「食べること」で地球環境をよりよい方へ

なぜパタゴニアは水田に着目するのか。


PromotionPromotion  / Nov 8, 2026

「わ、カエルだ!」「バッタもカマキリもいる!」。雨降りでぬかるんだ田んぼのあちこちで歓声を上げるのは、稲刈りに励むパタゴニアのスタッフたち。千葉県香取の日本酒蔵「寺田本家」の田んぼには黄金色に輝く酒米・美山錦が穂を垂れていた。この日、集まったスタッフは総勢20名近く。だが、アウトドア企業であるパタゴニアがなぜ、酒米の稲刈りに?その理由は、2016年から始まった環境を修復する日本酒や味噌などの食品コレクション「パタゴニアプロビジョンズ」にあった。

「10年前に比べると、気候変動や食の安全保障などがより切実な問題となりました。今では環境や農業の問題解決と食のつながりに対して社会的な関心の高まりを感じています」と語るのは、同部門でディレクターを務める近藤勝宏さんだ。

農薬・化学肥料を使わずに育てられた自社栽培の亀の尾(麹米)でつくられる10月8日発売「繁土 ハンド2026」(写真右・寺田本家)と、11月2日発売「やまもり2026 リジェネラティブ・オーガニック認証」(写真左・仁井田本家)

もともとパタゴニアが掲げるミッションは、地球を救うためにビジネスを営むこと。世界的にも環境問題の課題解決は、現状維持の「サスティナブル」から、より良くするための「リジェネラティブ」へ舵を切っている。さらにパタゴニアでは、2017年に既存の有機認証よりも厳しい条件に基づいた「リジェネラティブ・オーガニック(RO)認証」という独自の認証制度を設けた。

「アジアモンスーン地域は、世界の米生産の約9割を担っています。そのため、水田のあり方が環境や食料システムに与えるインパクトは非常に大さい」と捉え、日本主導で水田稲作のガイドラインをRO認証に取り入れた。2025年には福島の酒蔵「仁井田本家」が初の認証事例となり、今回訪れた「寺田本家」も今後認証取得を目指すパートナーのひとつだ。

「ただし、認証取得がゴールではありません。あくまでも再生農業が成立する事例を増やすことに意味があります」

食を通したりジェネラティブな取り組みは、認知される段階から、実践を伴う段階へ。今回稲刈りに参加したスタッフ、伊藤優衣さんは、この取組みに関わるようになって以来、日々の買い物で農家や栽培方法を意識するようになったという。また同じくスタッフの黒澤雄大さんは、体験を通して製品の魅力をリアリティのある言葉で語れるようになったと話す。

田んぼで実際に手を動かせば意識も変わる。日々の行動の選択も変わる。彼らの食品を手に取ることは、地球環境の未来へとつながる、小さくて強い実践のひとつなのだ。

本記事はRiCE49号「特集 お米の底力」の掲載記事を再編集しています。

IG @patagoniaprovisions
写真 太田太朗 (Photo by Taro Oota) IG @taro_oota
文 浅井直子 (Text by Naoko Asai)  IG @asai_naoko

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