新連載「あの人、そのレシピ」

一人目、父のチャーハン


Shin HamadaShin Hamada  / Jan 13, 2023

あの人が作る、記憶に残るあの料理。

親や友人、身近な人々の料理にお金を払ったりすることはないけれど、
お店では食べられない味と空気が確かにそこにある。

人とレシピ、そしてその背景を僕の目線で記録することにした。


父のチャーハン

父は料理が好きだ。
母の手料理も数あれど、肉野菜炒め、ポークチャップ、サンドイッチ、たらこスパゲッティなど父の料理が食卓に並ぶ日も数多くあった。
その中でも、チャーハンは父自慢の一品だ。

年明け帰省の昼ごはん。
僕は父のチャーハンを食べたくなった。

濱「チャーハンが得意料理になったキッカケって何?」

父「好きな中華料理屋さんのチャーハンが美味しいから、何とか自分でも味を近づけられへんかなぁと思って。あと元々料理するのも苦じゃなかったし」

濱「その好きな中華料理屋ってどこ?」

父「名前言ってもいいの? 神戸元町別館牡丹園です」

濱「牡丹園か。初めて食べたの何歳?」

父「えぇ〜っと…何歳やったかなぁ…20歳くらいちゃうかなぁ。今と違う建て替わるもっと前の。創業者の王しきへい(オウシキヘイ)さんていうお父様がいらっしゃった時やね」

濱「家族でもよく連れてってくれてたけど、自分で見つけたん?」

父「いや、中学の時の友達が美味しいとこあるでと。小えびとレタスの柔らかい焼きそば美味しいでと教えてもらって」

濱「で、今まで食べてきたなかでも一番美味しいチャーハンやったと」

父「まぁそうやね。でもまぁ町の中華屋さんでもなんでも、チャーハンが美味しい店はどんな料理も大体美味しいと僕は思っております」

濱「なるほど。で、その美味しかった味を家で再現したくなったというわけか。料理は何で苦じゃなかったん?」

父「小学生の頃からコックさんになるのが夢やったんで。両親が商売してて、洗い物も自分でやったり、食べる物は自分で作ろかなぁと。そうしてるうちに好きになったね。NHKの料理番組もよく観てました」

濱「何回くらいチャレンジして味は近づけられるようになった?」

父「何回かなぁ…でもやっぱり調味料の使い方とかかなぁ、醤油とか」

濱「今ベスト?」

父「ど素人の僕の中ではベストに近い。と、思っております。……はいっ! 出来た。あとなぜ木ベラを使っているかというと、本当はカン!カン!という音を出したいから鉄のおたま使いたいけどお母さんが『うるさい!』と言うので木ベラを使ってます。これは嘘ではありません」

Cooking by Yasuhiro Hamada
Photo, Interview & Text by Shin Hamada
Edit by Yoshiki Tatezaki

BALMUDA The Kitchen
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