
ごぼうの皮ごと、おいしく。野菜のつかい方帖 vol.2
[organ]紺野真さんが教える、ごぼうのコンフィとフリット
忙しい日でも手軽に野菜を楽しめる〈野菜をMOTTO〉のスープのように、毎日の台所でも野菜を、もっとおいしく食べたい。そんな思いから生まれた、全2回の特別企画。
第2回目のテーマは「ごぼう」。教えてくれたのは前回のトマトパスタに引き続き、西荻窪のビストロ[organ]のオーナーシェフ・紺野真さん。コースの中で野菜の使い方に工夫を凝らし、季節の素材を生かす料理に定評のある紺野さんが、「皮にこそ香りがある」と語るほど、ごぼうという素材に寄せる信頼は厚い。
「生では食べられないし、太いままだと火も入りづらい。だからこそ、ごぼうには向いてる調理法がある」そのひとつが“コンフィ”。低温の油でじっくり煮るように火を入れるこの方法なら、ごぼうのほくほくした食感が出て、香りもしっかり活きてくる。
もうひとつは“フリット”。薄くスライスして揚げたごぼうは、皮の香りがふわっと広がり、サクサクとした食感が楽しい。この2つを組み合わせて、コンフィにフリットをのせて仕上げれば、食感の違いが楽しめるだけでなく、見た目に映えるひと皿に。
ごぼうのコンフィ
材料(3〜4人分)
・ごぼう 2〜3本
・塩 適量
・サラダ油 適量(ごぼうがひたひたに浸かる量)作り方
1.ごぼうを洗う。表面はこすらず、香りの強い皮を残す。
2.全体に塩をふり、10分ほどおいてなじませる。
3.鍋にごぼうを並べ、サラダ油をごぼうがたっぷりと浸るまで加える。
4.ごく弱火にかけ、油がぽこぽこと軽く沸いてきたら、フタをして100度をキープしたまま約3時間加熱する。途中で焦げそうなら火加減を調整する。
※100℃に設定したオーブンで加熱してもOK。5.竹串がすっと通る柔らかさになれば、完成。
ごぼうのフリット
材料(3〜4人分)
・ごぼう 1〜2本
・揚げ油 適量作り方
1.ごぼうを洗い、ピーラーで細長く削ぐようにスライスする。力を入れず、糸のように薄く剥くようにが理想。
2.鍋に油を加えて加熱し、160℃の低温の油で、ごぼうをじっくり揚げる。
3.泡が細かくなり、ごぼうが色づき始めたら、油を切ってキッチンペーパーの上に広げる。
※120度のオーブンで10分ほど加熱するとよりカリッとした食感に。
[organ]のコースでも、このごぼうのコンフィは肉料理のつけ合わせとして登場する。炭火で焼いた鹿肉に添えれば、ごぼうの香りが引き立て役としてたちまち魅力を放つ。
「油には香りを移す力があります。だから何も加えず、ごぼうだけで煮る。それがいちばん香りを活かせるんです」ごぼうの個性を損なわず、引き出す2つの方法。いつものきんぴらとは違う、ごぼうの新しい顔が見えてくる。
ごぼうのコンフィに、メイン級の「北海道産レッドビーツと根菜ごろごろ濃厚ボルシチ」を添えれば、食べごたえのある一皿に。とろとろビーフに、北海道産のビーツ、大きめにカットした野菜がごろごろ入った、満足感たっぷりのスープ。
紺野真 organ / uguisu オーナーシェフ
1969年東京都生まれ。高校を卒業後、カリフォルニア・ロサンゼルスに移住。帰国後、カフェやビストロで経験を積み、2005年に三軒茶屋にワインビストロ「uguisu」をオープン。2011年には西荻窪に「organ」を開店。2023年11月には、麻布台ヒルズに開業した「Orby Restaurant」のヘッドシェフに就任。著書には、『なぜかワインがおいしいビストロの絶品レシピ』(サンマーク出版)や、2025年4月には『uguisu/organ 紺野 真が作る 野菜のひと皿料理』(グラフィック社)を発売。
Photo by Takuro Abe(写真 阿部拓朗)
Text by Sakurako Nozaki(文 野﨑櫻子)