一晩冷ますのが味のこつ。「スープ・オ・ピストゥー」

【潤いのレシピ】 第 10 回・藤澤進大郎(朝食編)


PromotionPromotion  / Dec 9, 2020

有名シェフの素材への向き合い方を聞きながら、日々の食から暮らしに潤いを与えるようなレシピを朝・昼・晩と三食ご提案いただく連載企画【潤いのレシピ】。今回はフランス・ニースでのレストラン修業を経て、神楽坂の人気ワインバー[ビコック]でシェフを務め、2017年に夫婦でフランス料理のビストロ[松㐂(まつき)]をオープンした藤澤進大郎さんです。コロナ期間中は同世代のワイン生産者の元に通い、畑仕事を手伝っていたという藤澤さん。山梨・明野に通う中で、野菜や料理への向き合い方が少しずつ変わってきたとか。ニース時代から作り続けている「スープ・オ・ピストゥー」を作りながら、どんどんシンプルに削ぎ落とされている味わいの構造について語ってくれました。末尾のレシピもお楽しみに。

以前から山梨や北海道のワインの造り手の収穫手伝いに行っていたという藤澤さん。「その中で、徐々に自分と同じ年齢くらいの人たちが独立して頑張り始めたんですよね。そうした同世代の人たちと何か一緒にできたらなと思って、今年は山梨・明野でワイナリーを建設中の原田純くんのところに通って、畑やブドウ収穫の手伝いをしました。明野は自然栽培をされている方が多く、通っているうちに自分も醸造場の近くで畑をやろうかな、と思い始めて…」と話します。

もともと、自然栽培の野菜ののびのびとした味わいが好きだったという藤澤さん。今は茨城県つくばの『ポム・ド・テール』や、長野県佐久の『藤井農園』、千葉の『テラ・マードレ』から野菜を仕入れているそう。いずれも有機や無農薬で、高品質の野菜を取り扱うところです。

「自然にできているワインを扱っているので、そうしたワインに寄り添う料理を常に頭に描いています。もともとシンプルにと思っていましたが、実際に自分が畑に通うようになって、より削ぎ落として行くことを意識するようになりました」

さて、そんな中での「スープ・オ・ピストゥー」です。これは藤澤夫妻が09年に南フランス、ニース近郊のラ・チュルビという村にあるレストランで修業をしたときの思い出の味。現地では、白インゲン豆が獲れる頃になると作り始めていたといいます。

本場のレシピは塩漬け豚肉でブイヨンを取り、ベーコンや野菜、白インゲン豆をじっくり煮込むというもの。オリーブオイルを入れてバジルをすりつぶす「ピストゥー」というペーストを溶かし込みながら食べます。

[松㐂]をオープンしてからは、豚肉やベーコンを入れずに、岩手県産のホロホロ鳥でだしを取り、豆と野菜の味を引き立てるレシピにしているそう。

「今回、クリンスイのアルカリ水があるので、もう少しソリッドでシンプルな形で作ってみます」。だしを使わず、野菜と豆、ほんの少しの生ハム、そして水だけで作るスープ・オ・ピストゥーです。

開店当時は「より美味しく」を目指していたと、藤澤さんは振り返ります。「今はそれよりも、素材本来の味を引き出すことを意識しています。シンプルにしたいと思った時に重要なのが、素材ひとつひとつの存在感、そしてそれら素材のポテンシャルを引き出す水です。その目線で、野菜も、水も、調味料も選ぶようになっていると思います」

▲ 入る野菜は季節で変わる。この日入れたのはタマネギ、ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリー、カリフラワー、レンコン、カブ、シメジ、菜の花、カーボロネロ

一口大に切った野菜をオリーブオイルで炒めて、塩を2つまみ。水をひたひたより多いくらい入れたら生ハムを加えて煮立たせます。その後、蓋をして煮込みながら、数回にわたり水と塩を加えて味を整えていきます。

今回スープに使うのは北海道産の白インゲン豆。一晩水に漬けて戻し、一度水切りして、新しい水に替えてゆでていきます。

「豆のゆで汁はとてもいいだしになるんです。ゆで水にはクリンスイの浄水を使いましょう。塩をせずにゆでて、形が少し崩れるくらいまで煮えたら火を止めて、塩を入れます。豆の味わいを際立たせたいので、野菜と一緒に煮込むのではなく、食べる直前にスープとあわせます」

▲ 豆の甘みと旨みがゆで汁にも溶け込み、だしなしでも十分においしい! 「アルカリ水だとより食材の味わいが引き出しやすいように感じる」と藤澤さん

ゆで豆の状態で、すでに美味しそうな佇まい!「そう。これにオリーブオイルを少したらせば、イタリア家庭料理のような一品になります。美味しい豆と、その味を引き出す水。この二つで十分。少し食べてみますか?」

豆がゆで上がり、スープができたら、いよいよ仕上げ…ではありません。「ここから一旦冷まします。冷めていく過程で「味がのる」から。フランスではこうしたスープを夜に食べることが多いけれど、これは夜に作って朝に食べるイメージで作ってみました。朝から野菜がたっぷり取れる「食べるスープ」です。液体よりも具材の味に重きを置いたスープ。クリンスイのアルカリ水は、野菜の味の輪郭を残して味わいを引き出してくれるので、このスープ向きと言えますね」

さて、スープを冷ましている間にピストゥー作りです。フレッシュなバジルと松の実をミキサーに入れ、オリーブオイルとつなぎの水を入れてミキサーでペーストを作ります。摩擦熱を冷ましつつ、削ったグラナパダーノとペコリーノを半量ずつ加えて混ぜていきます。

▲ ほどよく混ぜ合ったピストゥーの具合がこちら。具材の舌触りも少し残る程度のペースト状に。「ピストゥー作りも変遷がありますが、今は真空ミキサーを使っています。これだと色が変色しづらい」

食べる直前に小鍋でスープ、豆の水煮を合わせて温めます。

ピストゥーを加えて一煮立ちさせれば完成です。「ビコック」時代は皿の下にピストゥーをしき、その上にスープを注いでいたそうですが、「今は少し熱を加えることでバジルの香りを立たせています」と藤澤さん。

味を強めたり重ねたりすることなく、シンプルに味わいを引き立たせるために生み出された技法なのでしょう。 口に含むと、南仏の豊かな野菜の味わいが想起され、スープは喉を滑り落ちてすとんと胃に収まります。煮込まれた野菜を噛みしめると、優しい旨みがじんわり広がる。徐々に体が目覚めていくようなスープです。

材料(4~5人分)

生ハム 1枚
タマネギ 70g
ニンジン 70g
ジャガイモ 50g
ブロッコリー 30g
カリフラワー 30g
レンコン 25g
カブ 70g
シメジ 10g
菜の花 40g
カーボロネロ 20g
ミニトマト 40g
浄水 1L
オリーブオイル 15g
塩 適量

白インゲン豆
浄水 適量
塩 適量

ピストゥー

バジル(生) 35g
松の実 20g
グラナパダーノ 5g
ペコリーノ 5g
オリーブオイル 75g
塩 ふたつまみ
浄水 適量

作り方

1. スープ用の鍋にオリーブオイルを入れて火にかけ、温まったら一口大に切った野菜(トマト以外)を入れて炒める。塩を2つまみ入れる

2. 水を具材ひたひたよりも少し多めに入れる。アクが出たらすくい取る。

3. 沸騰したら生ハムを加え、味を見て塩をする。おおよその味が決まったら蓋をして弱火で40分ほど煮て、最後の味調整をして火を止める。

4. 小鍋で豆をゆでる。一晩水に浸した白インゲン豆を水切りし、小鍋に移し、たっぷりの水を入れて火にかける。少し崩れる程度まで煮込んだら火を止め、塩を入れる。

5. ピストゥーを作る。バジルと松の実をミキサーに交互に入れ、オリーブオイルと水を足し、ペースト状になるまでかける。

6. ミキサー後は氷水にあてたボウルに移し、グラナパダーノとペコリーノと混ぜる。

7. 仕上げ。小鍋に4.を入れて加熱し、味を調整する。

8. 小鍋に6.を小さじ1程度入れ、味わいを完成させる。トマトもトッピングし盛り付け。

今回、藤澤さんが使用したのは、美味しい水のブランド『Cleansui』のアルカルポットシリーズ「クリンスイCP013」。電源を使わずに、浄水されたきれいなアルカリ水をつくれます。除菌も可能なフィルターで微細な雑菌や赤サビ、鉛までしっかり除去。プロダクトデザイナー柴田文江氏によるポットのデザインは、美しい曲線が印象的。キッチンにも食卓にもすっきりとなじむデザインです。
https://www.cleansui.com/shop/g/gCP013-GR/

藤澤進大郎
1982年、東京生まれ。高校時代に[マキシムドパリ]でアルバイトを経験し、その後フランス料理の道へ。[オテル・ド・ミクニ」で8年間修行し、南フランスや東京のレストラン、ビストロなど各地の名店で腕を磨き、神楽坂の[ビコック]でシェフとして働く。 2017年、生まれ育った中野に[松㐂]をオープン。

CREDIT
Photography by Yayoi Arimoto
Text by Reiko Kakimoto
Edit by Shunpei Narita

Supported by 三菱ケミカル・クリンスイ株式会社

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