チーズのすべてを好きになるイベントが初開催!

チーズを知り味わい尽くす「チーズとホエイの祭典」を訪ねて那須へ


RiCE.pressRiCE.press  / Nov 9, 2023

本州一の酪農地帯、那須。

冷涼な気候を生かして酪農が営まれてきたこの地では、牛たちがのびのびと草をはむ光景が各所に広がっている。新鮮な生乳を活用したチーズ工房も多数あり、有志メンバーで「那須ナチュラルチーズ研究会」が結成されていて、那須のチーズや酪農を伝えるべく、生産者が手を取り合って日々奮闘している。

そんな酪農の地で、10月28・29日(土日)に初めて開催されたのが「チーズとホエイの祭典」だ。地元のチーズ工房や牧場をはじめ、人気のチーズ工房が全国から集結。各工房の個性溢れる各種のチーズが楽しめるのはもちろん、チーズやホエイを活かした料理も目の前で調理され、さらにはリコッタチーズづくりまで体験できるという、食好きにとって夢のような2日間が実現した。

会場となったのは[GOOD NEWS NEIGHBORS](那須塩原駅からバスで25分ほど)。「バターのいとこ」などの製造工場が隣接する複合施設で、森と共生する“持続可能なまち”をキーワードにコンポストやリユースカップの活用など様々なサステナブルな取り組みを実践する。大人も子どもも犬たちも、とにかく気持ちのいい空間だ

ホエイまで味わい尽くすカルチャーを目指して

「チーズと“ホエイ”の祭典」ということで、チーズの副産物であるホエイにもフォーカスしているのが本イベントの独自性にして魅力だ。チーズイベントは全国にあれども、ホエイまで味わおうというイベントはたしかに聞いたことがなかった。

聞き慣れない方も多いはずの「ホエイ(乳清)」とは、牛乳から固形物としてチーズが作られる際に残る液体のこと。チーズ製造の際、元の乳の約9割がホエイとして出てきて、タンパク質などの栄養をたっぷり含みながらも、多くの工房では活用法が定まらずに廃棄されている現状がある。

リコッタチーズはホエイを加熱して作られる

そうしたホエイを活用して、酪農の恵みを余すことなく食べることは、酪農の未来にもつながる。そうした想いを共有する酪農場、チーズ工房、飲食店が立ち上がり、美味しい食事とともに知る機会を提供することも今回のイベントのテーマとなっていた。

当日のメニューをいくつかご紹介!

(写真のプレート上左から時計回りに)蕪とホエイのポタージュ/アルチザン野菜とホエイドレッシング、根セロリピューレ/甘鯛のホエイポシェ、伊勢海老のアメリケーヌソース

▲[L’Effervescence]スペシャルプレート

サステナブルな食の取り組みが世界から注目を浴びる三ツ星レストラン[L’Effervescence](公式サイト)の限定スペシャルプレート。甘鯛はホエイでマリネすることで旨みを入れつつ、しっとりと感動的なテクスチャーに。ドレッシングやポタージュも、ホエイの酸味によって味わいがより多層的に。

[森林ノ牧場]ミートソースパスタセット

カチョカバロチーズ香るミートソースパスタのお肉は、乳牛としての働きを全うしたジャージー牛を加工したもの。手塩にかけて育てた牛たちに最後まで感謝していただきたいという思いから、市場に卸すのではなく[森林ノ牧場](公式サイト)自ら商品化までを手掛けている。赤身肉のすっきりとした味わいがトマトソースとベストマッチ。「いのちのミートソース」はオンラインでも販売中)

 

▲[GOOD CHEESE GOOD PIZZA]によるチーズワークショップ

GOOD CHEESE GOOD PIZZA]のチーズ職人・貞光信哉さんが講師となりチーズ工房那須の森](公式サイト)のホエイを使ったリコッタチーズづくりワークショップも実施された。ホエイやチーズ作りについて学びながら作りたてのリコッタチーズを味わう体験は各回満員の賑わいとなった。

▲[CHEESE STAND]おまかせチーズプレート &
長野のリンゴジュースブランド[La mela]のリンゴジュース+ホエイ

セミハードチーズ、白カビチーズ、出来立てリコッタ、スモークカチョカヴァッロの4種類のチーズを食べ比べできる贅沢なチーズプレートは、「街に出来立てのチーズを」でお馴染みの[CHEESE STAND]から。

生産者課題にも向き合いながら、長野県中信地区産100%ストレートりんごジュースをつくる[La mela]は、リンゴジュースにホエイをブレンド。爽やかでコクのある一杯。

BROWN CHEESE BROTHER]のブラウンチーズハンバーガー

ブラウンチーズもホエイを活かしたチーズの一つ。ホエイをじっくりことこと煮込んで作る北欧発祥のタイプだ。コクのある甘みと乳酸由来の酸っぱさのブラウンチーズを使った[BROWN CHEESE BROTHER]のブラウンチーズバーガーは大人気。

また[GOOD NEWS NEIGHBORS]では、ブラウンチーズを使ったアップサイクルのお菓子「ブラウンチーズブラザー」も常時販売している。

甘酸っぱいブラウンチーズをサクほろ食感のガレット生地で挟んだクッキーサンド。ホエイがチーズになる日を夢見て立ち上がり、ホエイにしかなれない「ブラウンチーズ」になったというお菓子のストーリーには、“何にだって価値がある”というメッセージが込められている。自分へのご褒美にはもちろん、大切な人へのギフトにもピッタリ

那須の酪農が続いていくために

おいしく味わいながら、酪農やチーズについて考えるきっかけを与えてくれる今回のイベント。チーズ工房や牧場に呼びかけイベントを先導した[森林ノ牧場]代表の山川将弘さんの姿も会場にあり、盛況ぶりに目を細めていた。

「牛乳の消費が減ってきている今、大量生産して流通させる既存の酪農の仕組みは限界を迎えてきています。これからも酪農が持続していくには、小さい規模でもしっかりと価値を上げていく方法を考えなければいけません」と、酪農の未来について、思いを語ってくれた。

[森林ノ牧場]代表・山川将弘さん

[GOOD NEWS NEIGHBORS]から車で20分ほどの距離にある[森林ノ牧場]では、未利用だった森林を活用して放牧農を行なっている

「チーズとホエイには、そこに対するひとつの答えがあります。牛乳は賞味期限が短く流通が安定しにくいですが、チーズは熟成すればするほどおいしくなっていくし、価値も高くなる。つまり時間を味方につけることができるんです。地域としてチーズ作りに取り組むことで、那須の酪農が続く形を作っていきたいと考えていて、皆さんと一緒に学びながらアクションを起こしているところです」

(左)63℃でじっくり低温殺菌されたジャージー牛乳
(右)ジャージー牛の大吉はお食事の最中だった

「そのためには、チーズの副産物であるホエイを活用していくことも大切です。リンゴジュースとホエイを混ぜてみたり、ブラウンチーズでクレープを作ってみたり。うちの工房だけじゃなく、那須の地域全体で色々な食べ方を考えることで、当たり前にホエイが食べられるようになってほしい。今回みなさんに食べていただいて、ホエイはおいしいということが少しでも広まればいいですね」

中学生の頃に北海道に行った際に出会った牧場の景色に心打たれたという山川さん。「牧場って、光や音が本当に良くて今でも感動するんです。そういう光景を作りたい、いろんな人に見てもらいたいと思いながら酪農をやってます」

カップルに子ども連れの家族、地元の人から遠方の人まで。生産者との対話を通してチーズやホエイのおいしさに出会える会場は笑顔にあふれていた。

“酪農の未来は明るい”
そう思わせてくれる光景から、那須のチーズとホエイの物語は始まっていく。

🧀出店したのはこちら!(各店舗名からInstagramに飛べます)🧀

▶︎チーズ工房
あまたにチーズ工房GOOD CHEESE GOOD PIZZA千本松牧場チーズ工房那須の森CHEESE STANDナカシマファーム㈲那須高原今牧場チーズ工房那須高原りんどう湖ファミリー牧場「Mekke!マルシェ」美瑛放牧酪農場フィンランドの森 チーズ工房メッツァ•ネイト

▶︎飲食店
cucina italiana VINCI CLASICOKURIYAMA JUICE STANDココ・ファーム・ワイナリー茶房花苑しる森林ノ牧場pizzeria dellfeenoBROWN CHEESE BROTHERhebeerryk! /L’Effervescence

▶︎農産物
那須栗園

▶︎体験
Norfolk Gallery by Dear, Folks & Flowers

チーズとホエイの祭典
日時  10月28日、29日 10:00-16:00
場所  GOOD NEWS NEIGHBORS(栃木県那須郡那須町高久乙24−1)
入場  無料 
主催  チーズとホエイの祭典実行委員 
   ・那須ナチュラルチーズ研究会
   ・株式会社GOOD NEWS 
   ・ファーマーズマーケット株式会社
Photo by Tameki Oshiro @tameki_oshiro
Interview by Yoshiki Tatezaki
Text by Rin Inoue
TAGS
BALMUDA The Kitchen
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