おいしい裏話

「同じものを同じように」(RiCE No.7) に寄せて


Banana YoshimotoBanana Yoshimoto  / May 30, 2018

下北沢ではけっこう有名だったそのお店[ぼくせい]。再開を強く望んでいる。
久留米のお店は[五十番]。名古屋のカレーうどんのお店は[錦]。
とにかくお店の人がもはや人類というよりは、その食べ物をサクッと作る機械のような完璧な動きをする。だから味にムラがない。
退屈じゃないですか? とかお休みの日はなにをしているんですか?とか聞く気持ちにもなれない。そこにいるときの調理人さんたちは「無」になっているし、これまで数え切れないほどの同じ皿を、毎回まるで最初で最後のように作り続けているのだから。
[五十番]に藤井フミヤさんのサインがあってじんとしてしまった。東京に来て、音楽をやって、結婚して……フミヤさんの人生の全部に、きっとあの懐かしい味はしみこんでいるんだなと思った。
ちょうど私の人生に[花の家]の焼きそばの味がみっちりとしみこんでいるように。[芋甚]のモナカアイスが他のどんなアイスよりもおいしく感じるように。

この裏話に出てくるお店:
花の家
住所: 東京都文京区千駄木2-44-19
電話: 非公開

芋甚
住所: 東京都文京区根津2-30-4
電話: 03-3821-5530

本誌エッセイに出てくるお店:
ぼくせい
住所: 東京都世田谷区北沢2-5-7
休業中

五十番
住所: 福岡県久留米市東町34-42
電話: 0942-32-4194


住所: 愛知県名古屋市中区錦3-18-9 錦さかいビル 1F
電話: 052-951-1789

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