
「アラサー、パリへ行く」20代最後のフランス滞在記 第4話
マルシェとかブロカントとか
旅先で偶然マルシェに出会った時は嬉しい。
よく聞く話だけど、フランスはマルシェってやつをよくやっていて、
週末だけやってる、みたいなところもあれば、
ほぼ毎日やってる、みたいな地域もある。
この前に偶然出会ったのは、フランス北西部、ノルマンディーのtrouvilleという町にいったときのこと。
滞在二日目、ノルマンディー名物のシードルを買いに行こうと宿をでたら遭遇。
ひとまず1周してみる。
野菜を売ってる店、シャルキュトリーを売ってる店、チーズを売ってる店、様々。揚げ物とビリヤニみたいなのをその場でつくって売ってる店の横に洋服をたくさん並べた店がある。匂いうつるやろ、って思うけどそんなの気にしないのがヨーロッパ。
その日はお目当ての店でシードルとカルヴァドスを買った後、またマルシェに戻ってウサギのシードル煮を買って帰った。
カルヴァドスは林檎だけじゃなくて洋梨でもつくるんだぞ、って声のしゃがれたロックなお母さんがたくさん試飲させてくれた、いいお店
あまり塩が効いてなかったので宿で塩をもらって、少しかけて食べる。
これも風情。びっくりするほどおいしくなくたっていいんです。
うさぎを食べる文化もフランスならでは。鶏肉みたいに締まって淡白でおいしい。
ちなみに、ぼくはあまり料理をしないので食材自体をたくさん買って家で自炊を楽しむってことはあまりしない。マルシェすきっていってるくせに。
こんな感じで目の前で煮込まれてたら買っちゃう。おいしそう
あと、すきな文化でいうとブロカント。
日本でいう蚤の市みたいなやつですね。
パリ郊外のクリニャンクールってとこで週末やってるのがでかくて有名みたいだけど、このブロカントもフランス各地でやってる。
マルシェみたいな出店形式のものもあれば、常設店もあり、アンティークショップとリサイクルショップの中間のような立ち位置。
Web版のブロカントみたいなサービスもある。
服、家具、車、などなどなんでも流通している、メ○カリ最強版、みたいな。
ぼくの家の家具もほぼブロカントで揃えた。
第1話で書いたニースに行った際にも、ブロカントに遭遇した。何も買わない、て決めて入場したものの、何か掘り出し物はないかと何周もしてしまう。その際は謎のカエルの置物を購入した
フランスの人は古いものを長く使う。
古いもの、歴史あるものに価値を見出す。
その価値観が浸透していることを感じる。これほんとにすごい。
使わなくなったもの、いらなくなったものは、売る、譲る。
それを、必要な人が買う。そしてまた売る。誰かが買う。
それは、どの地域にも築数百年の建物が残っていることにも表れているし、乾燥した気候や地震が少ないといったこの土地だからできることでもあるかもしれない。
マルシェにしても、各地でそれが成り立つのは、
スーパーで買うよりも生産者により近い状態で食材を手にいれることの喜び、また、それがどうやって生産されたものなのかを知り、より良いものを生活に取り入れたい。というフランス人の食に対するリテラシーの高さがあるからなはず。
やっぱりぼくは日本が好きだし、
こちらで生活していると戸惑うような文化の違いもよく感じるけど、フランスのこういった文化は特にいいなって思います。
いま世界中に溢れている、
「ナチュラル」「ビオ」「リユース」「フードカルチャー」
そういった華やかな言葉、外から借りたような言葉から生まれたものではなくて、国民の基礎の部分にある価値観。それはフランスならではな気がする。
ぼくは日本に帰ったら故郷の田舎に帰って仕事をしたいと考えています。
個人的に、上記に似たような考え方は、都会の周辺では広まりつつあるように感じる。具体的には、これまでの流通における価値観へのアンチテーゼとしてのような、市場の変化というか、ビジネス形態の変化というか。
でも地方にいくほど、身近にあるもの、すでにあるものの価値に気付かずに、それらを壊してしまっていたり、別の何か遠くのものへ手を伸ばしている。
そんな例はまだたくさんあると感じています。
だから、自分のまわりにも、地域にも、忘れそうだけど素敵なものがたくさんある。
自分がこれからつくる仕事が、関わる仕事が、少しでもそういった考え方が広がることに寄与できたら、嬉しいなと思います。
そんなことをスーパーで1番安い缶ビールを飲みながら書いている。
はい、まずは自分の足元から見直さないと。
1995年、山口県生まれ。
大学卒業後、一般企業にて営業職や古民家ホテルの支配人等を務める。
東京のレストラン・ワインショップに勤めたのち、現在はパリ郊外の農園を併設したレストラン[Le Doyenné]に勤務。愛称はパワー。
IG @chikara_yoshimo