エディターズノート

「RiCE」第13号「パン」特集に寄せて


Hiroshi InadaHiroshi Inada  / Jan 22, 2020

2020年最初のRiCEはパンの特集です。13号目にして初めてですが、その間もパンのブームはずっと続いていて、われわれが手を出すまでもなくいろんな雑誌やメディアが特集を組んできました。わざわざうちがやらなくても?という気がしてくるくらいトゥーマッチな情報が常に溢れている。

何処のベーカリーの何がおいしい。そういったパン情報はいくらでも容易に手に入ります。でも、何故おいしいのか?どう味わえばよいのか?は、意外となおざりな気がしませんか。

つまりWhereとWhatは過剰なのにWhyとHowが不足している。

国の統計によるとここ4〜5年、日本の一世帯に対する消費量が米とパンとで逆転しているそうです。もはやどっちが主食かわからないレベル。といいつつ、日本人はもとより雑食です。和、洋、中にエスニックと万遍なく食べる人は多いと思います。食に限らず海外のものを取り入れるのに抵抗が少なく、また日本仕様にカスタマイズしたりアレンジするのがうまい。西洋からもたらされたパンがここまで定着しているのはその象徴でしょう。

ここ数年の流れで、パンの原料となる小麦といえば輸入物がほとんどだったのに、パンに向いた新しい国産小麦が生まれ、その特性を活かした世界中どこにもない新しい風味のパンが生まれています。日本ならではな風土を活かした小麦のテロワール。日本人の技術と創意でパンが新しい次元へとアップデートされている。そんな「パン革命」の時期にわれわれは立ち会っているとも言えるのです。

おいしいパンの情報はネットワークが強く、毎日売り切れるような行列のできるベーカリーがいくつもあります。今回の特集では、パンのヒエラルキーでもトップといえる飛び抜けておいしいベーカリーを取り上げました。もちろん数に限りがあるので入手困難な場合もあるわけですが、それでも他のジャンルと比べて相対的にパンは安い。トップオブトップの店でも全国チェーンの店でも値段はそう変わらない。なんて民主的なご馳走でしょう。大人気なのも当たり前。

究極のおいしさを追求する彼らパン職人たちの努力は計り知れません。だからこそわれわれは、ただ漠然と食べて「おいしい」の一言で終わらせるのではなく、多様なパンの味わい方をしっかり身につけたい。そしてパン職人が最前線で考えていること、ミクロ単位での酵母との対話についてもっと深く知れたらと思います。

知識は味覚を邪魔しない。知れば知るほどよりおいしさがアップする。おいしいパンの秘密を紐解いてみませんか。

「RiCE」編集長 稲田浩

当記事はRiCE No.13「おいしいパンの秘密」の記事をWEBサイト用に再編集しています。RiCE No.13の内容を見る

CREDIT
Illustration: Masakatsu Shimoda

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