一期一食
#30 鮨は、いつも真剣勝負。
僕の先輩のご実家が、九州で料理旅館をされている縁もあり、僕は唐津という街と縁を持つことができました。唐津の町並みや流れる空気がすごく好きで、初めて訪れたときに朝靄がかかった朝の海の景色なんて、本当にそのままあの世に流されるんじゃないかってくらい幻想的だった。白い海って初めて見たんだよね。白い闇のような、見たことが無い海。景色にそのまま溶けてしまうんじゃないかってくらい静かで穏やかだった。
あの景色をまた見たいな。
今回仕事で九州に行くタイミングができたので、ついつい足が伸びてしまった。先輩は東京にいるんだけど、随分リアルに会ってない。なんて不義理な後輩なんだと思いながら、甘えつつ時間が経ってしまった。帰ったら連絡とらなきゃ。
唐津は、茶道家ならば知っている「一楽二萩三唐津」という茶碗の好みを表す有名な言葉があるくらいの焼き物の名産地だ。茶碗も見たいところだけど今回は我慢。
以前書いた鮨の連載で富士酢について触れたけれど、今日紹介するところもその富士酢を使っている名店だ。たまたまギリギリのタイミングで予約が取れてラッキーだった。これも縁だと思う。唐津の名店[鮨処つく田]に久々に行きました。
お店は、カウンター7席。黒を貴重とした内装で、白木1枚の穏やかなカウンターのコントラストが素晴らしい店内だ。照明も美しく、本当に茶室のようなしつらいのお店だ。大将の佇まいがかっこよく、惚れ惚れしてしまう。
正直、お寿司を食べるときはあんまり話したくない。じっくり食べて、じっくりお酒を飲んで、楽しみ尽くしたい。大将の寿司を握る姿に魅了されながら、時間を過ごしたいタイプです。この日は車移動だったのでお酒を飲めなかったのが本当に本当に心から残念でしょうがない。少しだけ解説を。後は、写真が物語っています。
少しだけ低温で火を入れた牡蠣やイカ飯。蕗の薹味噌などお酒のアテになるものばかりで本当にお酒飲みたかった。
後は、写真でぜひ堪能してほしい。
1貫ごとにため息が出ちゃう。思わず数貫プラスでお願いしてしまった。
あっという間の時間でした。次はいつ行けるのだろう。また縁があるのを信じてその時まで待っておこう。
近くに行ったら、行っておけ。会えるときに、会っておけ。見に行けるときに、見に行っておけ。簡単だけどなかなかできないんだよね。今日はそれがきちんとできたのでいい日だった。
- Bassist
濱田 織人 / Orito Hamada
ベーシスト、音楽プロデューサー、クリエイティブディレクター、NPO法人SOMA副代表理事、アトリエリスタ、茶道家。芸術修士(MFA)。スタジオミュージシャンとして演奏活動しながら、作編曲、作詞、プロデュースと幅広く活動。2017年クリエーティブブティック創業後、活動範囲を音楽以外にも拡大し、芸術教育などにも力を入れ始め、NPO運営にも携わる。日本唯一のベースの専門誌ベース・マガジンにて連載経験あり。プライベートでは、裏千家茶道家として初音庵主宰。密かに楽しんでいたサウナの魅力をゆるやかに発信中。サウナ・スパプロフェッショナル。 https://www.instagram.com/oritosroom/
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