[AVOSETA] クリエイティブ・ディレクター 熊谷隆志インタビュー

食のスペシャリストと共に作り上げるレストラン


RiCE.pressRiCE.press  / Dec 23, 2018

12月13日 六本木「テレビ朝日」1Fのけやき坂沿いに、カフェ・カンパニーの新業態となるレストラン[AVOSETA (アボセタ) ]がオープンした。本店舗のディレクションを担当したのはスタイリスト・カメラマン・ファッションブランドのブランディングなど、多岐にわたって活躍中である熊谷隆志。自身初となるレストランのディレクションをどのような思いで取り組んだのか、また専門分野である“ファッション”と“食”の共通点・相違点について伺った。

――――[AVOSETA]のディレクションを手がけることになったきっかけを教えてください。

「元々 (カフェ・カンパニー代表 楠本さんとは) 、僕が葉山に住んでいて、楠本さんが鎌倉に住んでいるとのことで、共通の友人も多く、紹介をされたことがきっかけです。それから意気投合して、よくご飯に行くようになりました。そうしたらある日 (楠本さんから) 『うちのクリエイティブやってみてもらえないかな?」と誘われて。そこから8ヶ月くらいで固めていきました。以前も店舗の内装ディレクションなどには関わったことがあったのですが、フードメニューまで密に関わることは初めてでした」

――――お店のディレクションは今までもやられていましたよね。

「そうですね。とはいえ、『ファッション』に関連した店舗だったので、全く違いましたね。いざやってみると、やっぱりシェフはもちろん、サービスに至るまで、プロジェクトに関わるチームのメンバーは大事だな、と改めて思いました。このお店を立ち上げるコンセプトメイキングの時から、カフェ・カンパニーのベテランのシェフに入ってもらい、何度も試作を重ねながら、とてもいいレベルにまで持ってくることができました。」

――――メニューは熊谷さんがリクエストして、シェフとやりとりを重ねていったんですか。

「シェフだけではなく、代表の楠本さんをはじめチームともやり取りを重ねながら、言葉やフレーズで伝えていきました」

――――[AVOSETA]はモーニングからディナーまで通しで営業されていて、時間帯によっていろんな用途で使えるんですね。

「そうですね。朝8時からオープンしているので、エスプレッソを100円で提供しようとしています。だから毎朝新聞片手に、立ち飲みでエスプレッソを飲むっていう習慣ができたらいいかなと思いました」

▲ コーヒーからアルコールまで種類が豊富なドリンクメニュー。このカウンターでエスプレッソが100円で飲める。

――――メニューもおにぎりからパスタまで幅広く、自分の欲しいものをチョイスしやすくていいですね。

「地中海の料理をベースに、無国籍ではありますが、カジュアルでありながら、旬とクオリティを大切にして、『素材と丁寧に向き合って創り上げていく』という料理を出していけたらなと思っています」

――――中でもデザートは全部ヴィーガンなんですね。

「オーガニックの志向の方々とそうじゃない方たちって、間に大きな隔たりがある気がするんです。だけどここは、ホールフーズみたいな感覚でヴィーガンを取り入れてもらえればいいなと思っています。オシャレでもなんでもなく、当たり前に『ヴィーガンの方が体にいいよ」という提案ですね。最初はヴィーガンではない普通のデザートも試してみたのですが、ヴィーガンの方が美味しかったのでデザートはヴィーガンのみにしてもらいました』

▲ ヴィーガン・パンケーキ。豆乳のホイップクリームは、カフェ・カンパニーの専属ヴィーガン・パティシエによるオリジナルだそう。

▲ ストロベリータルト

▲ エスプレッソティラミス

――――熊谷さんは食べることはお好きで、いろんなレストランで食べたりすることで、自分の中の引き出しはたくさんあったわけですよね。その上で今回[AVOSETA]を手がける時どのようなコンセプトのお店にしようというのは決まっていたのですか?

「子供を学校に送り出した後のお母様がママ会をできるくらいに心地よくて、美味しいスイーツもある、というのが理想です。なので、僕のいつもの内装のデザインよりも、色使いなどもフェミニンを意識していて、結構気に入っています。あとは、この辺り (六本木) でワインと一緒にきちんとご飯を食べると10,000円ぐらいしてしまいますよね。[AVOSETA]は、それより手軽で、でも、クオリティは妥協をしない。そんなお店を目指しています」

――――「GRADATION OF NATURE」がテーマなんですよね。

「そうですね。店内で飾られている絵は沖縄の齋悠記さんという方の作品なのですが、全部自然の色で描いて欲しいと頼みました。齋さんは、去年、やんばるアートフェスティバル (※) で出会った方で。色使いが好きだったので、彼女の絵をベースに (お店の) イメージを考えていました。僕の癖ではあるのですが、こういう (作品との) 出会いから固めていきながら、デザインや料理などへ広げていきました」

――――店名の[AVOSETA]というのはどういう意味が含まれているんですか

「AVOSETTA (アボセッタ) というコーカサス地方のミツバチがいるんです。“花のサンドイッチ”と呼ばれる極彩色の巣を作り出すそうで。それを元にして齋さんに絵にしてもらい、うまく言葉もハマったので店名にしようと思いました」

▲ 壁に飾られている齋悠記さんの絵は店内を鮮やかに演出している。

――――レストランのディレクションは実際に取り組んでみて面白かったですか?

「プロジェクトが進んでいる段階で、不安になることはありますよね。でも今回に関しては、味も、内装も、場所も、価格帯も進めていく段階でいい感じにハマったなっていう感触がありました。それは洋服をディレクションしている時と同じ感じですよね。高級レストランとカフェの中間くらいのいいものができたと思っています。」

――――熊谷さんは元々ファッション業界を中心にお仕事されていますが、飲食業の人との交流も増えましたか?

「増えました。 (飲食業の人たちも) 面白いですよね。洋服や外見だけじゃなくて、自分のスタイルを大切にする、という方々も多い気がします。だからそういう方にスタイリングを頼まれると、嬉しいですね」

――――こういうレストランだと人のスタイリングも重要ですよね。

「ここのキッチンにも面白そうな外国人スタッフが3人くらいいるんですけど。国を超えていろんな人に関わってもらって、日本もグローバルになった方がいいなと思いました。また、先ほどもお話しましたが、今回のプロジェクトに携わったことで、飲食って業態を作る時に本当に『人』が大切なんだなと実感しました。ファッションと違うのは、あてにいくだけで味がついてこなかったら意味がないんですよね。食は本当に美味しくなきゃ流行らないから。洋服は個人の力が強ければなんとかなったけれど、飲食に関して大事なのはシェフやフロアのマネジャーだな、と。人生初のチームワークです。面白いですよね。僕も丸くなったし、協調性が出てきたと自分でも思うくらいなので。48歳にしてやっといい時期ですよね」

▲ ガラス張りで開放感のある店内。けやき坂の街並みを見ながら食事ができる。

――――いろんなお客さんがくるでしょうね。

「そうですね。僕の知り得ないお客さんもくるでしょうし。あとはセレブリティにも来ていただけるように個室も作りました。異ジャンルの人たちも一緒の空間で過ごすことができるようにしたかったんです。ここまで作り上げていく過程は本当に面白かったです。途中、異業種での初めてのチャレンジであるが故に不安になったこともあって、楠本さんに相談したら、『大丈夫。この過程が大事だから。チームメンバーが真剣に向き合うことができたら、 (料理の) 味もクオリティもだんだん合ってくるんだよ」って言われて。 (笑) そしたら本当にそうで。すごいですよね」

――――今回で食のディレクションの感覚は掴めた気はしますか

「いや、まだまだイントロですね。新しいこともどんどんチャレンジしていきたいと思っています。今回の[AVOSETA]とはまた違う純粋なカフェもやってみたいですし。せっかくカフェ・カンパニーという会社を手伝うのであれば、いろんなことやって吸収できればと思います」

(注釈)
※やんばるアートフェスティバル
沖縄北部地域「やんばる」にて冬に開催されるアートフェスティバル。今年で2年目の開催となっており、本イベントで熊谷さんはクラフト部門ディレクターを務めている。

熊谷隆志

1970年盛岡生まれ。渡仏後、1994年よりスタイリストとして活動開始。1998年よりカメラマンとしても活動を開始する。広告・雑誌等で活動する傍ら、様々なファッションブランドのブランディング、SHOP内装や植栽のディレクションなど幅広い分野で活動中。2018年より、カフェ・カンパニー株式会社のクリエイティブ・ディレクターに就任。

AVOSETA(アボセタ)
住所: 東京都港区六本木6-9-1 テレビ朝日1F けやき坂沿い
Tel: 03-5843-0256
営業時間:
MORNING>8:00〜11:00
LUNCH>11:00〜15:00
TEA TIME>15:00〜17:00
(デザートは14:00から提供)
DINNER>17:00〜23:00(L.O. フード 22:00/ドリンク 22:30)
HP : http://www.avoseta.jp/

CREDIT
テキスト : 稲田浩、写真 : 笹渕りり子

TAGS
BALMUDA The Kitchen
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