開化堂、朝日焼、金網つじを繋ぐ茶の絆

【注文受付終了】ご好評につき増産決定! 「茶の閒」セット


RiCE.pressRiCE.press  / Mar 5, 2021

こちらの商品は注文受付終了致しました。

RiCE ECにて、[金網つじ]の茶こし、[朝日焼]の茶碗、[開化堂]の茶筒の三点に、[EN TEA]が特別にブレンドした茶葉と、宝蔵寺「髑髏図」の特別カラー手拭いをセットにしたスペシャルボックス「茶の閒セット」が発売中です。

ご好評につき7セット限定での増産が決定しました! こちらのセットが生まれたバックストーリーを、RiCE15号 『お茶の時間 Art of Tea』に掲載しましたが、改めて多くの人に読んでいただきたく、RiCE.pressにて特別公開します。

*販売中のセット内容はページ下部の商品詳細をご確認ください。記事中で紹介したものと一部異なります。

開化堂の茶筒、金網つじの茶こし、朝日焼の茶碗ーーこの三点がぴたっと合わさる佇まいの気持ち良さはどうだろう。これらは一昨年夏、大阪で開催されたG20に伴う配偶者(ファーストレディ)たち19人を招いての京都・東福寺で行われた昼食会で披露され、各自特別にブレンドされたEN TEAの茶葉とともにセットでお土産として手渡された。在り方も含め新しい道具はいかに生まれ、普遍性が宿らされたのか。セレモニー全体のクリエイティブディレクションを担当した[EN TEA / GEN GEN AN 幻]丸若裕俊と職人代表で[開化堂]八木隆裕に振り返ってもらった。

模倣の先に伝統は絶対生まれないし、文化も生まれない(丸若)

―今回ご一緒して、京都での皆さんと丸若さんとの信頼関係の厚さを実感しました。

八木 丸若さんともそうなんですけど、やっぱり一緒にいれる仲間というのがなんとなく鏡のような存在で。そういう面白い人たちが近くにいて、自分にしかない部分ってなんだろうというところを見ていくことができる。そういう存在であるということは、自分を高めるポイントにもなっている気がします。日本の宗教観というか、やっぱり鏡があって内面に問いかける部分って、実際職人も、時間軸の多様性というか、レイヤーというのはずっと持っていると思うんです。それこそ(朝日焼の)松林さん、16代つながってきたことというのが今あって、絶対それは今までとつながりながら、そこにレイヤーを持っている。単に今生きている世界の多様性を持っているだけではなくて、過去と多様性、そして同時に未来も考えた多様性みたいなものを持っているということはあるんじゃないかなと。

丸若 今日この時を借りて、素晴らしいものをつくっていらっしゃる皆さんというところの切り口――いろいろなメディアでも見るし、ものを通しても、まずそれを感じるところなんですけど。と同時に、もう今回のコロナで如実に実感できたとも思うんです。すごい語弊を恐れずにいうと、人間というヒエラルキーの中で、日本人、アメリカ人とか国境云々で切っていたけど、そうじゃない。価値基準が明らかに違うんだと。その角度から見たグローバルにおいて、地球は一つなんだなと思っているんです。そのときに、例えば八木さんのところ(開化堂)でもそうですが、学んで、吸収して、昇華していくまでというプロセスがしっかり存在している。だけどもう一方、八木さんの茶筒を表面的な部分だけ真似て、簡易的につくることも物理的には可能な時代です。それって模倣だと思うんですけど、その先に伝統は絶対生まれないし、文化も生まれない。模倣だと最終的に劣化になっちゃうから、ムーブメントで終わってしまって、結局何も残らない。そこについてやっぱり、八木さんのところでも130年以上戦ってきたというか、さらされてきたと思うし、辻さんのところ(金網つじ)だって同様だし、僕ですら今さらされていて。松林さんのところ(朝日焼)だと、400年以上さらされている中で、言われたときもあると思うんです。なんでこんな高いんだとか。似てるものが全然安く売っているじゃないかとか。ちょっともう勘弁してくださいみたいなところもあるので。

八木 それをつくり出してきたバックグラウンドということがあって、単に、特に職人というのは値段をつけるのが下手くそだという部分はすごくあると思っていて。それは何故下手くそかというのは、やっぱり自分がやってきたことは自然にできているんです。そのうえで、目の前で手を動かす時間くらいでしか今までは測りようがなかった。でも実際そうやって体幹で紡がれることによって自然発生的に生まれてきたものがあって、今後それをもちゃんとした価値になっていくんじゃないかなと思うんです。3Dプリンタとかにできない、社会的意義のあるものをやっぱり僕たちは生み出していかないといけないし、過去を見たときに、やっぱりそういうものだけが残ってきているというか。

―そうした中、あらためて今回のお茶セットが生まれた経緯を教えてください。道具としての機能、シンプルさ、まとまり、一本筋が通っているところが美しさにつながっている気がしましたが。

八木 実際あれをつくろうとしたときは、グローバルにものを考えるということではなくて、グローバルにいっぱいいろいろなところに行ってきた結果、一番感覚をシンプルにしたときにあのセットになるなと思ったんです。あれだけあれば十分お茶を楽しめるよね。それでいて、職人の今まで紡いできた感覚というのも入っているし、同時にあそこから未来を見ることもできるものになるんじゃないか。ただそこに、僕らの思いだけでは駄目だというのがあって、辻さんと僕とかが、一保堂さんという京都の仲がいいお茶屋さんにも行きながら「こういう道具どう思いますか?」と。僕はお茶屋さんにもいろいろなところがあると思っていて。丸若さんのような、今の人たちに伝えやすくしているお茶屋さんと、いわゆる昔からずっとやってきているお茶屋さんと、僕は両方の意見で良しとした道具であるべきだなと思ったんです。今回のものというのは、単に伝統のものをつくったのではないので、両方の意見を聞きたかった。それでいて、両方面白いねと言われた瞬間に、これって未来があるんじゃないかなというのは正直思ったというのはありました。

丸若 開化堂さんの茶筒とかって、本当に複合的なものなので、いろいろな面を持っているんです。配偶者(ファーストレディ)のものに昇華したものは、彼女たちの気持ちになって 、異文化だけど美しいと思うところはなんなのかというところでけっこうソリッドにした。なんだかわからないけどきれいと思わせないといけないし、ある程度物事がわかっている人だったら使い方が直感的にわかるものじゃないといけない。

八木 実際ものができていく中で、そういう部分を求められたというのは今思い出しましたね。最初真鍮で、何もないところで缶が出来上がっていたのを、漆を塗るというところまで昇華させていったんですけど、そのときにファーストレディたちが持って帰るもの、また携帯できるようなものということだと、バッグであったり、女性にとってそれは武具としての面もある。僕たちがそれを想像して美しいものを用意するという、そういうことを求められたと思っていて。そのときに、松林さんのお茶碗も、薄い紫の灰色になっていき、それに合わせて、辻さんのあの真鍮の茶こしになっていきという、そこがどんどん、今度はまた合っていく。どんどん合わさっていって、最後はあのかたちにまとまっていったということがあったので。

一番感覚をシンプルにしたときにあのセットになるなと(八木)

丸若 お茶は、日本のお茶の場合だったら言っても1年が限度なんです。番茶とかは別ですけど。でもその代わり、1年という凝縮された時間のカレンダーを一気に飲めるわけです。だから、本当は味わいという意味でいうと、その1年間がその人にとってどういう年だったかによって変わるんです。例えば、僕、大殺界で本厄ですと。そうすると、今年できたお茶に対しての思い入れが全然違う。例えばそれが、近しい方が亡くなられた方だったら、その年のお茶は違うでしょうし。例えば結婚した方だったらその年は違うでしょうし。だから一概にこれがどうだこうだというのはおこがましいと思うんですけど。プラス、道具は、時間を超えてさらに100年、200年、400年の歴史を体内に取り入れるという。そのすごさを感じられる気がするんです、今回の道具は。

八木 パッと見て、使ったときに、シンプルで楽しいものができたなというのは、それはすごくありがたかったです。実際、つくっただけで、ちょっと道具として使っただけでは、たぶんこうはなっていなかったんじゃないかな。それを丸若さんと一緒にやることによって、次のステップに持っていってもらった。そこから日常の中にまた落とし込んだときに、先のステップにいったことがすごいバックグラウンドになって、ちゃんと道具として太いものになっていったなという感覚はあります。単にそれは配偶者(ファーストレディ)たちに配られたからというのではなくて、きちんと使われるところに昇華していってもらった。単にものができて、もの珍しく使ったところから、道具としてちゃんと次のステップに押し出してもらったという感じはあります。

―実際特別な場で使われる現場というのを体験されて、そこから見えたものというのも大きいとは思います。

八木 その時というのは、本当ある意味時間であったりとか、フィジカルな面では忙殺されていました。忙殺されていけばいくほど、丸若さんの中で削ぎ落とされていくシンプルさというか、そういうのを横で見ていた感じですね。やっぱりいろいろなものを見てきているし、いろいろな人のことが好きなので、こうしてあげたい、ああしてあげたい。職人さんたちも知っている人たちなので、彼らのことをこうしてあげたいという思いが、やっぱり最初ぶわーっと膨らみながら。でも、当日に向けて、どんどんそれがきゅっとシンプルに線が通っていく感じというのはすごくあって。いい意味でストンと抜け落ちて、これでたぶん明日迎えられるよねという感覚を持って当日にいった感じというのは、すごく僕は横に見ていて面白かったというか。それを道具として支えることができたというのは、すごく職人冥利に尽きるなと思って見ていました。あんまりこういうことは言ってこなかったんですけど、けっこう仲良く遊んできたので。

丸若 その中で、僕たち今回本当にありがたかったのは、食器とか職人がつくった工芸をもとにごはんをつくっていただけた。通常はシェフの方が、自分がつくる料理に合わせてお皿を選ぶ。今回は逆をさせていただいた。お茶に関しても、道具ありきで、そこから今度は来られる方、配偶者(ファーストレディ)たちの好みでお茶が出来上がっていくというところがあって。それは今まで僕たちは経験したことがなかったことで、今回すごくありがたかったこと。それでいて、最終的に一歩引いたところで、お供させてもらえるという感覚というのは、やっぱり職人にとっては一番の晴れ舞台なんだなというのは改めて思った日ではありました。一歩引いたところにある懐の深さというか、そういうのも面白かったです。

八木 実際丸若さん、テーマを月にしましたもんね。裏テーマでしたが。

丸若 はい。やっぱりそれは配偶者(ファーストレディ)という立場を考えた時に、簡単にいえば、やっぱり旦那さんというかプレジデントが太陽であることは間違いなくて。だけど、そこでこそ月の大切さであったり、月の美しさというものを伝えるということがしたくて。そこは日本の美意識の根幹にもつながるというか。

八木 実際、この道具をつくっているときに、丸若さんに話をしてもらったのが、間という字の語源を話していただいて。間が、今は日ですけど、あれが月だった。その門と門の間から見えてくる月の光ということが「閒」として日本人の中の心にある。そういうものをつくってほしいということを、僕たちはテーマとしては受けていたので。

ー確かに、この道具セットにも月の存在感、「閒」のイメージが通底している感じがします。

八木 あとは誤訳をしないようにするのが僕たちのすごく責任になってくるような気がしていて。要はコピーは増えると思うんです。でも、例えばですけど頂点になるようなメゾンブランドにあってある時コピーが増えたのって、いろいろな要素が含まれていて。結局そのブランドが本質的なところを見失った頃にコピーが出てくるという傾向がある。ただのマークになった瞬間、ただのハードウェアになった瞬間に模倣が始まっていくし。そうした時に、裁判だけでかたをつけようということではないと思うんです。裁判に委ねきっちゃったら、その瞬間ビジネスとして勝ってもカルチャーとしては敗北してしまう。結局残るものが残るので、そこは人の文化の中に委ねちゃうほうがいいような気がします。残るものはちゃんと風雪に耐えながらも、そこから何十年したらまだ残っているので。丸若さんのところも絶対そうですし」

RiCE15号 『お茶の時間 Art of Tea』より再編集しています


RiCE ECでは、[金網つじ]の三代目・辻徹が手がける茶こし、[朝日焼]十六世・松林豊斎が手がける茶碗、[開化堂]六代目・八木隆裕が手がける茶筒の三点に、EN TEAが特別にブレンドした茶葉と、宝蔵寺「髑髏図」の特別カラー手拭いをセットにしたスペシャルボックス「茶の閒セット」販売中のセット内容は下記の商品詳細をご確認ください。記事中で紹介したものと一部異なります)を販売中です。

Photography by Masaharu Hatta

 

※注文受付期間:2021219 18:0031918:00
※茶の閒セット、茶筒、茶碗、茶こし、釜炒り茶は全て注文受付締め切り後に製造の上、2021年6月上旬から中旬の発送を予定しております。

 

セット内容の一部商品は単品でも購入が可能です。

■ 茶筒 真鍮 条40g

サイズ:直径39mm 高さ130mm
商品名の数字はお煎茶での内容量を表しております。 中フタは付いておりません。

【お取り扱いにつきまして】
●本品は水分に弱い素材でつくられています。最初に使用する際にも水洗いはしないでください。また、濡れた手で触らないでください。もし水分がついた時は、やわらかい乾いた布ですぐに拭き取ってください。
●冷蔵庫の中は湿度が高く水気が多くなっているため、保管は避けてください。
●毎日、全体を手のひらでよくなでてください。時が経つごとに素材特有の光沢と色の変化が楽しめます。部分的に触れると、ムラができてしまうのでご注意ください。
●フタを開ける時は、できるだけ上の部分を持って開けてください。力を入れずに開けることができます。また、フタの変形も防げます。

茶碗 青磁 CIRCLE TEA INFUSER用

サイズ:直径970mm 高さ450mm
素材:磁器

【お取り扱いにつきまして】
●初めてお使いになる前には、水で軽く洗ってからお使いください。
●ご使用後は、水気をふき取り、よく乾かしてからお仕舞いください。
●電子レンジでのご使用はお薦めできません。

■ 茶こし 真鍮 CIRCLE TEA INFUSER

サイズ:直径87mm 深さ40mm 柄48mm
素材:真鍮・ステンレス

【お取り扱いにつきまして】
初めてご使用になる前に商品に不具合が無い事を確認してください。

ご使用後は台所用中性洗剤で洗って下さい。
ご使用後は十分に水を切って乾かしてから保管してください。
茶こし以外の用途でご使用にならないで下さい。  
強い衝撃を与えないで下さい。
洗う時は手を傷つけない様にご注意下さい。
 
■ 釜炒り茶/50g

原材料:茶(国産)
内容量:50g
賞味期限は約1年間です。
ご利用ガイド / 商品に関するお問い合わせ:info-rice-ec@scdigital.co.jp

RiCE.pressではこれから様々なストーリーをもった商品を企画、販売していく予定です。メール登録いただいた方には最新情報をお届けいたしますので、ぜひこの機会にご登録ください。

CREDIT
Text: Hiroshi Inada
Photography: Makoto Ito

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