RiCE編集チームが特集の裏も表も振り返ります!

RiCE編集部座談会「特集 日本の自由なSAKE」(前編)


RiCE.pressRiCE.press  / Jan 18, 2023

12月6日に発売されたRiCE 1月号「日本の自由なサケ」特集について、編集部とアートディレクター平野暢達さんで振り返り座談会! 見どころ、編集秘話を盛りだくさんに前編・後編でお届けします。

前編では今回の特集の鍵となる“麹”を軸に、キーとなる企画を振り返りました!


「自由なサケ」をつなぐ麹の世界

稲田
まずは手前味噌ながら、力強い号ができたと思っています。日本酒の特集は今まで2回やっていて、前回(No.20 Autumn 2021)から引き続いて浅井さんと神吉さんという日本酒のエキスパートと呼べる二人の編集者に入っていただいて。その話の中で、日本酒だけではなく、焼酎が盛り上がっている、クラフトサケが来ているよねって。「クラフトサケ」はその時初めて聞いたに近いくらいだったけど、その後下北沢でのイベント(102BONUS TRACKで開催された「猩猩宴 in 東京」)があって、めちゃくちゃ熱く盛り上がっていて。「クラフトサケブリュワリー協会」ができたばかりにも関わらずこんなにも人を惹きつける力があるんだなぁと、クラフトサケが本当に来てるのを目の当たりにしたし、リアルタイムに知っていったところがあった。

「麹がつなぐ日本酒・焼酎・クラフトサケ」っていうサブタイトルにもピンときた。酒造りに限らず、醤油や味噌だったり、という言葉ってしょっちゅう聞いてるけど、あまり解像度が高くなかったのが正直なところ。だけど、日本酒も焼酎もクラフトサケもっていうのが一つのマジックワードであり、ブラックボックスにもなっていた。それが、日本酒が好きな人にとっても実は一番知りたいけどあまり知り得ないことだったんじゃないかなと。麹で特集全体を繋ぎつつ、その役割とか実態みたいなものの解像度が少しでも上がったとしたらこの特集を作って良かったと言えるんじゃないかとは思いました。

舘﨑
今回の特集でもいろいろ勉強させてもらいました。日本酒・焼酎という日本のお酒について意識するポイントが自分自身変わった気がします。伝統ということだけでなく、麹を起点にどんどん新しい味が生まれているんだって。クラフトサケがその際たるものと言えるでしょうけど、どのジャンルも全て前向きにイメージが刷新された感じが、個人的に酒飲みとしてもあったなという。

稲田
結局、米に生やした麹っていうのがすごく大事。元来中国から伝わったんだけど、やっぱり粉文化と米をそのまま炊く文化との大きい違いがそこにあって枝分かれしていった。その枝分かれが日本文化、日本食文化の分岐点なのかって思うとめちゃめちゃ面白いなと。発酵とか違う特集の時にも麹っていうのはキーになってくると思う。だから、麹は今後さらに深めていけるんだろうなぁという感じはしますね。

P30「What’s Koji in Sake」より

日本の酒の自由なあり方をレプリゼント

成田
もともとSAKETIMESの副編集長をやっていた内記くんにも、今回の特集では協力してもらって、麹にまつわるあれこれを解説するページを作りました。難しいトピックなので最初は少し硬派な原稿になっていたんですけど。ここは編集の神吉さんと一緒に、どうわかりやすく紐解いていけばいいか、バチバチやって。「お酒に興味があるけどあまり詳しくない女の子に、どうやったら麹のことを興味持ってもらえるの?」とかって。

稲田
内記くんは今回の裏キーパーソンだよね。

成田
そうですね。「神田酒家」っていうシェアハウスを神田駅から5分ぐらいの所でやっていて。

稲田
そこに僕も神吉さんとお邪魔させてもらって。特集内の「若者の夜明け座談会」はここに来てた3人なんですよ。彼ら以外にも15人ぐらい来てたっけ?

成田
そうですね、飲み会ともまたちょっと違う異質な雰囲気ですね。専門用語が飛び交うみたいな。

稲田
冷蔵庫にはお酒がたくさん入っていて、バンバン開けるし、熱燗もするし、鍋も豪華で刺身もどんどん出てくる。内記くんともう一人仕切っている男の子がいて。酒マニアで、間借りで日本酒のお店をやったり、上野の方で魚の卸を手伝ったり、自由にいろんなことをやってる。神田酒家はほぼ毎日の様にやってるみたいで、[Caliquors Tokyo]から3分ぐらいの所。[Caliquors]でまた飲んでまた戻ってくるみたいなこともできるし、すごく不思議な場所です

舘﨑
成田くんと稲田さんで行って、その後にこの企画やろうってなりましたよね。

稲田
まさにそうですね。僕ら早めの時間から行ってたけど、それぞれ少しずつ人が増えていって、最後の方であの3人が揃って長いテーブルの一角でバチバチに話してるんですよ。それがもうめちゃめちゃ化学式。聞いたことのない、宇宙語喋ってんのかな?みたいな(笑)。神吉さんと目を丸くして「やばいね」「彼らは何者?」みたいな。この3人に話してもらったら絶対面白いんじゃないかっていうことで、翌日その話をして、やってもらうことになった。それぐらいのラフなノリでもいいかなぁと。立川くんとか、山口くんとか(メディアには)出てるけど、あんまりこういう出方はしてなかったと思うんです。本当に、クラフトサケもそうだけど、日本の酒の自由なあり方みたいなのをレプリゼントできる機会にはなったかなぁと思ってますけどね。

平野
僕ここ結構好きで、ラフな感じの写真がいいなと思っていました。

稲田
カッコよく撮りたいっていうのはカメラマンの岩本くんにお願いしました。彼はファッションのカメラマンなんですけど。クラフトサケというのが出てきたり、立川くんがファントムブリュワリー「ぷくぷく醸造」っていうのをやってたり、それぞれのバックボーンがあってみたいなのが、新人ミュージシャンが新ユニット結成みたいな感じが出てると思ったんです。だからミュージシャンを撮るみたいに撮ってくださいっていうのはお願いしました。なんとなくそれぞれお酒っていう手段を使った表現者だと思うんで、そういう目線でビジュアル化しつつ取材したってとこですかね。

平野
稲田さんがおっしゃられたようなミュージシャンぽい感じもすごくあって且つ、テーマにもそれが合ってるなって。

P36「若者の夜明け 座談会」より/Photo by Koichiro Iwamoto

舘﨑
平野さんが今回意識したことだったり、他に気になったページはありますか?

平野
今回は日本酒っていうところから、裏に麹があるっていうのが分かって。裏テーマとして「全てがつながっている」っていうところをなんとか上手く表現できないかなって考えながら作っていました。その中でどういう風に区切るのがいいのか、それとも区切らないで全部繋がっている方がいいのかっていうのは実は最後まで模索しながらやっていました。最終的には、全体として同じトーンでまとめて、それぞれが立つというより似てるけど少しカテゴリーが違うっていう感じに。今回は本文の色がひとつだけキーになっていて、いつもよりかは全体的に少しトーンは落ち着いて。ただ、どうしても目立ちたい所とか毛色が違う所は派手にやっていましたね。一応、日本酒は赤。麹はちょっと別としてコラム的に書いてるんですけど、クラフトサケはピンク。焼酎は紫。全体としてマゼンタが入っているっていう共通性を持たせました。印刷の知識がある方にはきっと分かるかなと思いながら作っていました。

舘﨑
そうだったんですね! クラフトサケの扉は複数案いただいて最後あれになったのですが、デザインいただいたときは嬉しかったです。“Craft Sake Calling”っていうのは、「どうも、こちらクラフトサケです!」というような意味合いで考えて、今回のテーマにも合うかなと。“One Step Beyond”というのもMadnessの引用、イギリスつながりで思いついて……別にイギリスとクラフトサケは関係ないんですけど。

平野
タイトル案をいただいた時に、モノクロ人物切り抜きの方がよりいいかなって思ったんです。

稲田
NEXT SAKE COLLECTION」のデザインもすごく良かったと思って。日本酒のセレクトプロセスはどうでしたか?

成田
お酒のセレクトは千葉麻里絵さんと神吉さんと集まって、どれが良いか話し合いました。ラベルがかっこいい、それも良いけれど、ポイントはやっぱり酒質。お酒の味わいだったり、持っている魅力とラベルが一直線上にあるか?がすごく大事だよねっていう。その観点で外させていただいたお酒はけっこうありました。酒屋さんに「今年飲むならこのお酒だよね」っていうヒアリングもした上でまとめているので、定番銘柄というよりも新顔でまとめています。あとは、誰かに贈ったり、そういうシチュエーションを踏まえた気分が上がるセレクトというのは意識しました。味よりもビジュアルの方が記憶に残りやすいと思うし、視覚情報で「パッと見て、記憶して買える」利便性みたいなのはすごいあるなぁって、作りながら思っていました。

P58-59「NEXT SAKE Collection ’22」より/Photo by Kenta Yoshizawa

舘﨑
これ収録している時に隣で漏れ聞こえてくるのを聞いていて。クリエイティブディレクターの太田さんが「デザインっていうのは、そもそも何を表現するかっていう軸がないといけない」という話をされてて。それが審査の一つの基準にもなって、酒質とラベルを行き来して答え合わせをする。それって飲むのが一層楽しくなりそうだなと。日本酒の飲み方はすごいなぁと思って聞いてました。

稲田
太田さんは去年の同じ企画にも出てもらって。クリエイティブディレクターとして色んな活躍をしていて、お酒も好きで。クラフトサケブリュワリー協会のロゴづくりとかトータルのクリエイティブディレクターを務めているんですよね。ここつながってる!みたいな面白さもあった。


まだまだある特集秘話! 後編に続きます!

日本のサケ、麹の魅力が詰まった RiCE No.26 January 2023「特集 日本の自由なサケ 麹がつなぐ日本酒・焼酎・クラフトサケ」は、全国の書店、セブンイレブン、Amazonでお買い求めいただけます。

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