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食文化と住文化、リノベーションの共通項 (バンコク雑感・後編)


Yohei MatsuzakiYohei Matsuzaki  / Jul 4, 2018

タイの寛容な民族性と食文化の関係

聞いた話。〜ヤワラートのチャルンクルン通りは、運河が主要な交通路だった水の都バンコクで「馬車で走れる道路が欲しい」という外国人の要望に応じて、ラーマ4世が建立したバンコク最初の舗装道路〜

そういう古くからあるエリアが発展から遅れ、そして今また再発展のなかにある。昔のバンコクの中心はチャオプラヤ川沿いだったが、近代の発展により中心はサイアムに移っていったようだ。それが今はチャオプラヤ川沿いやヤワラートの発展が著しい、どちらのエリアにも昔ながらのマーケットや長屋が数多く残る地域だ。

このサイアムとヤワラート・チャオプラヤ川沿いの発展の流れを、東京の東西のそれに当てはめてみると重なる部分が見えてくる。今回はヤワラート中心に散策・滞在だったけど、他にもチャオプラヤ川沿いにも面白い所があると連れて行ってもらった場所もあった。

繁華街から離れた場所でタクシーを降りて街灯もないような住宅街を奥へ進んでいくと現れる隠れ家のような川沿いのバー。チャオプラヤ川沿いには大きな資本でやってるようなレストラン・バーしかないという何となくの印象があったけどこんなタイプのバーもあるんだと驚いた。

バンコク在住の友人によると、チャオプラヤ川沿いにアジアンティークという商業施設ができてその辺りからリノベーションというワードを耳にするようになった、2012年辺りだとか。日本と比べてもリノベーションそのものに対しても、オーナー次第という事情はあるが改装の規制も緩く外国人でも場所を借りて改装できる?! という話。そんな事情もヤワラートの盛り上がりにも少なからず影響しているんだろうか?

ここ最近の都市の発展の印象としてリノベーションという言葉がキーワードになっていると思う。そしてここバンコクで感じたのが、リノベーションなどでの発展に対してバンコクの現地の人たちは比較的寛容に受け止めているという印象。ヤワラートのソイナナに行った時もその通りでは古くからある建物に地元の人たちが住み、その中にリノベーションなどで入ったバーやレストランがあって、パッと見たら一瞬、異質なものに見えるがその間にはキチッとした境界はなく不思議と馴染んで調和している。この不自然で、ある意味自然な馴染み具合にはとても惹かれた。

▲ ソイナナにある、バーと上階がゲストハウスになってる建物。写真からは分かりづらいけど良い馴染み具合

一方、東京でこの馴染み具合をだすのはかなり難しいんじゃないかとも思った。その理由として想像できるのがタイの人 (もしくはバンコクの人) の異質や新しいものに対する度量が大きいんだと思う。民族性、とまでは言えないかもしれないが、隣に異質なものがあっても気にしないという大らかさがこういうエリアに独特の雰囲気を与えているんだと思う。

そんな住文化に対してのタイの人の寛容さのことを考えていたら、これは食文化にも共通して言えることもありそうだと気づいた。食 (というか食べ歩き) に関しては今回、屋台にはあまり行けなかったのが悔やまれるところだけど、それ以上に沢山の素晴らしく面白い店にも行くことができた。

▲ ファランポーン駅。終着駅という特性か、上野駅と似たような風情を感じる

そしてそれらの全体的な印象として、前述の異質なものに対する許容度の大きさが要因と思わざるを得ないようなセンス・発想の料理が多かったように思う。それぞれ良い感じで自国料理以外のエッセンスを取り入れて新しい自国料理に昇華させてると言えばいいのか。フュージョンなんだけど、以前クアラルンプールに行った時のフュージョンとはまた違った具合のもの。マレーシアは無意識的なフュージョンに対して、バンコクのそれは意識的なものを感じる。まぁ、行った店によるところも大きいとは思うけど、自分の考えとして、屋台=無意識的なフュージョン、ファインダイニング=意識的なフュージョンの図式とは別のところに今回感じた何かがあると思った。

そして、異質なものに対する許容度が食・住文化に影響を及ぼしているのだとしたらこれは本当に羨ましい話だ。翻って日本、日本はどうなんだ。日本が異質なものへの許容度が低いと感じるのは、日本が単一民族国家というのが一番大きな部分だと思うけど、ただそこ以外でも屋台文化の浸透度が東南アジア諸国に比べて極めて低いというのが無意識的なフュージョンが起こりにくくさせている部分も少しはあると思う。

▲ バンコクでマレーシアンが作る日本酒。このミックス感が堪らない

う〜ん、あまり纏まりのなくて大雑把な考察だけど、たった2泊3日の滞在と後に現地在住の友人からの情報から派生したアイデアだけでここまで色々と考えさせてくるバンコクはやっぱり面白い。またすぐに戻ってくることをひっそりと心に誓い、ドンムアンから帰路へ着くのだった。

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