自身の店[365日][15°C]をオープン。著書に『「365 日」の 考えるパン』(世界文化社)など。

CREDIT
Photography by Norio Kidera 
Text by Reiko Kakimoto
Edit by Shunpei Narita

Supported by 三菱ケミカル・クリンスイ株式会社

 

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