流れる時間も味わえる蕎麦屋たち

真摯な蕎麦と豊かな時間を味わう店 まるやま


RiCE.pressRiCE.press  / Jun 22, 2019

「開店からきて、閉店までずっといる方もいます。お酒をお飲みになってゆっくりできる雰囲気作りというか、もともとそういうつもりで店作りをしてるんですけど。いい時間を過ごしてから、最後に蕎麦を食べていただいて」。

そう話すのは亭主の丸山さん。昭和28年に創業した先代から66年目となる代田橋にほど近くに位置するこの店に入り婿として引き継いだときは、機械打ちのそばと丼物の豊富な出前蕎麦屋だった。そこから約40年、その折り返しなる20年ほど前に大きな方向転換を志して今の業態へと一新。蕎麦は手打ちに変えた。

「手打ちも機械打ちも、どっちも大変なんですけどね。どっちも良いところはあるし好みの問題なんで。僕は粗めの蕎麦が好きなんです。粗めの方が本来持ってる蕎麦の味が出せる。細かいと蕎麦の味を消すけど、香りが出せるんですね」。蕎麦粉10に対してつなぎ(小麦粉)を何割にするか、特に決めていない。その時々の蕎麦粉によるし、製粉屋や全国の農家から2、3日で使い切るくらいの少量を仕入れる。その日使う蕎麦粉を毎朝製粉しているのは、挽いて何日か経つと風味がなくなるため。

同業者も含めて蕎麦好きが集う[まるやま]だが、冒頭の発言通り、“蕎麦屋好き”な常連に愛されている。飲食店といえば回転率が商売の指標の一つだが、「本当はうちは回転させず、ゆっくりしていってほしいんです。どうしても平日は回転しますけどね。夜なんかは特に、(席が空くのを)待たせたりするのが申し訳ないなって。お酒飲まれてゆっくりされてるお客さんがいるのに何時に空くかって言えないんで(苦笑)」

丸山さん曰く、厨房に立っていて「いい時間」が流れるのを感じることがあるという。アイデア豊富な蕎麦前をいただきながらゆっくり酒を味わう一人客もいれば、看板メニューの「穴子天せいろ」をつつきあう二人組もいたり。「お店全体にいい時間が流れてると、やってる方も嬉しいですね。ああ、いいねえ。今日はいい感じだねって。 僕らも煽られることなく、少しづつ少しづつ出していって、徐々に締めに入っていってもらって」

穴子天せいろ ¥2,450

あまりの常連率の高さに戸惑う一見客もいるらしいが、帰る頃にはニコニコとした表情に変わっているのをよく目にするとか。蕎麦好きはもちろん蕎麦屋好きにとってのオアシスと呼びたくなる[まるやま]。ぜひ開店から入ってじっくり豊かな時間を味わいたい。

落ち着いた店内の奥に亭主の丸山さんが腕を振るう厨房が見える。壁には季節限定のメニューや変わり蕎麦があって目移りしてしまう。

まるやま
東京都杉並区和泉1-2-3
[月・火・金] 11:30~15:00(L.O.14:30)
18:00~21:00 (L.O.20:30、売り切れ仕舞いあり)
[水] 11:30 ~15:00(L.O.14:30)
[土・日・祝] 11:45~15:00 (L.O.14:30)
18:00~21:00(L.O.20:30売り切れ仕舞いあり)
木曜定休
Tel 03-3321-1478


撮影 きくちよしみ、文 稲田浩

当記事はRiCE No.10「蕎麦の新作法」の記事をWEBサイト用に再編集しています。
RiCE No.10の内容を見る。

 

 

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