エディターズノート

「RiCE」第25号「野菜」特集に寄せて


Hiroshi InadaHiroshi Inada  / Oct 6, 2022

 RiCEの通算第二五号は野菜の特集です。これまたいつかやりたいと思い続けながら、なかなか構想がまとまらず機会を逸し続けてきた経緯がありまして。だって単純に、射程が広すぎますよね……。一概に野菜といっても、あまりにファンダメンタルかつエッセンシャルすぎるというか。ただ一方、だからがゆえに無視するわけにはいかない食の最大イシューの一つでもありました。

 ようやくコロナ禍の出口が見えてきた昨今ではありますが、二〇二〇年春、それこそ日本で最初の非常事態宣言が出される直前に発売したのが本誌第十四号の「エシカルフード・カタログ」という特集でした。当時、エシカルフードという言葉はもちろん、SDGsもヴィーガンもそれほど一般にまで広がっていなかった気がします。ここ二年余りで一気に浸透したようで、善かれ悪しかれコロナの影響で時代の潮目が変わったのでしょう。今年夏には二年越しに同タイトルのイベント「エシカルフード・カタログSupported by Johnnie Walker」を開催することもできました。

 イベントの模様について詳しくはP一六からのレポートおよびウェブサイトに譲りますけれども、趣旨としては特集と同じ。①環境に優しく②美味しく③ヘルシーという三要素を兼ねるフードとドリンクを集めてみんなで楽しくいただきながら、心と身体で感じる喜びを共有し合う。そんな「未来志向の収穫祭」とでも言うべき場だったかと思います。

 今回の特集「エシカルフード・カタログ たまにはヴィーガン」は、前特集からの流れを踏まえつつ、イベント時に出会った方々や話したことをヒントに作り上げていきました。右記の三要素を満たそうと思えば野菜にフォーカスが絞られるのは当然でしょう。ヴィーガンやペスカトリアンの若者たち(二十代が多かったです)とも出会って貴重な話を沢山聞くことができたのも大きな収穫でした。

 先述の通りヴィーガンという言葉はここ二、三年で急速に市民権を得ましたけれども、とはいえここ日本においてはまだまだ普及が及んでおらず、欧米のようにカルチャーとしての確立はずっと先でしょう。まずは、ヴィーガンとそれ以外、という大きな壁を崩すことが大切な気がします。

 あのポール・マッカートニーが提唱した「フリーミートマンデー」というイギリス発の運動があります。たとえ今日からヴィーガンになるのが難しくても、週に一回なら試せるかもしれないし、それが広がれば地球環境の改善に大きなインパクトを与えうる。そんな無理なく優しい未来志向の考え方は、これからの時代、ますます大切になってくるはずです。黒か白かではなく、いろんなグラデーションがあっていい。誰もがそれぞれの立場で意見を伝えあいながら、違う立場からの意見にもしっかり耳を傾けられたら。

 「たまにはヴィーガン」。自分にも他人にも、そして地球にも優しくあれたら、きっと明るい未来に近づける気がします。

Illustration by Masakatsu Shimoda

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