富山の美食と日本酒を味わう

「リンク8888」プレスツアーレポート


RiCE.pressRiCE.press  / Mar 3, 2020

スコットランドのキースに蒸留所をもつ『シーバスリーガル』と銘酒 満寿泉で名を知られる『蔵元桝田酒造店』のコラボレーションで生まれた日本酒『リンク8888』。「シーバスリーガル」の原酒の熟成に12年以上使用したアメリカンオーク樽で、異なる特徴を持った数種類の「満寿泉」を熟成させるという未だかつてない試みに挑戦したこのシリーズ。数種のことなる「シーバスリーガル」の樽と、ことなる酵母を使った精米歩合35%の精米大吟醸を中心としたブレンドによって、作り上げた日本酒に注目が集まっている。

今回は、そんな特別なリンク8888が楽しめるツアーに参加した模様をお届け。雨模様の富山県に到着すると早速、シーバスリーガルを日本で展開するペルノ・リカール・ジャパン株式会社のマーケティングマネージャーのクリスティアン・エルンストさん(以下クリスさん)、マーケティング部長のヤン・ソエネンさん(以下ヤンさん)が笑顔で出迎えてくれた。

早速バスに乗り込んで向かったのは[桝田酒造店]。その道中のバスの中、クリスさんは「僕たちが富山に来るときはだいたい雨なんです」と参加者の笑いを誘う。それに続くように、ヤンさんはリンク8888プロジェクトが生まれた地である富山について語る。「2017年から3ヶ月おきのペースで富山に訪れていますが、3年間で桝田酒造店がある岩瀬の街の様子にも変化があり、どんどん面白くなってきました。また、(桝田酒造店の)桝田(隆一郎)さんとはリンク8888の製造開発を進めていく中で仲良くなっていき、プロジェクトそのものに対しての愛情も次第に深まっていきました。このように大きなプロジェクトになったことを大変嬉しく思っています」

20分ほどすると屋根に長く伸びた煙突を携えた趣ある蔵元 桝田酒造店が見えてくる。
代表の桝田隆一郎さんに出迎えられて、早速蔵元見学が始まった。

▲ 桝田酒造店代表の桝田隆一郎さん(左)

最初に見せていただいたのは、甑(こしき)と呼ばれる大きなせいろ。蓋を開けると湯気が立ち上り、中には綺麗に敷き詰められた酒米が。この甑の中で米を蒸すことは、殺菌効果にも繋がるほかにも、米に含まれているでんぷんの質を変化させ、酒造りに適した水分量にも調整できるのだという。「翌朝、蒸しあがった酒米はとっても美味しいんですよ。皆さんにも食べていただきたいです」と桝田さん。

▲ 麹づくりのために米の表面を撫でて、寄せて、捏ねてを繰り返すお二人の手の動きを思わず真剣に見てしまう。

そうして蒸しあがった米は麹づくりの工程へ。隠し部屋のような扉を開くと、米の香りが広がる麹室がある。中では大師(注:麹づくりの責任者。麹師とも呼ばれる。)の吉田さん、水畑さんのお二人が今まさに麹づくりに取り組まれていた。麹菌を米に付着させることで、米の中では麹菌が繁殖されていくこの作業は日本酒の質を決める重要な作業だ。大師の吉田さんは、1日の大半の時間をこの麹室で温度管理や米の状態を確認しているのだそうだ。「これは綺麗な麹だね」と桝田さんがお二人に向けて声をかけると嬉しそうに笑う。

▲ 醪状態の日本酒の香りは意外にも刺激が強い。

麹づくりを終えると、麹と水、蒸米を混ぜたものに酵母を加えた「酒母」が1ヶ月ほどの時間をかけて完成。それをタンクに入れて再び麹、蒸米、水を加えて発酵させた状態を「醪」と呼ぶ。2mほどの高さタンクの中を覗くと、酒の表面に浮かぶ小さな泡がパチパチと弾ける様子がまるで生き物のように見える。「僕はこのタンクの中を何時間でも眺めることができますね」と桝田さん。

▲ しぼりたての日本酒と熟成した日本酒をそれぞれ飲み比べる。

今回は特別に「しぼりたての日本酒」と「熟成した日本酒」の2種類を飲ませてもらった。

しぼりたてのものは炭酸が強く、発酵感が強いため少しツンとした味わい。一方で、熟成した日本酒は見た目が透き通っており、角がないまろやかな味わいで、同じ日本酒でも全く異なる風味を参加者は楽しんだ。

桝田酒造店のこだわり溢れる酒造見学を終えた後は、蔵元周辺のお店を散策。歩いて数分の場所にある日本酒のエイジング倉庫や、ワイナリーショップ兼ホテル、器やガラス工芸など少し歩くだけで、見所は盛りだくさん。現在、桝田酒造店が中心となって岩瀬地区を盛り上げるまちづくりに取り組んでいることもあり、富山では注目のスポットとなっている。ツアーの後半では、そんな盛り上がりを見せているいくつかのレストランやバーに案内していただき、美味しい料理とともに満寿泉の良質な日本酒を味わった。

▲ 奥に見えるのが子山羊と子羊のグリル焼き。ダイナミックな骨つき肉に一同のテンションも上がった。

お昼ご飯をいただいたのは、イタリアンレストラン「ピアット・スズキ・チンクエ」。ミシュラン一つ星レストランである麻布十番の「ピアット・スズキ」で修行されていた鈴木五郎シェフが昨年の5月にオープンし、今富山で注目のレストランだ。食材の「素材の味」を生かした料理を特徴としており、今回は桝田さんのお気に入りだという青唐辛子のペペロンチーノと子羊と子ヤギのグリル、それに加えて出汁と醤油風味の泡をのせたグリル野菜と豪華なメニュー。日本酒は満寿泉のワイン酵母で仕込んだ純米生酒をいただき、料理とともに味わった。

▲ 器は岩瀬で活動する釋永岳さんによって作られたもの。もちろん釋永さんの作品は岩瀬で購入することができる。

▲ シンプルな曲線を描くグラスは満寿泉オリジナルで作られたもの

次に向かったのは、1月にオープンしたばかりだという寿司屋 [GEJO]。カウンター席に座ると店主の下條貴大さんがクエとヒラメの寿司を一貫ずつ握り始める。満寿泉の純米大吟醸スペシャルと一緒に味わうくえとヒラメの寿司に参加者は至福の時間を過ごした。

▲ 天然ぶりは店主の藤井さんがその場で捌いたもの。

▲ 脂身の艶が美しいツキノワグマの氷見うどん。ツキノワグマも富山で狩られて仕入れたものだという。

そして、今回の主役であるリンク8888を味わったのは、[ふじ居]。店主の藤井寛徳さんは金沢の[銭屋]、京都の[味舌]の修行を経て、富山にて独立。今年で9年目となるお店は五福にあった店舗を昨年の8月にこちらへ移転するなどの変化はあったものの、地元の鮮魚や野菜をふんだんに使った料理には今もなお県内外に多くのファンが存在する。

テーブルには艶がある富山の天然ぶりの刺身とツキノワグマの肉入り氷見うどんが並び、思わず歓声が上がる。リンク8888の上品かつ複雑な味わいとともにいただく極上の料理に大満足の一行であった。

▲ 普段は桝田社長の友人のみが入れるという貴重なプライベートバー。

ツアーの締めくくりは、特別に開放していただいた桝田社長のプライベートバー。シーバスリーガルの「ミズナラ12年」と「18年 ミズナラ カスク フィニッシュ」で杯を交わしながらヤンさんはこう締めくくった。「違う国の生産者同士の友情と情熱からリンク8888は生まれました。スコットランドと日本の文化が合わさったエキセントリックなこの日本酒が多くの人に飲んでいただけると嬉しいです」

桝田酒造店の日本酒やリンク8888はもちろん、富山の魅力が存分に伝わるツアーとなった今回。桝田社長をはじめとしてシーバスリーガルのメンバー自らも楽しむようにそれぞれのお店へ参加者を引率するその様子から、桝田酒造店とシーバスリーガルがこんな風にして、お互いに楽しみ合いながらリンク8888が誕生したのだろうと想像できるようなツアーであった。今後も桝田酒造店とシーバスリーガルが生み出す日本酒に注目していきたい。

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