
おいしい裏話
「時は止まらない」(RiCE No.41に寄せて)
もうそのお店はない。だからリンクを貼れない。
こんな悲しいことってあるかな、と思う。
これで炒めたらもう、なんだっておいしいんだから!と言って彼が私の誕生日にくれたガチョウの油。
よく使っているけれど、賞味期限が今年の5月で。
ああ、このときにはきっともういないんだ、と思うと、泣けてきて使いたいような使いたくないような。
でも使い切ろうと思う。
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『ヨシモトオノ』がある。
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