ちびまる子ちゃんと、静岡のお茶らしいお茶

二煎目🍵静岡市は、いいねえ


Emiko IzawaEmiko Izawa  / Mar 8, 2022

私は、静岡県静岡市出身です。
お茶どころだねーなんて話に8割なります。

静岡といえばお茶ですよね。とはいえ、ここ最近は生産量1位にも陰りが見えてきました。がんばれ! 静岡!

なんて他人事のように言ってられないのです。だって、生産量が減っている原因の一つは私だからです。

いや、どんだけ自責感の強いメンヘラなんだということではないのです。

実は、私の母方の祖父母は茶農家でした。私が3歳くらいの時まで茶農家をしていました。

母は静岡の市街地に嫁いだので私はそこで育ったのですが、車で20分ほどの母の実家の裏には未だに茶畑があります。(ずっと近所の方に貸していたようなのですが、とうとうここ数年で、放棄茶園になってしまいました)

たまに遊びに行くと、茶の機械があり、あぶないからあまり近づいてはいけないよと言われながらも、そこに行くとお茶の香りがぶわああああっっとしていた記憶があり、今でもお茶工場(こうば)や自家焙煎しているお茶屋さんの前を通るとその時の香りの記憶がよみがえってきます。

私が3歳の時に祖母が亡くなりました。

祖父と祖母の二人三脚でやっていたお茶農家だったので、もう続けることはできない、と祖父は茶農家をやめました。

この話を母からちゃんと聞いたのは、実は「1000茶」を始めてから。
母方の実家も近い、足久保という場所の茶農家さん[足久保ティーワークスさんが、ティーオーナー制度という企画をされていたことがきっかけです。

年間18,000円で茶園の一部のオーナー権がもらえ、この茶園でとれたお茶が年4回送られてくるという、クラウドファンディングのような気軽さで茶園のオーナーになれる企画。金額は決して安いとは言えないのですが、なんと早々に完売してしまい、静岡でも話題になっていたそうです。

結論から言うと、私もこのティーオーナーになりました。ただ、申し込む時にひっかかることがありました。自分のルーツにちゃんと茶園があったのに、それを無視して、ティーオーナーなんて浮かれていいのかと。

あなたにはオーナーになるべき茶園があったのではないかと……。

はい、考えすぎです。
真面目すぎです。

よく言われます。

無事ティーオーナーとなり、足久保から届くお茶や、茶園の方との心和むやり取りに、実家には帰りづらい情勢の中、静岡とのあたたかいつながりを感じることができました…!

RMC『ちびまる子ちゃん』1巻(集英社刊) ©さくらプロダクション

これだけ静岡の話をしたので、今日は静岡のマンガとお茶をご紹介します。
さくらももこさんの「ちびまる子ちゃん」です。

どんだけ国民的マンガを紹介してるんだと思うかもしれませんが、私がおすすめしたいのは初期のさくらももこさんなんです。

不思議なキャラクターのクラスメイトや、「コジコジ」等のファンタジーなイメージも強いのですが、それは途中からで、最初は子どもが読んでも大人が読んでもおもしろいコミックエッセイだったのです。あらためて「ちびまる子ちゃん」1巻を読むと、衝撃でした

本編のまるちゃんのリアルな日常はもちろん、後半に収録されている読み切り「うちはびんぼう」でのすきやきの牛肉と豚肉の割合の話や、初めてディスコに行ったときの体験を綴った「たかがディスコに行くだけで」では、子どもから大人になる時の不安や期待、心配する両親を疎ましく思ったり、それでもそんな存在に安心したりという心の機微をマンガとして描ききっており、さくらももこさんのすごさは、当時このスタイルのコミックエッセイを描いたことにあると私は思っています。

RMC『ちびまる子ちゃん』1巻(集英社刊)より ©さくらプロダクション

さあ、この初期さくらももこさんに合わせるのは…やはり静岡のお茶でしょう

お茶大国・静岡でどのお茶を合わせるか、めちゃめちゃ悩みますが、舞台でもある清水(静岡市清水区)の天空の茶園[豊好園]さんのシングル緑茶「くらさわ」にします。

私にとってお茶といえばぐっとくる渋みがあるものというイメージが幼い頃からあり、700種類飲んできた中で、さわやかなお茶や甘みを感じるお茶などもいただいてきたのですが、やはり「お茶を飲んだー!」と感じる渋みの強いお茶が大好きです。

特にこの「くらさわ」は非常にパンチがあって、さくらももこさんのほんわかした絵柄の中のシニカルな視点にもどこか通ずるような気がします。

まるちゃんと、「くらさわ」にやさしいパンチをくらってください。

漫画『ちびまる子ちゃん』(さくらももこ、集英社)
“さくらももこ”は小学3年生。とても小さくて女の子だから“ちびまる子ちゃん”とよばれている。そんなまる子ちゃんが、おかしな家族の人たちや学校のお友だちとくり広げる、愉快な日常絵日記コミック。
作品紹介ページ
お茶『くらさわ』(豊好園)
静岡のド真ん中、標高350m、清流と緑豊かな山間部、両河内。目の前に富士山と駿河湾、早朝には雲海が広がる急傾斜な茶畑で育つ20種を超える品種茶たち。この地で茶を栽培・製茶し、日本国内・世界に日本茶を届ける茶農家、豊好園です。
商品ページ
足久保ティーワークスのティーオーナー制度
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