東京ローカル花見ガイド | 目白台〜江戸川橋〜神楽坂編
ちょっと遠いくらいが、ちょうどいい
神楽坂は知っていても、目白台や江戸川橋は、馴染みがないという人も多いかもしれない。目的地として選ぶ街ではないし、わざわざ降りる理由も、そこまで多くない。
でも、その“ちょっと外れている感じ”がいいのだ。
急がなくていいし、寄り道もしたくなる。人の流れもどこかゆるくて、東京にいながら少しだけ余白がある。このあたりには、早稲田大学、学習院大学、日本女子大学と、いくつもの大学が点在している。だから街にはいつも、少しだけ若い空気が混ざっている。
4月になると、その空気がぐっと濃くなる。新しい生活が始まる人たちが、この街を歩きはじめる季節だ。せっかくなら、チェーン店だけじゃなくて、こういうローカルな店や、歩いて見つける景色も知っておくといい。コーヒーを片手に歩きはじめて、気づいたら川沿いの桜に出て、夜はワインとパスタで締める。
花見って、そういう一日の流れの中にあってもいい。
場所を目指すんじゃなくて、街を歩いた結果、桜がある。
目白台から江戸川橋、そして神楽坂へ。
今日はそのくらいの距離を、ゆっくり歩いてみる。
目白台→江戸川橋→神楽坂 の花見ルート
14:00 Stroll
↓
14:30 目白台運動公園
↓
15:30 ハイウェイ
↓
17:00 江戸川公園
↓
18:00 イタリアワインとお料理 babbo.
14:00 [Stroll] 花見のお供にコーヒーとクッキーをテイクアウト
![]()
まずは目白台の住宅街にあるカフェ[Stroll]へ。
普段は店内でゆっくりするのがおすすめだけど、今日は花見の日。
コーヒーとクッキーをテイクアウトして、そのまま外へ出る。
この“持って歩く前提”の選択が、今日のリズムをつくる。
![]()
[Stroll]のドリンクメニュー。通常のドリップコーヒーに加えて、店主が日替わりでセレクトするTODAY’S COFFEEも用意。ラテにはエチオピア×グアテマラのエスプレッソブレンドを使用している。コーヒー以外のドリンクも人気。
![]()
コーヒーとクッキーの詰め合わせをテイクアウト。持ち歩きにちょうどいいクッキーの詰め合わせはバニラとコーヒー味のメレンゲクッキーに、最近仲間入りしたガレットブルトンヌの3種類。米粉の菓子職人とつくった[Stroll]のオリジナルで、コーヒーに合わせてちょっとずつ進化している。
「ここから江戸川公園まで、ほぼまっすぐなんですよ」
そう教えてくれたのは、オーナーの新貝勇介さん。
このあたりを歩くなら、そのまま流れに乗るのがいいらしい。住宅街からはじまって、細川庭園の緑が見えてきて、やがて右手に川が現れる。椿山荘のあたりでは、料亭の静かな入口がちらっと見えて、気づけば江戸川公園に出る。一本道を歩いているだけなのに、景色が少しずつ切り替わっていくのが面白い。
「桜もしっかり咲くんですけど、人が多すぎないのがいいんですよね」
そのまま江戸川橋を抜けて、神楽坂へ。
無理なく歩ける、ちょうどいい距離感。
でも今日は、まっすぐ進む代わりに左に曲がって、坂を上る。
その先にある目白台公園に寄ってみよう。
カップを片手に、ゆるやかな坂を上っていく。
少しだけ息が上がるくらいの勾配と、春のやわらかい空気。急がなくていい。
坂を上る時間も、街の変化も、全部まとめて今日の花見にしてしまえばいいのだから。
14:30 [目白台運動公園]スポーツ観戦しながらお花見も
![]()
坂を上った先にある、目白台運動公園。区立の公園の中でも広さがあって、中央には大きな芝生の広場がある。テニスコートやフットサルコートもあるので、体を動かす人もいれば、ただのんびりしている人もいる。
タイミングが合えば、スポーツをしている人たちを眺めながら、そのまま桜も楽しめる。ちょっと得した気分になる場所だ。
園内には桜並木もあって、派手すぎないけど、ちゃんと春を感じられる景色がある。
ここでは、さっきテイクアウトしたコーヒーとクッキーを。
ベンチでも、芝生でもいい。
軽く甘いものをつまみながら、桜を見る。
それくらいの花見が、いちばん気持ちいいのかもしれない。
15:30 [ハイウェイ] 桜の季節限定のスイーツを楽しむ
![]()
目白台運動公園で桜を楽しんだら近くのカフェ[ハイウェイ]でひと休み。ナポリタンが人気のカフェだけど、今日はあえてスイーツを選ぶ。
この時期限定の桜のスイーツがあるからだ。
パンナコッタの上にのるのは、[ビッグベイビーアイスクリーム]の桜アイス。ポップな甘さの中に、桜もちの食感がしっかりあって、ちゃんと春っぽい。
名前は「桜ちゃん」と書いて、“おうちゃん”。知人の子どもの名前からつけたという、ちょっといいエピソードもある。こういう軽やかな遊び心も、[ハイウェイ]らしくて好きだ。
![]()
オリジナルグッズも人気。キャップやトート、スウェットは同じエリアの仲間である早稲田[シャッフル]によるデザイン。POPな店の空気を、そのまま持ち帰れる。
![]()
パンナコッタ「桜ちゃん」(おうちゃん)。桜もちが入り春の風味いっぱいのアイスに、自家製の抹茶パンナコッタ、黒糖コーヒーシロップを重ねた一皿。毎日数量限定で、桜の季節だけのメニュー。出会えたらラッキー。
「このあたりって、都心なんですけど空気がちょっと凛としてるというか。静かなだけじゃなくて、どこか文化的な香りもあるんですよね」
そう話すのは、オーナーの平健一さん。
駅からも少し離れていて、お店の数も多くないこのエリアだからこそ、歩いた途中でふっと立ち寄れる場所をつくりたかったという。
花見の途中に、ちょっと休むでも良いし、お腹が空いていればナポリタンやカレーをしっかり食べるのもあり。
店内では[ハイウェイ]オリジナルのグッズも販売しているので、この日の記念にひとつ買って帰るのもよさそうだ。
17:00 [江戸川公園] 神田川沿いを桜散策
![]()
[ハイウェイ]でひと息ついたら、そのまま江戸川橋駅の方へ下っていく。すると現れるのが、江戸川公園だ。
神田川沿いに東西へと細長く続くこの公園は、このエリアの花見のハイライト。川沿いに連なる桜並木は、水面に向かって枝を大きく広げていて、見応えもしっかりある。
でも、不思議と混みすぎない。ちゃんと華やかで、ちゃんと落ち着いている。近くには関口芭蕉庵や椿山荘もあって、歩いているだけで、この街の奥行きを感じられる。
ここでは特別なことはしなくていい。
ただ川沿いを歩くだけで、十分に満たされる。
気づいたら、江戸川橋駅が目の前だ。
18:00 イタリアワインとお料理 babbo. ワインと絶品パスタで花見の1日を締める
![]()
今日の締めくくりは、神楽坂にある[イタリアンワインとお料理 babbo.]。
江戸川橋駅からまっすぐ、歩いて10分ほど。
立ち飲みのワインバーだけど、ここはパスタがとにかく評判がいい。そのギャップも含めて、この店の魅力だ。料理は、立ち飲みとは思えないしっかりしたクオリティ。ワインは、インポーター経験もあるオーナーの菅翔平さんが選ぶイタリアワイン。どちらも気負わず、でもちゃんと美味しい。
![]()
手打ちのパスタ「ピチ・アリオーネ」。トスカーナ・シエナの郷土パスタで、太麺のピチにニンニクとトマトだけのシンプルなソースで和えた一皿。菅さんがずっとつくり続けている定番で、噛みごたえのある麺にソースがしっかり絡む。
お客さんは近隣に住んでいる人が多くて、ひとりでふらっと来る人も多い。カウンターで立ちながら、菅さんとの会話を楽しむのもいい。
奥にはスツール席もあって、少しカウンターから離れた、ちょっとした“こもれる場所”になっている。歩き疲れているなら、ここを事前に予約しておくのもおすすめだ。
歩いてきた一日の終わりに、パスタとワインを一杯。
気づけば、今日見た桜のことを思い出している。
![]()
パスタに合わせて提案してくれたのは、同じトスカーナの「LILIA MARIA LANI Sostanza 2022」。しっかりとした酸があって、コクのあるパスタにもバランスよく寄り添う。
「店がある矢来町の辺りは、神楽坂通りや赤城神社といった神楽坂の中心に比べるとお店の数は多くないんですけど、その分粒揃いのいい店が集まっているエリアだと思います」
そう話す菅さんの言葉どおり、派手さはないけど、わざわざ来たくなる店がこのエリアには点在している。
一度歩いただけでは、きっと足りない。
また季節を変えて、このあたりを歩いてみようと思う。
–
目白台から江戸川橋、そして神楽坂へ。
このエリアは、店の数が多いわけじゃない。
でも、その分ひとつひとつがちゃんと個性的で、わざわざ立ち寄りたくなる店がある。
急がず歩いていると、自然とそういう場所に出会える。
街全体に、ちょうどいいスピードの空気が流れている。
コーヒーを飲んで、桜を見て、甘いものを挟んで、最後にワインとパスタ。その流れごと楽しむのが、このエリアらしい過ごし方だ。
もし時間に余裕があれば、初めに目白駅前の[目白田中屋]へ行くのもおすすめ。店主の栗林幸吉さんに相談すれば、その日の花見にぴったりのお酒を選んでくれるはずだ。
(SHOP INFO)
Stroll
東京都文京区目白台1丁目9−13 1F
8:00〜17:00
水曜定休
IG @stroll_inハイウェイ
東京都文京区目白台3-16-14
10:00〜18:00(月曜は15:00まで)
火・水曜定休
IG @highway_mejirodaiイタリアワインとお料理 babbo.
東京都新宿区東榎町4-2 1F
17:00〜24:00(23:00 L.O)
日曜 15:00〜21:00(20:00 L.O)
不定休
IG @babbo.viniPhoto by Soyo (写真 奏葉)IG @soyoig
Text by Shingo Akuzawa(文 阿久沢慎吾)