小さな駅、美味しい町—Good Local Stations— 003

美味しい手料理と心地良い時間が待っている、駒場東大前[akko]


RiCE.pressRiCE.press  / Jul 15, 2025

世界でも指折りのメジャー駅を擁するビッグシティ東京。でも、単路線で乗り換えのない小さな駅も数多く存在。そんな「小さな駅」にスポットを当て、ローカルな魅力溢れる美味しいお店と出会うシーリズ「小さな駅、美味しい町—Good Local Stations—」。

👉これまでのエピソードはこちら
001 駒場東大前[888]で出会う新しい家庭の味

002 お気に入りのワインを見つけに、駒場東大前[WINE&SUNS]へ

1930年代から60年代まで東大航空研究所があったことから名付けられた、東大駒場キャンパスの裏手を走る航研通り。季節によって表情を変える並木道が続き、地元の人の散歩コースとして愛されている。そして、さまざまな飲食店が軒を連ね、食べ飲み好きを魅了する通りでもある。中でも[フレッシュネスバーガー]一号店(富ヶ谷店)の横にあるオレンジ色のビルには飲食店が3店舗入居していて、航研通りの注目スポットだ。今回紹介するお店はそのビルの3階にある[akko]。

階下には前回紹介したワインショップ[WINE&SUNS]がある

ホームにしたくなる、あっこさんの温かい居酒屋

2023年8月にオープンした[akko]は、店主の森山晃子さんが一人で営む居酒屋。元々は事務所用に建てられた物件のため、店の奥にはバスルームもある。それもあってか、広めのカウンターキッチンで料理をする森山さんをみていると、まるでご自宅にお邪魔しているかのような感覚になってくる。

木を基調とした開放的な店内には、カウンター席が7席と4人掛けのテーブル席が2つ。仕事終わりに一人で訪れる人や、友人や家族でわいわい過ごす人など、温かく落ち着いた空間の中でそれぞれの楽しみ方が叶うお店だ。

店の一角に飾られた古着は購入できる(店内利用の方限定)。旦那さまのアパレルブランドの取り組みの一つとして、古着の売り上げの一部を動物の保護団体に寄付している

開業以前は経理の仕事をしていた森山さん。50歳を迎える節目の年に、かねてより抱いていた“お店を開きたい”という夢を実現させた。住み慣れた地域で、そして自転車で通える距離を条件に物件を探していたところ、一軒目にここと出会った。

「お店を始める時は、素人が一人でお店をやるってことに対して不安や怖さもありました。でも、このビルや近隣の人たちがすごく助けてくれて。本当にこの場所に出会えてラッキーだと思います」

店主・森山晃子さん

テナント同士の助け合いや交流が盛んなビルだからこそ、自然と仲は深まり、お客との繋がりも増えていったという。時には、ビル2階にある[WINE&SUNS]のワインとワインに合うお惣菜をピクニックセットとして販売するなど、楽しい時間が過ごせる街のコミュニティスペースのようでもある。

「プロの味とは違って、私が好きな家庭的な味を出すことしかできないけど、それを美味しいって食べてもらえることはすごく嬉しいです。気張らずに、気楽に、一人でもお友達とでも家族とでも来ていただいて、楽しんでもらえるお手伝いができたら良いなと思っています」

懐かしくて新しい料理にお酒が進む

元々食べること飲むことが好きで、料理をするのが日常の癒しだと話す森山さん。そんな彼女が作る料理は、食材の組み合わせがピカイチ。「ひじきとえびと茗荷のナムル」や「生ハムとディルのチビおにぎり」など、こんな組み合わせがあったのか!と、早速食卓に取り入れてみたくなるアイデア料理もあれば、「竹の子の土佐煮」や「どんこ椎茸出汁の筑前煮」などの家庭的な料理もある。どんなジャンルも作ってしまう森山さんだが、自分が好きな料理だけを提供するというマイルールがあると教えてくれた。

メニューは週替わり。ラインナップは訪れた時のお楽しみ

ししゃもとチーズしそ春巻き(2本、¥900)。しらすとクレソンとキウイのサラダ (¥900)

メニューボードに書かれた目新しい料理や家庭的な料理の中から、この日は2品を注文。まずはお酒が進むこと間違いなしの「ししゃもとチーズしそ春巻き」。下味が重要なイメージの春巻きだが、こちらはししゃもとチーズの塩気を活かし、味付けはしていないそう。ほどよい塩味とししゃものホクホク感、パリッとした生地の食感に食欲が掻き立てられる。

揚げ物の相棒に注文したのはお店定番の「しらすとクレソンと季節のフルーツサラダ」。この日はキウイだったが、苺や無花果、柿など、その時期ならではの味わいを楽しめる。クレソンのほどよい苦みとキウイの爽やかな酸味の相性は抜群。オリーブオイルと塩のみで仕上げたシンプルな味わいで、いくらでも食べられてしまう。

料理に限らずお酒の種類が豊富なのも嬉しいポイント。ビールや日本酒、焼酎、ワイン、時にはマッコリなど、食べ飲み好きな森山さんが吟味して選んだお酒が揃っている。中にはお手製のシロップを使ったレモンサワーもある。甘さ控えめだからさっぱり飲めて、どんな料理とも相性がいい。ちなみに、[WINE&SUNS]で選んだワインを[akko]に持ち込んで、おつまみと一緒に飲むこともできるそう(持込料別)。間違いなくこのビルならではの贅沢な楽しみ方だろう。

温かい街の、温かい店

駒場エリアは、森山さんにとって住み慣れた土地。一度住んだら離れられないという街の魅力を伺うと、「本当に暮らしやすいですし、人もいいし気もいい。この地域に住んでいる方々とお話しすると、みんなそうおっしゃいますね。優しい人が多いから離れないって方も多いと思いますし、人が街の雰囲気を作っているんだなと感じてます」と話し、店を始めてからは人の優しさをより肌で感じているという。

[akko]で過ごす時間は心とお腹がほっと安らぐ。仕事終わりにふらっと立ち寄って疲れを癒したり、仲間を連れて楽しい時間を共有したり。どんな場面にも寄り添ってくれる美味しい料理と心地良い空間に、きっと気持ちが満たされる。

✅この記事のPOINT🍽️🍶
・どんなお店?
東京・駒場の航研通り沿いにある、店主・森山晃子さんが一人で切り盛りする家庭的で温かい居酒屋。2023年8月オープン。“帰ってきたくなる場所”として地元の人から愛されている。

・店内の雰囲気は?
木を基調としたあたたかく落ち着いた空間。カウンターとテーブル席があり、一人でもグループでもくつろげる。まるで誰かの家に招かれたような居心地の良さがある。

・料理の特徴は?
“自分が本当に好きな家庭の味”をベースに、創意工夫が光るメニューを提供。素材の組み合わせが新鮮で、お酒に合う料理が豊富に揃っている。また、旬の食材を活かしたメニューは週替わりで提供される。

・飲み物の特徴は?
ビール、日本酒、焼酎、ワイン、マッコリなどジャンルが豊富。自家製シロップのレモンサワーや、2階にあるワインショップ[WINE&SUNS]のボトル持ち込み(持込料別)もOK。

akko
東京都渋谷区富ヶ谷2-23-5 アルコーブ3FGoogle Maps
火〜金 18:0023:00L.O 22:00
18:0021:00L.O 20:00
日月定休
※定休日は変動する場合もあるため、ご来店の際はInstagramをご確認ください。
IG @akko_tokyo_

Photo by Tatsuya Hirota(写真 廣田達也)IG @pppanchiii
Text by Megumi Bunya(文 文屋めぐみ)
Edit by Yoshiki Tatezaki(編集 舘﨑芳貴)
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