金沢イタリアン3選 あえて寿司・和食以外という選択肢。
野菜に惚れ込んだ[LOTO]
金沢の食と聞けば、多くの人が和食や寿司、海鮮を連想するだろう。しかし、金沢がそれだけではないことは言うまでもない。金沢の人が毎日お寿司を食べているわけはなく、イタリアンやナチュラルワインなどは、日常の食文化に溶け込み、奥行きを広げている。なぜなら、クオリティの高いイタリアンが多く揃っているからだ。そこで野菜、魚介、肉が魅力的な3軒を紹介する。
魚介編:魚好きが集まる[PES]
🍖肉編:ジビエにワインに[neuron]
石川の野菜に惚れ込んだ[LOTO]
小さな川沿いに、小粋な雑貨店やカフェなどが並ぶせせらぎ通り。そこに佇むようにあるイタリアン[LOTO]。東京の名店[アッピア]や[ポンテ デル ピアット]で腕を磨いてきた蓮見慎吾シェフが2023年にオープンした。
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シェフの蓮見慎吾さんと、サービスの常田拓治さん
石川に興味をもったきっかけは素材、特に魅力的な野菜だ。
「東京にいたときは鎌倉野菜をよく使っていましたが、石川の野菜にも似た甘みがあると思いました」
本当は、石川の素材に触れて勉強したら、東京に戻るつもりだったという。しかし金沢でお店をオープンするにいたるほど、石川の素材に惚れてしまったのだ。もうひとつの理由は、産地への距離感だ。
「正直にいえば、値段も高いですが、一番いい素材は東京の豊洲市場に集まります。ただし生産者の思いまではなかなか伝わってこない。石川では、生産者と直接話すことができます。実際に農家さんや漁師さんに会いに行って話したり、作業を手伝わせてもらったりして、コミュニケーションを深めました」
それによって素材をより深く知り、調理方法の幅も広がる。東京にいては簡単にはできないことだ。
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お店は18時 or 19時スタートの「シェフのおまかせコース(11,000円)」のみ。前菜2種類、パスタ2種類、魚料理、肉料理、デザートが基本内容。パスタは2種類。[LOTO]のスペシャリテである「トルテッリ」という包みパスタが定番だ。自家製パスタ生地の中にポルチーニクリームが閉じ込められており、芳醇な香りが口いっぱいに広がる一品。
パスタのもう1品は、この季節だと例えばホタルイカと菜の花とトマトのパスタ。スパゲティを使用している。オイルベースで、ニンニクとアンチョビとイタリアのカラブリア産唐辛子のパウダーで仕上げた。
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ホタルイカと菜の花とトマトのパスタ。コースにもアラカルトにも登場する。アラカルトの「本日のパスタ」は5種類ある。2800円〜
「オイルで香りを出してから、ホタルイカの半分はペーストにします。全体をホタルイカがまとうようなイメージです。イタリア料理、特にパスタソースは乳化させることが正解だと思われていますが、僕はあまりやりません。オイルに香りを付けているくらいのイメージです。乳化によって味を丸くするよりは、一口ごとに印象が深く刻まれる印象的な味わいが生まれます」
蓮見シェフは「シンプルに食材を味わってほしい」と言う。そうした調理法はおいしい石川の素材だから実現できることでもある。
「フレンチやイタリアンはかけ算ですが、僕は引き算。和食に近い。食材がいいので、あまり手を加えないほうがいいと思っています。石川の人に、そうしたおいしい素材の、今までとは違う食べ方を提案したいと思っています」
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コースが終了する21時頃になるとアラカルトがスタート。若い世代やカジュアルに楽しみたい人のための時間帯だ。メニューは「ブルスケッタ」「カルパッチョ」「フリット」「パスタ」という大枠の設定で、具体的にはある程度お任せするか、食材などのリクエストをだしてもいい。例えばフリットは魚が多いが、野菜が食べたければリクエストも可能。自分でコースのように仕立てることもできる。
甘エビのブルスケッタ。金沢の[シンタテベイクストア]にオーダーしているフォカッチャを炭火で炙り、甘エビ、マヨネーズ、大葉などを乗せた。「手で食べると口角が上がって笑顔になるので1品目に最適」という。本日のブルスケッタ。1200円〜
魚もおいしいが、海と山が近い石川で蓮見シェフが惚れ込んだのは野菜だった。Farm to Tableのように、野菜を育てる生産者とおいしいものを求める人々を結びつけている。
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LOTO
石川県金沢市長町1丁目4-57
18:00〜24:00
定休日 日曜日+不定休
080-8855-9421
IG @loto_kanazawaPhoto by Hiroki Tagawa(写真 田川紘輝)IG @hiroki_tagawa
Text by Tomohiro Okusa(文 大草朋宏)