
連載「信州小諸のおいしい仲間たち」#2
小諸のワイン文化をつくる ”むっちゃん”
小諸はもうすっかり秋。青空はどこまでも澄んで、空気は一切のシワのないシーツのようにピシッとしています。
わたしはというと、羽毛布団を出すか出さないかのせめぎ合いを毎日しています。 早すぎても、もっと寒くなったときに大変だし、遅すぎても風邪をひく。 ここは我慢せずに、暖かくするのが季節の変わり目をうまく乗り切る秘訣!
ではあるのだけれど、例に漏れず寒暖差にやられ、風邪気味な秋を今年も過ごしています。
さて、そんな小諸は今たわわに実るワイン葡萄やりんごの収穫で大忙し。 特に千曲川ワインバレーの中心エリアでもある小諸は、その風土がワイン用葡萄の栽培に適しており、個性豊かなワイナリーがたくさんあります。
[NOVELS]では、「小諸で若者がワインを気軽に飲む」文化をつくりたい! という思いでテーブルワインを中心にセレクトしたり、ワインをカジュアルに楽しむイベントを開いたりしています。
わたしは、東京にいたときは大学生&コロナも被ったこともあり、ワインを楽しむことなんて自分にはあまりにも敷居が高くて、もっと大人になってからやるものだとばかり思っていました。
そんなワインの敷居をぶっ壊してくれたのが、小諸という土地であり、今回紹介する愛すべき友人・小船睦巳(こぶね むつみ)。「通称:むっちゃん」です。
「ワインは自由でええ。楽しく飲めたらそれでいい」といつも言っているむっちゃんとワインを飲むと、堅苦しいイメージのあったワインがだんだんと自分に身近なものになっていきました。
むっちゃんは、関西から小諸に移住して、ワイナリーで醸造責任者をしています。 誰も知り合いのいない小諸で、ワイン畑を開墾するところから始まり、寒さに泣き、新品の軽トラはボッコボコになりながら、岩をどかし、土をつくり、そこから年月を経て[Komorokko Farm & Winery ]が出来上がりました。
葡萄の収穫のお手伝いに行く中で、自分の手で収穫した葡萄がワインになっていく過程を見ることができて、一丁前に「今年のブドウは〇〇だった」と、会話に参加することもできるように。
しかも、出来上がるワインは、むっちゃんの人柄を表すような自由でのびのびとしたワイン。 むっちゃんは、いつも「無理に、チョコレートの香りとか、ナッツ味を感じるとか言わんでええ。自分に合ってるとか、合ってないとかそれでいい」と言ってくれますが、本当にむっちゃんのワインは、「むっちゃんだな〜〜」と思うのです。 ワインの造り手を知るとより、そのワインがその人っぽく感じられるのは、わたしだけでしょうか。
移住当初は、よくむっちゃんの家や友だちの家で、持ち寄ったワインや料理を片手に遊んだものです、、、。懐かしい。 今は、みんなそれぞれが忙しくなってしまいましたが、その楽しさを受け継いでいるのが、[NOVELS]で開催している「ちゃぶ台とワインの会」です。
ちゃぶ台でワインを飲むくらいのカジュアルさが欲しいというところから、参加者がそれぞれ今飲んでみたいワインや、今推しているワイン、いただいたけど全然飲んでないワイン、などを持ち寄って、シェアする。ただ、それだけです。
持ち寄りスタイルだから、20人集まれば、20本のワインが空きます。
参加者は、ワイン初心者もたくさんいますが、ワイナリーで働いている方や醸造家もよく来てくれます。むっちゃんはソムリエの資格も持っているので(小声)、ワインについていろいろ聞いてみたければ聞ける。[NOVELS]から生まれた「ちゃぶ台とワイン」は、単なるイベントではなく小諸周辺のワイン好きが緩やかにつながる場にも育ってきている感じがします。
番外編で、「ワインとパンでゆうげを」なんてイベントも。
これからも[NOVELS]では、「小諸で若者がワインを気軽に飲む」文化をつくれるよう、むっちゃんのようなワインのプロたちと手を取り合って、いろいろやっていきますよ〜〜。むっちゃんがいれば、なんだって楽しくできる気がする!次回の企画も、お楽しみに!!
そして、小諸のワインに興味を持ったそこのあなた !
小諸には、多くのワインの造り手がいて、彼らと知り合う機会も多くあります。 小諸の超チルイベント「小諸ワインデイズ」は、ワイン好きならおすすめ!! 小諸や周辺地域のワイナリーが数多く出店しており、マイグラスを持って、たくさん飲み比べできちゃう。
「このワイン、こんな人がつくっているんだ!」という発見があったり、遊びに行ってみたいワイナリーの収穫のお手伝いに立候補できたり、推しワイナリーが絶対に見つかるはずです。
ぜひ来年は参加してみて!
NOVELS
住所:長野県小諸市相生町2丁目1−3
営業時間:8時30分~21時30分
火、水曜休
IG @novels_komoro
- KOMORO NOVELS
岡山 千紗 / Chisa Okayama
1998生まれ。2022年8月から小諸市地域おこし協力隊として着任。ケアの視点から「場」や「コミュニティ」を捉え直し、実装するコミュニティマネージャー。2024年の夏にNOVELSというお店を開きました。山に登ることとパンを焼くことが趣味。
IG @okachi___________