一期一食
#35 定点観測2021
毎年かならず訪れるお店がある話は以前したが、今年もあっという間にその時期が来た。
この連載でもたくさん記事を書いているので、そこを追ってもらうとこの1年の僕の奮闘(いつもバタバタしてて申し訳ないです)が面白おかしく綴られていますが、こういう日できちんと自分を愛でることはとても大切。
毎年恒例のNARISAWAさんにてご飯をいただきました。ちょうど、夜の閉店時間が早まったことや、この日からお店でのアルコールの提供が禁止になり、今年はランチでかつペアリングもお茶のペアリングとノンアル(フルーツやフレーバーが入った飲み物)のペアリング2種類が用意されていたのでどちらも楽しんできました。当日にすぐに準備できるあたりがやっぱりお店の素晴らしさだなと思いました。
成澤さんが里山にインスパイアされて料理をされていることはとっても有名ですが、このようなメニューの説明もなんともまぁ楽しいこと。他のページもあるんですが、このページだけチラ見せね。この日は僕にとって誕生日以上に大切なので。
まずは、ぐっと一献。日の丸のプレゼンテーションから始まるNARISAWAスタイルが大好きだ。スイッチが入る。茶道でお茶を点てる直前に、居住まいを正すんだけど、その一瞬の一呼吸で入り込む。その間があるとないとじゃ大違い。効率性だけじゃダメですよね。
いただきます。
森のパンの準備、ノンアルコールの泡、毎年恒例の鮎。本当にいつも通りに安心する。ここに今年も来られたって。
アオリイカとキャビア、甘鯛とタラバガニとうどと下に引かれたスープが優しいお味だった。今年の森のパンは桜が散りばめられていた。クロムツとれんこんと花山椒。一つ一つの素材が丁寧だな。毎日外にも出にくい日常を少し忘れさせてくれる。食べていくうちに色んなものが削がれていくんだよなぁ。
五穀豊穣というタイトルのアイコニックな一皿。真ん中にはサワラです。今年のコースはお魚がとっても多いコースで楽しいです。そして、クエを揚げたもの。ラグジュアリーエッセンスと名付けられた一皿は、赤座海老。とっても上品なスープでした。ここまでで十分コースなんだけど、ここから最後にお肉が出てきます。神戸ビーフ。京都の白子筍がとってもいいアクセントになっていました。普段僕はここのアルコールのペアリングでたくさん飲んじゃうんです。美味しいから。今年は初めてノンアルコールのペアリングだったのだけど、身体感覚が全く違って面白かった。ノンアルだからこそペアリングも2コース準備できたでしょうし、これも新しい感覚。同じものを口にするならばこうやって喜びは常に感じていたい。
デザートの時間です。いちごと阿蘇のミルクで作られたジェラートから。苺の酸味がたまらないよ。マキアート飲みながら最後の時間を楽しんでます。そして、ペルーのアマゾンカカオの一皿。最後にガツンとやってもらった感覚。そして、最後に八女茶と最中。
和とか洋とかカテゴライズすること自体がもうナンセンス。その人の見立てに心と体を委ねて時間を過ごす。僕は成澤さんの愛情深い料理が大好きだし、通い続けられる限りはそうしようって思ってる。本当は、季節毎に行くと更に楽しめるのはわかっているけど、この春にだけ行くことに、今のところはしている。
最後に、ノンアルで行くことの最大のメリットは車で行き来できること。こういうご時世できる限りルールを守りながら最大限楽しむ。
今年もありがとうございました。
また、来年。
- Bassist
濱田 織人 / Orito Hamada
ベーシスト、音楽プロデューサー、クリエイティブディレクター、NPO法人SOMA副代表理事、アトリエリスタ、茶道家。芸術修士(MFA)。スタジオミュージシャンとして演奏活動しながら、作編曲、作詞、プロデュースと幅広く活動。2017年クリエーティブブティック創業後、活動範囲を音楽以外にも拡大し、芸術教育などにも力を入れ始め、NPO運営にも携わる。日本唯一のベースの専門誌ベース・マガジンにて連載経験あり。プライベートでは、裏千家茶道家として初音庵主宰。密かに楽しんでいたサウナの魅力をゆるやかに発信中。サウナ・スパプロフェッショナル。 https://www.instagram.com/oritosroom/
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