水野仁輔のスパイストリップ

「レンジでチンする青菜のカレー」  in ニューヨーク


Jinsuke MizunoJinsuke Mizuno  / Oct 2, 2018

ニューヨークの飲食店に響くあの音

レンジでチンする音が飲食店から聞こえてきたら、ちょっと寂しい気持ちになるものだ。それが東京だろうとニューヨークだろうと変わらない。「都内の店ならドッチラケだけれど、ニューヨークの店ならいい感じ」だなんて言ったら相当イメージが悪くなるだろう。

ところが、それが起こってしまったのである。

「水野さん、いま、ニューヨークなんですか? 」

何かのSNSで僕が発信した情報を見て、パリでレストランを営むシェフの関根拓君から連絡があった。ぜひ、行ってほしい店があるという。たまたま気になっていたベーグル屋の向かいだったから、足を運んでみる。すると、意外なことにインド料理店だった。

まさかフレンチのシェフからインド料理店を推薦されるとは思わなかったけれど、きっと僕のことを気遣って、面白がってくれると思ったのだろう。店内は狭く、椅子はない。奥に入っていくと右側の壁沿いにやたらと奥行きの狭いカウンターテーブルがある。立ち食いしているインド人がいた。

左側を見ると大き目のガラスケースに3段ほどの棚があって、インド料理が並んでいる。見たところ、パンジャーブ地方の料理の様だ。この地方の人気メニューである “サルソンカサグ (青菜のカレー) ” がある。同じく定番の “マキキロティ (トウモロコシ粉のパン) ” を見つけて注文してみた。

店のおじさんは、それを無造作に器に入れて少し奥に持っていく。ほどなくして、「チーン」というレンジの音がした。アツアツのカレーとパンが手元に届く。ふと思い出して、関根君からのメールの後半をもう一度読んだ。

「その店、面白いんですよ。どんな料理を頼んでも、全部レンジでチンして出してくる」

僕は思わずニヤケテしまった。

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