水野仁輔のスパイストリップ

「肯定と否定のステックフリット」 in ニューヨーク


Jinsuke MizunoJinsuke Mizuno  / May 18, 2018

フランス人にとっておなじみのB級グルメ

ニューヨークで食べたステックフリットのレストランが、パリに本店があるそれだと知ったのは、ずいぶん後になってからのことだった。

なあんて、ステックフリットという食べ物の名前をまるで世間の常識であるかのように書いているけれど、知ったのは最近のことである。パリに20年近く住み、食の世界で仕事をし続けている友達の明子さんが、こう言ったのだ。

「最近、ステックフリットを探求してるんだよね」

「へえ! そうなんだ~」

そう言いながら、ステックフリットって何? という疑問を頭の中で静かに浮かびつつ、聞く勇気がないまま話を進めたことは告白しておこう。3分ほど経ってから、「ところでさ……」とふと思い出したかのような言い方で、「ステックフリットってなに?」みたいなバカげた質問をし、教えてもらった。

難しい話はともかく、ステックはステーキで、フリットはフライドポテト。それらがワンプレートに盛りつけられたこのメニューはフランス人にとってはおなじみのB級 (?) グルメだそうだ。

「なるほど、イギリスで言うフィッシュ&チップスみたいなものなんだね」

そう僕が聞くと、

「うん、まあ、そ、そうねぇ……」

肯定と否定が入り混じった微妙な答えが返ってきた。「タレントの○○さんに似てるよね」みたいなセンスのない発言を誰かにしたときのような後味の悪さが残った。そんなことを思い出しながらニューヨークでステックフリットを食べる。後味のいいおいしいひと皿だった。次にパリへ行ったときには、とびきりの店を案内してもらおうと思う。

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