
鴨川の街、台の灯り 001
そして、日本へ
はじめまして、[maddie飯店]のマディです!
1992年台北生まれ。2016年に来日し、現在は京都に住んでいる。
かつて日本の殖民地だった台湾。日本は祖父母の母国として、どこか遠いけど近い存在。そんな国に一度住んでみたいと憧れを抱き、20代前半で来日。
……と言うと聞こえはいいけど、正直言うと、台湾みたいな蒸し暑い南国から涼しいところに逃亡したい気持ちも、ちょっとだけあった(笑)。でもまさか、たどり着いた京都も半端なく暑いとは思わんかったわよ!
最初の3ヶ月だけ東京の日本語学校に通い、そこからはずっと関西。
関西の食文化は味付けの甘さから、隣席の人との距離の近さまで、なんやかんや台湾と似ている。
とはいえ、食事のときにテーブルの上を眺めると「あ!そうだ!私は外国人だ!」と思い出す瞬間もあるの!
日本語学校に通っていた時のノート
台湾との違いに小さな驚き!日本の食文化
① 乾杯文化
全員のドリンクが揃うまで乾杯待ち!
ビールの泡が無くなるで! 早よ飲みやーと毎回思っちゃうよね!
鼻の上におやつを置かれて、「待って!」って言われる子犬の気持ちがちょっとわかるかも!
ちなみに台湾では、各自が飲み始めて、後から「乾杯〜」が普通。
② 「いただきます」と「ご馳走様でした」
食事への感謝の気持ちを言葉にするって素敵。
日本語学校に通っていた頃、すき家のチーズ牛丼にハマったことがあって。
放課後よく一人でチーズ牛活行なってた(笑)
ある日、カウンター越しのおっさんが、両手を合わせて牛丼に向かって合掌してから食べ始めた。
その姿にハッとして、「あ、これは作ってくれた人だけじゃなくて、食べ物そのものへの感謝も含んでるんや」と気づいた。
会計後には「ご馳走様でした」と言って、サッとお店を後にする姿かっこいい!
その日から、私もこっそりおっさんを真似して、「いただきます」と「ご馳走様です」を必ず言うようになった。
余談ですが、台湾はご飯食べ終わった時は「お腹いっぱい」を言うのは一般的。
③ 〆文化
鍋の最後の雑炊、飲み会後のラーメン、集まりの後の一本締めでもそうやし、日本人って〆が好きやな〜と思う。
来日1年目の冬、忘年会でさんざん飲んだあと、まさかの天下一品に連れて行かれたときは、さすがにこの顔 → 🫨
最近はハッピーエンディング的なこの〆文化
割と楽しく味わっている。
こうした事であっちこっちちょっとしたカルチャーショックを受け続けてる、日本生活9年目の今では、そんな違いすらも「美味しい」と思えるようになった。
“とにかく、日本人を酔わせろ!”
ご飯を通して、人とつながる
新しい環境で友達を作るのは、決して簡単じゃなかった。
特に「シャイ」とよく言われる日本人との距離を縮めるには苦戦。
そんなとき気づいたのが、「口にお酒を入れるたびに、心のドアが少しずつ開く」こと。
じゃあ、どうしたら楽しく飲んでくれるの?と考えたとき、やっぱり「おいしいご飯は欠かせない!」と確信。
そこでスタートしたのが、実家の食卓を再現する[maddie飯店]でした。
[maddie飯店]とは?
最初はただ、家でご飯作って、乾杯して、心のドアを開いてもろって、それだけのホームパーティーやった。
気づけば、京都を拠点に、東京や大阪のお店とコラボして
ポップアップで「maddie飯店」って名前つけて小さな食のイベントになってきた。
テーマは、“台湾の家庭料理をもっと身近に”
*あと、日本人を酔わせろ!も(笑)
出すのはお父さんのレシピと、ちょっとアレンジした実家の味。
さて、今日も「乾杯〜」とご飯で人を酔わせていきやす。
* * *
次回予告
ほんで、今月末久々に台湾へ帰る予定。
次回は、朝市で見かける風景や、実家の食卓について書こうかなと思って。
朝市場のにおい、野菜売りのおばの声、路地奥隠れてる大好きな豆花店――
懐かしい“はじまりの場所”から、もう一度料理の話、できたらいいなと。
- [maddie飯店]主宰
簡 顯蘊(マディ) / Maddie Jian
1992年台湾・台北生まれ。2016年来日、京都在住。
喋れるのは関西弁とマディ語のハーフハーフ。
現在はフリーランスのモデル・翻訳通訳としても活動しながら、台湾の家庭料理をテーマにしたポップアップイベント[maddie飯店]を主宰。
IG @madeemelon
- TAGS