連載「HOME/WORK VILLAGE ごはん」#3

昼は食堂、夜はミュージックバー。[Marked池尻]と[GOOD TEMPO~]


RiCE.pressRiCE.press  / Jun 4, 2026

世田谷・池尻に誕生した新しいコミュニティ拠点[HOME / WORK VILLAGE]。かつて中学校だったこの場所には、オフィスやショップ、個性豊かな飲食店が集まり、まちの新しい日常が始まりつつある。

私たちRiCE編集部も[HOME / WORK VILLAGE]に拠点を構え、その一員として、この場所で生まれるのつながりを紹介していく連載をスタート。第3回は、[Marked池尻]と[GOOD TEMPO -MUSIC, BAR & PLANTS-]。同じ場所でありながら、昼は地域の食堂として、夜は音楽と酒を楽しむバーとして表情を変える。HOME/WORK VILLAGEという新しいコミュニティの中心ともいえる場所を訪ねた。

昼間は地域の食堂として

昼の顔となるのが[Marked池尻]。ベーカリー、カフェ、グロサリーを融合したコミュニティマーケットとして都内で展開する[Marked]の3店舗目となる。

 池尻店のテーマは「街のCANTEEN(食堂)」。元技術科室だった空間には大きな窓から光が差し込み、木の家具が並ぶ。新しく整えられているにもかかわらず、どこか懐かしい空気が残る。窓の外には施設の菜園も広がり、学校だった頃の記憶を引き継ぐような景色が続いている。

野菜を主役にしたMarkedらしい定食

Marked]の看板メニューである「野菜たっぷりの定食」を池尻店でも楽しめる。ワンプレートおかずの定食やサラダボウル、週替わりの煮込み料理。将来的には隣接する菜園で育てた野菜やハーブも積極的に取り入れていく予定だという。

パンは[Marked本所]で焼き上げる国産小麦と全粒粉を使用したもの。パーラー江古田監修による風味豊かなパンは、サンドイッチやフレンチトーストにも姿を変える。さらにアイスクリームなどのデザートも充実し、朝食からランチ、カフェ利用まで幅広いシーンを受け止めてくれる。

育てるところから始まる食堂へ

池尻店の特徴は、菜園との距離の近さにもある。施設内の畑ではハーブや野菜を育て、その食材を店の料理へとつなげていく。都心にいながら、種を蒔き、育て、収穫し、食べる。その循環を日常の中に取り戻そうという試みだ。単なる飲食店ではなく、食の背景まで体験できる場所。HOME/WORK VILLAGEという場にふさわしい新しい食堂の形を模索している。

夕方からは[GOOD TEMPO~]へ

日が傾き始める頃、この場所はもうひとつの顔を見せる。照明が落ち、レコードに針が落ちる。[GOOD TEMPO – MUSIC, BAR & PLANTS –]の時間だ。

グランドピアノと3000枚を超えるレコードコレクション、そして南国植物に囲まれた空間。昼の穏やかな食堂は、音楽と酒を楽しむ大人の社交場へと変わる。

音楽と酒と植物が共存する空間

店長の加藤さんは20年以上飲食業界に身を置いてきた。バーテンダーとしてのキャリアを軸に、メキシカンやイタリアンのキッチン経験も持つ。そんな加藤さんが考える[GOOD TEMPO]の料理は、クラフトビールやワインに寄り添うものだ。

「空間自体にトロピカルな雰囲気があるので、メキシコやキューバ、インドみたいな暑い国の料理をイメージしています」

 豚肩肉をハーブでマリネしたローストポークや季節野菜のピクルスなど、酒との相性を意識したメニューが並ぶ。

ドリンクメニューも20種類以上のクラフトビールをはじめ、ナチュラルワイン、ラム、テキーラ、メスカルなどを揃える。単なる品揃えではなく、作り手の思想やカルチャーを感じられるものを選んでいるという。

音楽が流れることで完成する空間

GOOD TEMPO]を象徴する存在のひとつが、店内に置かれた大きなスピーカーだ。

「圧縮音源に慣れた今だからこそ、アナログで湿度のある音楽が流れる空間をつくりたかったんです」

そうして探し続けた末に出会ったのが、世界的な名機として知られる「JBL 4345」だった。偶然にも手放したいというオーナーと巡り合い、この場所へ迎え入れることができたという。店内には約3000枚のレコードも並ぶ。スタッフの私物に加え、音楽関係者から譲り受けたものや、知人から託されたものなど、その背景もさまざまだ。

GOOD TEMPO]にとって音楽は単なるBGMではない。酒を飲み、会話を楽しみ、ときにはライブやDJイベントが開かれる。その時間の空気をつくる大切な存在だ。グランドピアノ、南国植物、そしてレコードから流れる音楽。かつて技術科室だった空間は、音楽を中心に人が集う新しい居場所へと生まれ変わっている。

 人が集まり、カルチャーが生まれる場所

HOME/WORK VILLAGEで一番広い場所だからこそ、いろんな人が集まる場所にしたいんです」

ライブやDJイベント、さらにはHOME/WORK VILLAGE内にはクリエイターや編集者、料理人など多様な人たちが集まっている。

その出会いが新しいカルチャーにつながっていく。

昼は街の食堂として。夜は音楽と酒を楽しむミュージックバーとして。

 Marked池尻]と[GOOD TEMPO]は、HOME/WORK VILLAGEの一日をつなぐ場所であり、この施設が目指すコミュニティの中心として、これからさらに面白くなっていきそうだ。

Marked 池尻
東京都世田谷区池尻2丁目4−5 HOME/WORK VILLAGE 118
9:00〜18:00 (17:00 L.O.)
火曜日・その他不定休
IG @marked_ikejiri

GOOD TEMPO -MUSIC, BAR & PLANTS-
東京都世田谷区池尻2丁目4−5 HOME/WORK VILLAGE 118
18:00〜23:00
IG @goodtempo_musicbarplants

Photo by wacci(写真 wacci)IG @wacci___ (Marked池尻)
Photo by Taro Oota(写真 太田太朗)IG @taro_oota (GOOD TEMPO -MUSIC, BAR & PLANTS-)
Text by Shingo Akuzawa
(文 阿久沢慎吾)

 

 

 

 

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