
エディターズノート
「RiCE」第48号「韓国」特集に寄せて
RiCEの第48号は韓国の特集です。
いずれも好評だった本誌の場所切りシリーズですが、東京、横浜、台湾ときて前回が京都でした。おかげさまで昨年春に発売した特集「京都の中味」は大好評。ローカルの方々からも沢山お褒めの言葉をいただき本当に嬉しかった。と同時にまたしてもハードルをあげてしまったなと。次はどんな場所に向き合えばいいのやら、と。
そして今回は、台湾以来となる海外特集に踏み切りました。という流れなら予想通りかもしれませんが、いよいよ韓国です。なんたって海を挟んだ隣国で、近い。日本人の海外渡航先ナンバーワンは、2019年にハワイを抜いて以来常に韓国だとか。
それもむべなるかな。近年を振り返れば、われわれをとりまくポップ/メインカルチャーはいつも韓国発だったといえるでしょう。日本に限らずグローバルな現象として世界中を席巻し続けている。
K-POPや韓国ドラマについて挙げだすときりがないですが、自分が好きな韓国の映画監督にホン・サンスという人がいます。一世を風靡した『パラサイト』のようなサスペンスでもエンタメでもなく、「究極の日常系」とでもいうような、のほほんとした話がまったりと続きます。
非常に多作で、30年のキャリアで30本以上の映画を撮っているのですが、いずれの作品においても、登場キャクターたち(たまに詩人や映画監督)は、たいてい昼間からマッコリや焼酎、ときにワインなどを飲み、さまざまな料理を食べながら会話します。そして大なり小なり酔っ払っては本音がこぼれたり吹き出したり。それのどこが面白いの? という方もいるでしょうが、いやこれがかなり面白くて癖になる。彼ら韓国人の飲食風景は見るたびに身近に感じるし、日本のそれとの親和性を覚えずにいられません。まるで写鏡をみるようで、ときに気恥ずかしく、でも眼が離せない。
こんなにも食を大切にし、相対的にお酒に強くないのに、いやだからこそ飲みニケーションを図ろうとし。食文化も、人間性も、世界中で一番近しく、でも違うところは沢山あって。あらゆる人間関係がそうですが、お互いどちらにフォーカスするかでコミュニケーションや相性は変わってきます。
ご承知の通り歴史的にさまざまな段階を経てきた韓国と日本の関係ですが、過去なんて知らないよ。というスタンスは個人的にはいただけません。まずは知り学ぶ。そんなクレバーな世代がポップカルチャーや食文化を手がかりに新しい関係をナチュラルに構築しています。
今回の特集では、たくさんの韓国通やローカルの力を借りて、普段着の韓国と食文化に迫りました。やはり彼らは私たちととっても似ていて、だからこそお互いの違いに気づけてそれが楽しい。
ところで右頁にあるように、RiCEは次号の出る10月に10周年を迎えます。そして創刊号以来となるお米の特集を組むことにしました。お米といえば日本酒はもちろんマッコリも。RiCEが掲げるフードカルチャーの祭典で、ぜひ乾杯しましょう!
RiCE編集長 稲田浩
イラスト 下田正克 Illustration by Masakatsu Shimoda

- RiCE.press Editor in Chief
稲田 浩 / Hiroshi Inada
「RiCE」「RiCE.press」編集長。ライスプレス代表。
ロッキング・オンでの勤続10年を経て、2004年ファッションカルチャー誌「EYESCREAM」を創刊。2016年4月、12周年記念号をもって「EYESCREAM」編集長を退任、ライスプレス株式会社を設立。同年10月にフードカルチャー誌「RiCE」を創刊。2018年1月よりウェブメディア「RiCE.press」をロンチ。
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