2019年インドの旅

ヘリテージホテルでインターン デリーでインド人コックをリクルート (前編)


RiCE.pressRiCE.press  / Sep 17, 2019

RiCE最新号「スパイスカレーの深層」では、『2019年インドの旅』と題し、インドを旅したスパイスカレーの名店オーナーたちに話を聞いた。中でも三軒茶屋[シバカリーワラ]店主・山登伸介さんの旅の様子を、RiCE.pressにて特別にお届け。

「サンフランシスコでインターン」これはスタートアップ志望の若者に限った話ではない。インドでは近年、料理人がアメリカやヨーロッパでインターンするケースがあるという。そして帰国した彼らは、自国の伝統的な調理方法と西欧の文化をミックスさせて、新たな料理の流れを生み出しているのだ。教えてくれたのは、三軒茶屋の人気店[ シバカリーワラ ]の山登伸介さん。毎年のようにインドを訪れている彼が今年向かったのは、「インドの西海岸」である港町のコーチン。そして彼もまた「インターン」をするために現地のレストラン、しかもヘリテージホテルと称されるクラシカルな宿泊施設のキッチンの門を叩いた。

インターン先のホテルの外観。コーチンはオランダのパレスのような雰囲気で、古くからの建物と、リノベーション建築が共存し美しい街並み。

インターンを通して、新しい味を探しにいくのだろうと思いきや、理由を聞いて驚いた。その目的は意外にも「インド人コックのマネジメント」を学ぶこと。インドは何度も訪れているという山登さん、過去の旅は新たなレシピ習得のニュアンスが色濃かったが、お店と一緒に歳を重ねていく中で、次なるステップとして求めたのはより経営的な部分であった。

「移動販売からスタートして、今まで勢いでお店をやってきたような感覚があるから、まだまだ未熟なところがあるんです。お店をどう運営していくかは今でも模索している部分であるから、何かヒントが見つかれば」。その際にインターンという手法を選んだ訳は、「単にレシピを知りたいだけならば、街場の食堂で『キッチン見せてください』ってお願いしたら、インドでは結構見せてくれます。だけど、どんな風に働いているかとか、細かな人の動きの部分は、ある程度の時間がないと見えてこない」と語る。

インターン先のキッチンにて。驚いたのは出汁を仕込んでいたこと。基本的にインドで出汁をとることはしないそうだが、朝厨房に入ると、鶏ガラと香味野菜で出汁をとっていたそう。
まかないを担当していた女性。伝統的なケララ料理を作る人で、彼女が作った料理はどれもレベルが高く、中にはお店でも再現したものも。鍋は平たく蒸発しやすいつくりで、煮込みやソースを濃縮する際に適している。

研修期間は五日間と短期決戦。それゆえ長時間一緒に働くというよりは、軽くお手伝いしながら全員の動きを見るような感覚で厨房に立ったのだそうだ。コック達の仕事ぶりは軽快で、和気藹々とした雰囲気。その裏には、司令塔であるシェフの動きにあったようで、「基本はゆるい感じなんです。ホールとキッチンを行ったり来たりしながら、たまにジョークで笑わせたり。でも締めるところはきっちり締めて、指示も的確に出します。そのバランスがとてもいいんだろうな」と山登さんは分析。自身もチームのリーダーとして[シバカリーワラ]を指揮する立場にある。「明日からすぐに、僕が実践できるか?と言われたらそうじゃないけど、目指すべきリーダー像が見つかった気がして」お店を運営する上での一つの答えを得てインターンを終えた。そして次なる目的地であるデリーへと向かう。 後編へつづく。 当記事はRiCE No.11「スパイスカレーの深層」の記事をWEBサイト用に再編集しています。 RiCE No.11の内容を見る。

シバカリーワラ 東京都世田谷区太子堂4-28-6 2F Tel 080-9432-8200 月曜定休 http://shivacurrywara.jp/

Text by Shunpei Narita
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