連載「発酵粋人」#3

自然の摂理で畑と生きる LaLaLa Farm


Minami AkagiMinami Akagi  / Apr 9, 2026

連載「発酵粋人」。今回は、北海道ニセコ町で農業を営む[LaLaLa Farm]への探訪記です。代表を務める、よっちゃんこと服部吉弘さんの圧倒的な自然観・発酵観を直に学びに12日の課外授業へ。

枝豆、茄子、トマトなどの野菜が実を付け、緑が広がっていた[LaLaLa Farm]。

よっちゃんとは、発酵文化を学ぶオンラインスクール、「麹の学校」を通して初めてお会いし、今回はそれ以来3年越しの再会となる[LaLaLa Farm]への訪問。近くまで赴くと、まるで親戚を迎え入れるかのように、道の駅まで迎えに来てくれました。温かいお心遣いに静かに感動しながら、初めて来た土地とは思えない安心感で畑へと一緒に向かいます。

淀みのない透き通る野菜の綺麗さに、終始どぎまぎ

着いて早々、お腹すいたでしょ?と言って、奥さんの美波さんが用意してくださった、キラキラと輝く野菜の和え麺のランチ。ここで早速衝撃が走ります。

この世で唯一苦手な胡瓜を和え麺の上に発見。輪切りなんて飲み込むのも絶対無理なのですが[LaLaLa Farm]の胡瓜ならいけるのではと一口、また一口そして完食!?青々した香りが一切しない胡瓜への感動体験から授業スタートです。

ラボから配信されるオンライン講座「暮らしと発酵」。

今回、運営されているオンライン発酵講座の配信に重なったので、3年前に受けた講座の振り返りを含め一緒に受講させてもらいます。大多数の人が抱く「発酵」の印象をはるかに飛び越え、人生観も揺さぶってくるような講義。何度受けても良いなと感じ入ってしまったのですが、印象的だったのは「自然や発酵の仕組みを確認するために人間として生きる」というお話。

「発酵には、ハッピーとハッピーの循環が始まるという基本的な仕組みがあります。同様に人間も必ず身体を動かした分だけのものが返ってくるという原理を体感することが重要なんです。私たち人間は、ジャッジしたり、欲に走ったり、怒ったりする。全員未熟でしょ?だから人間をやらされているんです。生きることはお金や名声のような物質のためではなく、好きなことをして実践で確認していくこと。人間は身体を動かし、五感で感じられる。自分がワクワクすることを見つけて実践していくために職業があると思うんです。だから僕はエネルギーの仕組みについて、農業や発酵、人間関係の中で生きている間にたくさん実験していきたい。確かめ切ったら身体はいらなくなり、人間を卒業できるんだと思います」

「発酵=振動することであって、人間は絶え間なく動き続けてゼロになったら死んで空気になる。自然界は必ずゼロという安定に戻りたいものなので、それに準ずると言えますね。生きる目的を知って、法則を知って、それを利用して実践していく。すると、発酵する人生になると思うので、ちょっと意識してやってみてください」

講座には、発酵の原理原則を暮らしに取り入れることを主にしつつ、他にも「畑と発酵」など、農業者向けにも対応する講義もラインナップ。

訪問初日、2人のお子さん含めた一家の団欒に仲間入りさせてもらい、[LaLaLa Farm]のお野菜を使った夕飯、普段と違う時間軸の豊かさに目を丸くしながらも、就寝です。

きゅんきゅんに粒が詰まった、宝石のような朝採れのとうもろこしの発送準備中。

見たことないぷりっぷり加減のミニトマトたち。

翌朝、畑に出て作業を見学させてもらいます。 

畑の野菜を見渡すと素人でもわかるくらいに、どの野菜たちもはち切れんばかりに実が詰まっている。たからものが入っているような内側からの輝きというか、それでもって艶っぽいというか、フォルムの綺麗さとは別次元で惹かれる要素を放っていて、終始圧倒されつつ、枝豆の摘み作業をお手伝いします。

野菜ごとに袋分けされた専用の堆肥や、液肥なども手作りしている。

 そもそもなぜ、菌や発酵というものにフォーカスするようになったのですか?

「就農してから、実験が失敗続きで苦しい時期に、唯一タダで、目の前にあったのは空気()だったんだよね」

LaLaLa Farm]の野菜たちはどのようにして、内側から輝いているような姿になるのでしょうか?

「これは自然の仕組みを利用しないとね、絶対に。温度、圧、水、餌、空気とか、条件を揃えてあげる。自然は本来ゆっくりしている。年に1回収穫しようと思った時、それを叶えるには発酵を促進するしかない。プロとして農業をしているから経済のスピードにも乗せないといけないけれど、それは自然の仕組みを理解して、人間の知恵を活かすことだと思う。来年に向けた土壌の堆肥作りもレゴのようなものだから、トマトであれば、土の中の微生物が集まってトマトを作るわけでしょ。だから堆肥にもトマトを入れるんだよ」

決してドロドロに腐らずに、細胞水が抜けて朽ちていく。

「これなんだと思う?」と言って、よっちゃんが見せてくれた野菜のミイラらしきもの。正解は(巨大な)ズッキーニ? 話を聞くと、[LaLaLa Farm]の野菜は、発酵の仕組みを利用して育てる=振動がきめ細かく、野菜の中の純粋な細胞水が詰まっていて腐りづらく長持ちするのだと。それにしても腐らずに朽ちていく野菜の死にざまの格好良さよ

野生菌味噌、純粋培養菌の味噌、それぞれ試食します。

野生菌で発酵した味噌。環境さえ整えれば蓋をせずとも表面にカビが出ることもない。

ラボに戻り、寝かせている味噌の説明を聞きながら試食をさせてもらうことに。野生菌味噌については、培養地を自身で作り、空気中から採取した野生菌で味噌用の麹を作っているとのこと。 

なぜ野生菌を採取して味噌を作るのでしょうか?

「日本の発酵文化の中でみんながやっている世界は純粋培養研究。それは実はマイノリティな世界で限定的。だけど、安心安全なものとも言えるよね。純粋培養菌の世界も奥深くて一生かけても実験は終わらないけど、農業をしていると自然相手だから、俺はここに収まるのが少しつまらなくなって、外に飛び出て実験したいと思ったね」

人間界では野生菌はマイノリティともいえそうです。

「知識が必要だから、やっている人はあんまりいないね。でも自然界ではメジャーだよ」

モスラのような虫を仲良く見つめる紡くんと穏くん。一緒に遊んでくれてありがとう!

LaLaLa Farm]最後のランチ、もちろん胡瓜含め完食です。ご馳走さまでした。

訪問の数日前にも、中学生の民泊で講義があったそうで、学生時代に[LaLaLa Farm]の世界観に触れる機会があるなんて羨ましいなあと少し嫉妬してしまうくらいの現地での特別授業でした。よっちゃん、美波さん、ありがとうございました!

 LaLaLa Farm  服部吉弘さん(右)と美波さん(左)

 

ラララファーム
北海道虻田郡ニセコ町近藤287-14
Instagramlalalafarm

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