香り 薫る 馨れ

マドレーヌは紅茶と共に。


Koji TamuraKoji Tamura  / Mar 15, 2018

ふとした瞬間の香りに昔の記憶が蘇る。

そんな経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか?

焼き芋の香りや屋台の香りに小さい頃を思い出したり、すれ違う人の香りに昔の恋人を思い出したり。このように香り (や味) から記憶が呼び起こされる現象をプルースト効果といいます。

これはフランスの小説家マルセルプルーストの小説『失われた時を求めて』の文中において、主人公がマドレーヌを紅茶に浸した時の香りをきっかけにして幼年時代の記憶が鮮やかに蘇るという描写からつけられています。

香りは記憶 (脳) と密接に結びついており、感情や行動に直接作用します。料理で言えば、食べる前の漂う香りで人に美味しいと感じさせることが出来るのです。焼きたてのパンの香りはそれだけで人の心を幸せにしますよね?

私は料理を作るときに、どこか懐かしさを感じる香りを使います。食べ手の過去の記憶に触れ、美味しかったり楽しかった感情を呼び覚ますように。

例えば藺草。一般的には畳のイメージだと思います。小さい頃過ごした実家や、祖父母の家の香り。ノスタルジーを感じます。

この藺草を芳ばしい香りの料理と合わせたりします。クマリンという香り成分が含まれていて、バニラに似た甘い香りなので、甘みのあるものとも相性が良い。藺草の香りを移したプリンが僕は大好きです。他に意外な所では、笹団子などを縛っているのも藺草です。

触れる機会は減っていても、記憶に残っている香り。そんなノスタルジーは美味しさと同時にどこか懐かしさを感じさせてくれる。

家族や大切な人に料理を作るとき、その人が昔過ごした場所や故郷の味や香りを添えるだけで、心に響く料理になる。今日も人の記憶に残る料理を作りたいですね。

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