エディターズノート

「RiCE」第9号「牛肉」特集に寄せて


Hiroshi InadaHiroshi Inada  / Mar 1, 2019

RiCE の第 9 号は「牛肉」の特集です。ここ数年にわたる空前の “ 牛肉ブーム ”は止まる気配もなく、肉フェスなどのイベントも相変わらず盛んです。ご馳走の代名詞とも言える牛肉ですが、意外にその実態をわれわれは知らないのではないでしょうか。

例えば、牛肉を格付けする際の日本独自の基準から生まれる「A5 信仰」。 A5 はもちろん最上位とされますが、それがすなわち一番美味しいとは限りません。 A・B・Cが表すのは「歩留まり」と呼ばれる一頭からの肉のとれ高で、 5 段階評価が表す肉質等級でもっとも重視されるのはサシの入り具合。つまり食肉業者にとっての商業効率から生まれた指標であって、われわれ消費者からの目線ではまったくない。

では本当の意味で牛肉の 美味しさって何でしょう。牛肉の味は、種類と餌と育て方で決まるそうです。日本を代表する黒毛和牛を筆頭に、世界中に 800 種以上もの様々な牛が飼育されています。草主体で育てるグラスフェッドとコーンなど穀物主体で育てるグレインフェッドに大別され、日本のように牛舎中心で育てるか欧米豪のように大平原で育てるかでも肉質や脂の つき方が全く変わってきます。月齢何ヶ月なのか 、屠畜後の手当ての仕方(ウェットなのかドライなのか)でもガラッと変わる。もちろん最後は料理人の腕次第なのですが 、それぞれの牛肉にもっともふさわしい食べ方がある。

ことほど左様に牛肉は、世界で把握しがたいほど多様に愛され 、食されてきた食文化の極 みなのです。その固まりがちな牛肉観、狭いエリアを抜け出して広大なフィールドで、新しい美味しさに出会ってみませんか?

RiCE編集長 稲田浩

RiCE No.9の内容を見る

イラスト 下田昌克

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