最新グルメからローカル屋台まで。タイ探訪 -3-
童心に還って手でネチネチ食べる背徳感。ソムタム考
ソムタムがなぜおいしいかというと、その甘酸っぱいスープをカオニャオ(餅米)につけて手でネチネチ食べるからだと思っている。餅米を手でこねてムチムチ団子にするのは、大人として一見品位を失いかけそう…。だけど、タイでは市民権を得た行為☝️
子ども心も戻ってきて、たのしい、おいしいの一石二鳥🐥この合法な背徳行為は「ソムタム+カオニャオ」を頼めばハッピーセットのように付帯するのでおすすめしている。
酸味、甘味、辛みが混合した一皿は、タイ料理の“味”をよく表現しているように思う。ナンプラー、砂糖、タンマリンド、柑橘のジュースが渾然一体となり、箸が止まらない鮮やかな味を生み出す。甘じょっぱさがたまらなさは、かの北海道銘菓〈ROYCE〉のチョコがけポテチのよう。その不思議な味のコンビネーションは、いつだってセンセーショナルな気持ちをもたらしてくれるのだ。
この日は17時頃、サヤームという渋谷のような中心街の隣駅周辺にいた。お腹が減り、以前ストリートで派手に賑わっているのを見つけて気になっていたイサーン料理屋台を思い出して早速向かう。
場所は、BTSのサヤーム駅から一つ隣のラーチャテーウィー駅方面へ。クロンセンセープという運河にかかる橋を渡ったすぐのところにある。ちなみにこのクロンセンセープは驚くほど水が汚い。どれくらい汚いかといえば、水は深緑色に濁り、雑巾掛け後のバケツを思い出すほどだ(ひどい)。
余談だが、バンコクの交通手段の一つとして船もなかなかいい。このクロンセンセープには水上バスのような船が通り、これまた意外と便利。電車が通らないカオサーン通りや、観光客として一度は訪れたい王宮周辺まで渋滞知らずで一気にびゅーんといけるので覚えておくとスマート。値段は20バーツ(80円)ほどで安い。電車とタクシー、バスしかない日本に比べてタイは、バイクタクシー、船など移動手段も充実していてたのしい
夕方のストリートに現れる屋台[ソムタム サパーンフアチャーン(ส้มตำ สะพานหัวช้าง)]。
すでに先客は数組。屋台のキャパシティは、20席ほど。客が増えれば、折り畳み式のテーブルが運ばれて拡大可能な柔軟屋台。海外からの観光客も来ていた。
オーダーは、卓上の紙にメニューを書いて店員さんに渡す。英語つきメニューもあり👍
LEOビール、ソムタムプラーラーというイサーン地方(タイの東北)特有のソムタム、カオニャオ(餅米)を注文。
料理3品とビール、餅米を頼んで280バーツ(1120円)
行き交う車の排気ガスを浴びながらビールを飲み、料理を待つ。10分ほどたって、遠くからおじさんがずっずっとスリッパを引きずりながら近づき、食卓に料理が運ばれた。結果的に「ソムタムプラーラー」ではなく、一般的な「ソムタム」がきてしまった。でもmai pen rai(マイペンライ 気にしない)!
カオニャオはプラスチック版に入って登場。めずらしい
ソムタムを一口いただけば、おお、すべてがちょうどいい。にんにくの香り、マナオの酸味、ほんのり青っぽい唐辛子の辛みが後から追う。そしてパームシュガーの甘さが一体を包み込む…。和食の滋味深さとはかけ離れた異国の風味は魅惑的で、その際立った個性に惹かれる。食べ手の心をくすぐる料理。次第に汗をかいて、食べ終わる頃にはサウナの後のように気分がいい。
こんな感じで道に沿って後ろの屋台までテーブルが続く
おいしかったので、ナムトックとムーマナオを自宅での肴用に持ち帰り追加オーダー。ちなみに隣の屋台も次第に混み始め、その多くがタイ人で席を埋めていた。私がストリートで目撃したのは隣の店だったかもしれない…。テーブルを共有しそうなほど接近した両店は、どこまでがそのお店のテーブルかわからない。そんなタイのゆるさもまたいいよね。中間に座ったらどちらのスタッフがオーダーを取りにくるか、国境線が気になるけど。
行ったお店👇
ソムタム サパーンフアチャーン(ส้มตำ สะพานหัวช้าง)
MAP https://maps.app.goo.gl/PVeMT5APxAXbDYB46?g_st=ilお隣の店👇
Jay Pin Papaya Salad (In front of Asia Hotel)
MAP https://maps.app.goo.gl/ibWuGUp4bDbStwrM8?g_st=il(Edit by Ai Hanazawa)
- writer
野崎 櫻子 / Sakurako Nozaki
1991年生まれ。マガジンハウス「&Premium」編集部を経て、制作会社でウェブメディア、企業SNSのコンテンツ制作、ディレクションを行う。2023年9月に独立後、学生時代に習得したタイ語を武器にバンコクへ赴き、最新グルメからローカル屋台まで幅広く練り歩く。日本では良き酒と肴を求めて夜な夜な酒場へと集う日々。
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