【RiCE東京特集】23区ドラフト会議 2023

日本が詰まった冷やし中華。千代田区[揚子江菜館]


RiCE.pressRiCE.press  / Apr 27, 2023

発売中のRiCE 28号「特集 おいしい東京」では、「東京23区 ドラフト会議 2023」と題した企画を実施。飲食店が星の数ほど存在する東京において、“果たしておいしいのはどこ?”という途方もない問いに、4名が挑戦した。

野球のドラフト形式で、“おいしい区”を指名し合い、東京を彩る名店をピックアップ。RiCE.pressでは、本誌では語り尽くせなかったお店の魅力をご紹介!

3回目は、五十嵐可菜さんが2位指名した千代田区から、神保町にある老舗中華料理店[揚子江菜館]。

[揚子江菜館]は明治39年にオープンし、100年以上も神保町で続く老舗中華料理店。お面のイラストを目印に店内に入ると、淡いピンク色のテーブルクロスと無駄の無い落ち着いた空間が広がっている。

そんな空間に突如現れる、富士山を模した迫力満点の一皿。元祖冷やし中華と呼ばれる、五色涼拌麺だ。昭和8年に登場した五色涼拌麺を前に、冷やし中華の歴史を感じる。

冷やし中華は「涼しげに混ぜて食べるそば」
そう語ってくれたのは揚子江菜館の店主、沈松偉(ちんしょうい)さん。
冷やし中華の味の歴史を存分に教えてくれた。

メニュー開発当時、空調や冷蔵庫はなかったそう。そんな時に涼しい気分を提供したいという想いから、開発されたのがこの五色涼拌麺。涼しさを感じさせる為に出来上がった甘酢だれは、200回以上も試作をしたらしい。

当時冷やし中華を食べていたご婦人達の気持ちを想像し、甘酸っぱいタレに懐かしさを感じてみる。“甘い”という味覚が高級だった時代を思えば思う程、目の前の五色涼拌麺がきらきらと輝いて見えること間違えなし。

盛り付けは、富士山の四季がイメージされている。
春の大地をイメージしたチャーシュー、夏の定番きゅうり、落ち葉を模したタケノコ、そして冬の雪に見立てた糸寒天が綺麗に麺を囲んでいる。加えて、雲を表現した錦糸卵が麺の山頂に。
富士山一年分がこの一皿に凝縮されている。

さらに椎茸、さやえんどう、エビがトッピング。麺を掻き分けると、うずらの卵と肉団子が顔を見せる。お店のお茶目な遊び心に笑顔になる。
五色と名乗りつつも、十種類の具材にこだわる理由は「十全十美」を意識してのことだそう。

そんな完璧な冷やし中華が東京の下町、神保町に存在する。冷やし中華一皿をとってみても、その料理が持つストーリーは計り知れない。

東京には、こんな常連客になりたくなるような隠れた名店がまだまだたくさん。RiCE 28号「特集 おいしい東京」片手に、あなただけの “TOKYO SOUL FOOD” を見つけに街へ繰り出そう!

揚子江菜館
050-5484-8876
東京都千代田区神田神保町1-11-3 神保町菊英ビル
11:30~22:00(L.O.21:30)年中無休
https://gewe600.gorp.jp

五十嵐可菜
永福町[中華可菜飯店]店主。出身は北海道。京都での大学生活を経て、10年ほど前に東京で中華料理の世界に入る。作るのも食べるのも中華が中心。在住歴は世田谷区、中野区、渋谷区
Instagram @chukakana_hanten

Photo by Masahiro Ibata
Text by Airi Kato

RiCE28号|おいしい東京

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