エディターズノート

「RiCE」第10号「蕎麦」特集に寄せて


Hiroshi InadaHiroshi Inada  / Apr 13, 2019

RiCEの記念すべき第10号は「蕎麦」の特集です。古来より現在に至るまで、蕎麦ほど日本人に暑い支持を受け継いでいる国民食はなかなかありません。

駅蕎麦、立ち蕎麦とも呼ばれる立ち食い系のファストフードチェーンから、藪、更科、砂場に代表される伝統的な蕎麦屋に至るまで。その振れ幅の大きさは回転系と高級店に分かれる寿司と双璧を成していますが、もっとずっとバリエーションが豊かでグラデーションが濃い。いわゆる一般的な街の蕎麦屋には、丼ものもあってカレーもあって定食もあり、もちろん蕎麦とのセットメニューもある。うどんは言わずもがなラーメンまであったりする。来るもの拒まず誰をも受け入れる食堂のような懐の深さは蕎麦屋ならでは。

また蕎麦屋のもう一面として、呑み屋としての要素もあります。かまぼこや出汁巻など、蕎麦前と呼ばれるつまみを肴に飲むお酒は格別ですし、ゆったりとした時間を過ごして頃合いで頼む〆のお蕎麦の最高なことと言ったら。昼日中からお酒を飲んでもなぜか後ろ指を指されない、酒飲みにとってオアシスのような場所。食べ終わった後にいただく蕎麦湯も楽しみです。

ことほど左様に、日本人から広く深く愛されている蕎麦の魅力って一体何なのでしょう。蕎麦はどこからきて、どこへ向かうのか。本当に美味しい蕎麦とは、どんな基準で決まるのか。そして日々新しいスタイルが生まれてくるのもまた蕎麦の底力。伝統と革新が共存した蕎麦は日本社会の鏡なのかもしれません。

RiCE編集長 稲田浩

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イラスト 下田昌克

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