Local food cruise

What’s六斎市?


Ayumi YamakuraAyumi Yamakura  / Apr 1, 2018

みなさんは「六斎市」という言葉を知っていますか。六斎市とは、中世から近世にかけて1ヶ月のうち6回開かれた定期市 (朝市) のこと。現代にもその形はもちろん残っていて、地域の路上や門前広場などに、突如現れては消えゆくあの、「朝市」のことです。

ちなみに「六斎」とは仏教上の用語で月6日の戒を持して身をつつしむべき日。六斎市もこの六斎日にちなんで開かれ、このようによばれていたと言われます。南北朝時代以降になると、それとは関係なく、各地の経済的必要性にもとづいて特定の日に開かれるようになり、市の開催日も1と6、2と7、3と8、4と9、5と10といった組合せで、約10日に2回、月に6日ほど開かれていました。

現在では、出店者の高齢化や出店規制の問題、必要以上にどんどん便利になっていく消費や流通行動の変化によって朝市の開催も少なくなってきているのも事実ですが、昔から続く路上の出店風景やコミュニケーションと空気感、そしてささやかに地域で伝えられてきた食文化のあしあとは、食の仕事をする私たちにとっても、今しか見ることのできない、かけがえのない学びの場であると感じています。

2016年に私が関わった、新潟県三条市の公共施設内の「三条スパイス研究所」(通称:スパ研) というスパイス料理店があります。

この施設のお隣の広場でも、「2・7の市」と呼ばれる600年続く六斎市が2と7のつく日に今も開かれています。

この朝市の開催日には、スパ研の開店を7時に早め、朝市に来られるお客様を対象に通常メニューのスパイス料理ではなく、季節の朝市食材を使用した朝ごはんを提供しています (しかもこの取り組み、朝ごはんの価格はなんとワンコイン500円です) 。

オープンから2年を迎えたスパ研の料理人たちは、丸2年の間、約5日に一度の朝市で、毎回この地域の旬と食材を学ばせてもらい、朝ごはんのメニューに向き合っているということです。これは、なかなか出来る経験ではありません。

見えない水の流れに耳をすまして

私の暮らすまち「新潟」では、燕三条エリアだけでなく、各地でこの、「六斎市」が開かれています。新潟の朝市は、「水の流れに沿って」開催日が決まっていることも大きな特徴の一つ。信濃川と阿賀野川という二つの大きな河川と、それにつながる小さな水脈は昔、様々な物流の道として使われていました。その当時は物も人も、そして「食」も、この流れに沿って自然と動いていたと言われています。全国各地の朝市や市場もまた、近くに水路があった場所が多いと聞きます。例えばその証拠に、大きな川を隔てた対岸にも、その場では作れなかったはずの農産物を作っていたり、上流で採れていた食材を使用した郷土料理が下流に残っていたりするのです。

河川はもちろん、海辺の町、港周辺や「潟」と呼ばれる大きな水たまり、湖などを含む国内全域の水辺エリアの食の歴史は、人々の暮らしや流通に直結していたのだと感じます。

とはいえ、現代の生活に目を向けると、どうでしょう。

古くから私たちの「食」を運んでいた水路は、今はもう、そのほとんどがコンクリートの下。そこで、見えない水の流れに耳をすまし、美味しいものを見つける旅「 Local food cruise 」をはじめます。

「Local food cruise」への入り口は、2019年に開港150周年を迎える、水の街、新潟から。

ローカルからお伝えする旬の朝ごはんや食材、出かけた先で時々出会う全国各地の朝市や生産の現場を、川の流れに逆らうことなく、ふらりふらりとご紹介できていけたらと思っています。

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