金沢イタリアン3選 あえて寿司・和食以外という選択肢。
ジビエにワインに [neuron]
金沢の食と聞けば、多くの人が和食や寿司、海鮮を連想するだろう。しかし、金沢がそれだけではないことは言うまでもない。金沢の人が毎日お寿司を食べているわけはなく、イタリアンやナチュラルワインなどは、日常の食文化に溶け込み、奥行きを広げている。なぜなら、クオリティの高いイタリアンが多く揃っているからだ。そこで野菜、魚介、肉が魅力的な3軒を紹介する。
🥬野菜編:野菜に惚れ込んだ[LOTO]
🐠魚介編:魚好きが集まる[PES]
オーナー自ら獲ったイノシシを。[neuron]
金沢一の繁華街、片町交差点を通る中央通り。ここ数年でその北側にポツリポツリとおいしい飲食店ができている注目エリアだ。それをしかける中心人物が、株式会社スペサンのやまもとほうらいさん。イタリアンレストランの[ジブンチ]、カフェ[アイソトープ]、ワインショップ[ボンド]、そして2024年10月に誕生した[neuron]を運営している。すべて徒歩数分圏内にある。
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山本さんが1軒目に手がけた[ジブンチ]は、コース主体の完全予約制。それと対を成すように[neuron]はアラカルトのみでカジュアルな食堂という風情だ。
「コロナ禍を経て、多くの店が予約制やコース主体になりました。でも、自分自身が休みの日に行きたいのは、予約せずにふらっと立ち寄って、好きなものを少しずつつまめるような店だったんです。自分たちが通いたい店がないなら作ってしまおうと考えました」
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「野菜の前菜盛り合わせ」(1200円)
ほとんどの人が頼む定番「野菜の前菜盛り合わせ」(1200円)は、ボリューム満点。スパイスが効いたニンジンのラペ、ゴボウの赤ワイン・フランボアーズとラズベリーのビネガー煮込み、ロマネスコのアーリオオーリオ、石川県名産百万石しいたけとローズマリーのいしる味、カレー粉とコーヒー豆でマリネした山芋のグリル、源助大根のイノシシ出汁煮込み、など。定番メニューではあるが、内容はよく変わるので、いつ食べても驚きがある。
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手打ちパッパルデッレ 猪とゴボウの煮込みソース1900円
店で提供されるイノシシ肉は、山本さんが実際に猟で撃ってきたものが使われることもある。
「結構前から、ソムリエの資格くらいの感覚で狩猟免許を取得していたのですが、あまり行くことはなく『ペーパー猟師』でした。でもコロナ禍に余裕が少しできて、毎日山に行くようになったんです。だんだん獲物が穫れるようになってきて、楽しくなってきました。いまでも週3日は行きますよ」
つまり、タイミングによっては朝採れたイノシシが食べられる。最高の鮮度でお店に届けられるのだ。
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[neuron]のもう一つの大きな特徴が、2階に設置されたウォークインのワインセラーだ。ワインの価格や味わいは、ソムリエに聞かなければわからないという敷居の高い側面がある。そこで「若い世代や初心者が親しみやすいように」客が自らセラーに入り、ボトルを手に取って選べるシステムを導入した。
セラーに並ぶ約300本のワインには、ひとつひとつに味わいの特徴(すっきり、フルーティ、渋味など)と価格が明記されたタグが付けられている。ジャケ買いを楽しむもよし、タグを読み込んで自分好みの1本を探すもよし。セラー内には、バックパッカー向けの安宿のようにノートも置かれ、訪れた客が感想を書き残せるようになっている。
「金沢のワイン人口を底上げしたいんです。サワーを飲んでいた若い子たちが『ワインに挑戦してみようかな』と思える入り口でありたい」
ナチュラルワインを中心に、クラシカルな銘柄まで幅広く取り揃えられたラインナップ。しかしそんなウンチクはここでは似合わない。好奇心の赴くままに選んでみたい。
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オーナーのやまもとほうらいさん
店名の[neuron]とは、神経細胞という意味。
「レストランでは、食材の産地や調理法を細かく説明することが求められますが、ここではあえてそれを控えめにしています。お客様の会話を止めることなく、口に入れた瞬間に『あ、旨い』と感じてもらう。それが、この店が目指す最高の贅沢なんです」
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neuron
石川県金沢市長町2-1-9
月〜金 17:30〜23:30 (フードL.O.22:30)
土日祝 17:00〜23:30 (フードL.O.22:30)
定休日 不定休
090-1493-4994
IG:@neuron_kanazawaPhoto by Hiroki Tagawa(写真 田川紘輝)IG @hiroki_tagawa
Text by Tomohiro Okusa(文 大草朋宏)