連載「信州小諸のおいしい仲間たち」#3
薪窯のパン屋[保時鳥]やすこへのラブレター
小諸に移住して、一番の友であるやすこに、愛を込めて。
今回は、公開ラブレターになりそうな予感。
移住して、開業すること。
開業して伸びやかに暮らしているように思われるけれど、その裏では都会で開業するのとは違う難しさがあるなと常々思う。
移住して見ず知らずの土地で、そして地方で、女性が開業するということは、いくら時代が進んでも一筋縄でいかないこともしばしば。
今回紹介する平井保子(ひらいやすこ)さんは、3年前の冬に小さな古民家を改装し、薪窯のパン屋さん[保時鳥(HOTOTOGISU)]を開いた。
それはそれはとてもかわいいお家で、大きな薪窯が迎えてくれる。
光がいつでも綺麗に差し込むこの場所は、パッと明るい彼女にとってもよく似合う。
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実は、彼女は私が移住する間に横浜で通っていたパン屋さんで一時期修行していたことがあり、もしかしたら私たちは横浜でも会っていたのかもしれない。
そんなこともあり、彼女が移住して、開業するところを一番近くで見てきたし、その後私が[NOVELS]を開業するときも、やすこはずっとサポートしてくれている。
私にとって、彼女は移住の同級生であり、女性起業の先輩でもある。[保時鳥]の平井さんでも、[NOVELS]のおかちでもないお互いを知っていて、そして何よりもお互いの一番のファンなんだと思う。
移住開業は、人生で一回あればいいようなことが同時に起こる。
移住して暮らしの基盤がまだ不安定な中で、事業を起こす。それは夢のようなことで、同時に非常に現実と向き合うことでもある。
これって、結構大変なことだよね。
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移住開業は、地方に自分の拠点を持って、ゆったりと自分のペースで、のんびりと、、、なんてイメージが先行しているけれど、実際は地域の人との関係性を一から築いたり、お店のこともあれやこれやと決めないといけない。都会だったら自分のことだけ考えていても起業できるけど、こちらはそうじゃない。田舎の方がやることがたくさんある。全然スローライフじゃなかった(笑)。
地域の人はいつでも相談してねと言ってくれるけど、次の日には全部みんなが知っていたりすることも(笑)。 今では慣れちゃったし、そこも小諸の好きなところだけど、最初は怖いよね。え、何にも相談できないじゃん!って(笑)。
だから、お互いにとって移住初期になんでも話せる人ができたことは本当に心強かったと思う。
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壁にあたると夜な夜な2人で密会し、なんでも相談しあった。
近所の人が優しすぎて、逆にどうしていいか分からなくなってしまったこと。
地域の活動や、商店街など、いろんな集まりがあってとりあえず全部に行ってたらてんてこ舞いになってしまったこと。
親戚の男性をこの人いいんじゃない?っていろんな人から紹介されて困ること。
どこに行っても知り合いに会うので、2人で変装してツルヤに行ったこと。
知り合いに会わないで遊びたいと、高崎まで車を走らせたこと。
移住して、開業もして、悲しいことも、モヤっとしたことも、イラッとしたこともそりゃあたくさんある。そんな、移住したからって365日全部がハッピーになるわけじゃないよね。 だって旅行しているんじゃなくて、暮らしているんだもん。
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だけど、それ以上に、この土地が大好きで、小諸の人たちにたくさん手を差し伸べてもらっている。
小諸の兄貴のりんご畑で、やすこと私と「みんな頑張ってるよね」って話してたら、いつの間にか3人で泣いてたこともあったね(笑)。
小諸の人たちの優しさに何度も救われて、たくさん甘えさせてもらって。
結局のところ、小諸だから移住も開業も楽しくやれてるんじゃないかって本気で思っている。 それは、やすこや小諸で起業した仲間も一緒なんじゃないかな。
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[NOVELS]で出しているキャロットケーキとチョコチャンククッキーは彼女が焼いてくれているもの。駅近くの[NOVELS]で彼女のおやつを食べた人が、少し坂を登ってパン屋さんまで行ってくれたらいいなと思っている。 [NOVELS]に来てくれる人も、[保時鳥]を絶対に気にいると思うし、彼女のことが好きになると思うから。
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やすこへ最初は、小諸の情報の速さを恐れて、私たちが仲良いのをバレないようにしてたね(あれはなんだったんだろうね笑) 私たちは、縁もゆかりもほとんどなかったこの土地で本当によくやっているよね。
やすこがいたから、私はお店を持つって素敵だなと思えて、NOVELSを始めたし、続けることができているよ。
私がモヤっとしたことを話すと、私よりも怒ってくれていたり、私は別にそんなに怒ってないんだけどなと思ったり(笑)。
本当にいつもありがとう。
こんなに家族ぐるみで仲良くなるとは全く想像もしてなかったよ。
なんだかんだで、これからも小諸同級生として、一緒に浅間山を眺めながら頑張って行けたらいいよね。
たまには車を飛ばして、小諸を抜け出したりしながら。
保時鳥初代スーパーバイト おかちより
やすこがいたから、私はお店を持つって素敵だなと思えて、NOVELSを始めたし、続けることができているよ。
私がモヤっとしたことを話すと、私よりも怒ってくれていたり、私は別にそんなに怒ってないんだけどなと思ったり(笑)。
本当にいつもありがとう。
こんなに家族ぐるみで仲良くなるとは全く想像もしてなかったよ。
なんだかんだで、これからも小諸同級生として、一緒に浅間山を眺めながら頑張って行けたらいいよね。
たまには車を飛ばして、小諸を抜け出したりしながら。
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NOVELS
住所:長野県小諸市相生町2丁目1−3
営業時間:8時30分~21時30分
火、水曜休
IG @novels_komoro保時鳥 ホトトギス
住所:長野県小諸市与良町5-1-11
営業時間:金、土 10時~17時 日 11時~17時
IG @hototogisuuu

- KOMORO NOVELS
岡山 千紗 / Chisa Okayama
1998生まれ。2022年8月から小諸市地域おこし協力隊として着任。ケアの視点から「場」や「コミュニティ」を捉え直し、実装するコミュニティマネージャー。2024年の夏にNOVELSというお店を開きました。山に登ることとパンを焼くことが趣味。
IG @okachi___________