
「Future of Coffee」をテーマに、新たなコーヒー体験が楽しめる
Blue Bottle Studio – Kyoto – 2025 Spring 開催中
この春、未知のコーヒー体験を楽しむことができる「Blue Bottle Studio -Kyoto-」が京都にて開催されている。2023年より世界各地の都市にて期間限定で開催されている「Blue Bottle Studio」は、ブランド創業者のジェームス・フリーマン氏がクリエイティブ・アドバイザーとして全体を監修し、現在考えうる最高のコーヒー体験を表現する場所として誕生した。
Photo by Yusuke Oishi
これまで京都では過去に4回、春と秋のタイミングで実施されてきたが、さらにアップデート。独自の抽出方法や提供方法などを通じてコーヒーそのものの本質を探究する、他にはない特別な体験が提供されている。
今回はコーヒー豆に着目。スペシャルティコーヒーとして広く知られるアラビカ種だが、本コースではアラビカ種以外のコーヒー品種から厳選。どの品種も味わいのみならず、世界的な気候変動などの環境問題にも対応したサステナブルな側面も意識されたものになった。まさに今回のテーマである「Future of Coffee」を五感で堪能できる特別なコーヒーコースである。
(左)「Leaf」マラウイ産コーヒーの葉 、(中央)「Flower」マレーシア産リベリカ種の花、(右)「Cherry」マレーシア産リベリカ種の果実
コースの始まりとともに提供されるのは、それぞれコーヒーの葉、花、果実から抽出された3種類のドリンクの飲み比べ。紅茶を彷彿とさせ、思わずホッと一息つきたくなる味わいが印象的な「Leaf(葉)」と、より鮮やかな口当たりの「Flower」(花)。「Cherry(果実)」には和三盆も含まれており、飲み進めるごとにほどよい甘みを感じることができる。
続いて提供されるのは独自の製法でつくられたオリジナルのインスタントコーヒー。煎れる前の粉末の香りと、煎れた後に漂う香りとが大きく異なるのが意外だ。味わいはまず最初に酸と苦みが広がり、最後の余韻としてほのかな甘みを感じさせる。たった一杯の中で嗅覚、味覚ともに強く刺激される設計になっている。
(左)ベトナム産リベリカ種 、(中央)インド産エクセルサ種、(右)マレーシア産リベリカ種
コース中盤には、3種類のロングカップが提供される。写真左のベトナム産リベリカ種は一口飲むと同時に爽やかな酸が口の中いっぱいに広がるのが特徴だ。中央のエクセルサ種で煎れたコーヒーは、前者と同様に浅煎りながら熟したバナナのような旨み、コクが印象的な一杯。コーヒー豆の精製過程で84時間もの時間をかけて発酵させることが、そのしっかりボディ感のある味わいに一役買っている。写真右のコーヒーは3種類のうち、最も個性的な味わい。南国のトロピカルフルーツのような風味に加えて、青紫蘇ドレッシングを思わせる独特な香りがインパクト大だ。
産地こそ違えど、3種類のうち2種類で採用されているリベリカ種について印象的だったので特筆したい。
アラビカ種、カネフォラ種と並び、コーヒー豆三大原種の一つであるものの、その生産量は世界全体のたった数パーセント。ごくわずかな生産量ながらアラビカ種などと大きく異なるのが、その生育条件の違い。
根を深く伸ばすことがき、干ばつなどの厳しい環境への耐性がある。また、低い標高の地域でも大きな果実を実らせることが可能。気候変動が叫ばれ始めて久しい昨今の地球環境において、次世代のサステナブルコーヒー豆として注目されている。
Photo by Yusuke Oishi
ロングカップを嗜んだ後には、ショートカップの準備が始まる。築100年を超える伝統的な京町家を改装して造られた趣ある空間で、ゆっくりと15分間かけてコーヒーを抽出する、なんとも贅沢で尊い時間が流れる。
席前方はガラスが張られ、見晴らしの良い空間でコースが提供される。各回5人まで
Photo by Yusuke Oishi
店内には、マイルス・デイヴィスの大名盤『Kind of Blue』や坂本龍一の遺作となった『12』などこだわりのレコードの数々。元クラリネット奏者の顔を持つジェームス・フリーマン本人きってのこだわりのもと、選び抜かれたアルバムなのだそう
Photo by Yusuke Oishi
「コーヒーを煎れるのを待つ時間」、あるいは「ロングカップをカジュアルに楽しむ時間」など、その時々のコーヒー体験に合わせ、最適な音楽をスタッフが選んでくれる。
体験中に浮かんだ気になるコーヒーのあれこれを質問すると、丁寧に回答をいただけた。終始リラックスした雰囲気を堪能しつつ、あっという間に15分が経過
ショートカップはカネフォラ種とリベリカ種のブレンド。体験したばかりのロングカップとは対照的に想像以上に重厚感のある口当たり。コーヒー体験の幅広さ、奥深さをあらためて実感することができる。
コース終盤には、大山甚七商店のラム酒「ACOU RUM WHITE」を使用したオリジナルのコーヒーカクテルも振る舞われる。もちろん、お酒が苦手な方も楽しめるようノンアルコールでの提供も可能。
今回のコース体験は、「Future of Coffee」をテーマに、品種違いや精製過程の異なるコーヒーの飲み比べを楽しめるのが醍醐味だ。しかし、「Blue Bottle Studio -Kyoto-」で味わえる体験はそれだけに留まらない。上述した尊い時間が流れる空間や、その空間内で丁寧に時間をかけて提供されるコーヒーを飲めることにこそ、その体験価値が詰まっている。
ぜひこの機会に、かつてないコーヒー体験を求めに京都を訪れてみてほしい。
Blue Bottle Studio – Kyoto –
ブルーボトルコーヒー 京都カフェ はなれ2階
京都府京都市左京区南禅寺草川町64(Google map)WEB
https://store.bluebottlecoffee.jp/pages/blue_bottle_studio_kyoto営業日 〜2025年5月19日(月)までの金・土・日・月曜日
予約枠 9:30〜11:00、13:00〜14:30、15:30〜17:00 *各回約90分のコース
料金 8,910円
秋シーズンにも営業予定