ワインの心

ボージョレヌーボーだけがボージョレではない? 今広がりつつあるガメイの魅力


Motohiro OkoshiMotohiro Okoshi  / Feb 15, 2018

フランス・ブルゴーニュ地方のボージョレ地区。

ボージョレヌーボーを産することでよく知られた産地であり、日本はフランスよりも東に位置していることから、ボージョレヌーボーが本国より早く飲めるとあって世界で最も多く輸入しており昔から人気がある。

ボージョレヌーボーはいわゆる新酒であり、その年の収穫で取れた葡萄に対して感謝するもの。人気や流行で飲むと言うよりはワインを愛する者なら、一年の収穫に感謝して、気軽にみんなで、年の最初の一杯を分かち合う。そんな付き合い方がちょうど良いワインと僕は感じている。

しかし昨今日本ではその人気に少し陰りが見えてきているのだが、世界ではこのボージョレ地区のワインや葡萄品種であるガメイに注目が集まっている。ただしそれは、ヌーボーにではなく、クリュ デュ ボージョレと言われる村の名前を冠したワインにである。実質USAやUKのマーケットでは、クリュ デュ ボージョレの輸入量が日本の5倍、10倍以上である。

本来ボージョレ地区のワインの本質的な素晴らしさは、ボージョレヌーボーではない。近年のブルゴーニュピノ・ノワールは、何年も続いている霜や雹による被害を受けながらも、世界の需要はどんどん増しており、値段の高騰が目立ち始めている。

冷涼なタイプのフレッシュなワインが求められている市場において、ピノ・ノワールのようにエレガントで、渋みも控えめ、少しペパリーな要素を持ち合わせるボージョレワインが注目されるというわけだ。

トップ生産者のものには、鉱物的な風味と透明感のある味わいが共存しており、ピノ・ノワールに決して劣らないハイクオリティーな味わいを表現している。また、熟成することで、得られる風味やテクスチャーの恩恵を素晴らしく発揮するワインも沢山あるのだ。

2018年1月にボージョレに旅をした時には以前から大好きな生産者Jean Foillardを訪ねた。ナチュラルワイン生産者であるが、彼のワインのスタイルはいわばクリーンナチュラル。味わいの透明感とナチュラル的なフィロソフィーが見事に融合した味わいで、僕が最も注目するスタイルの味わいだ。

▲ ボージョレのブドウ畑。収穫が終わり、春まで、休眠中の畑

彼のトップキュベMorgon Cote de Pyは厚みと骨格のしっかりしたミネラリーな味わいがあり、焦点の定まった、クリアで力強く余韻の長いワインである。彼と一緒に熟成した2009年をシャルキュトリー(豚のサラミなど)と楽しみながら飲んだ時には双方の複雑な味わいがスパークした。

現在世界の温暖化の影響もある中、ニュージーランドのセントラルオタゴや、オーストラリアのヴィクトリア州、カナダのプリンスエドワードカウンティ、スイスのピノ・ノワールとブレンドしたDoleなどで、注目すべきガメイに出会っている。

つい先日とあるワインセレクションでもボージョレの素晴らしいワインをセレクトしたばかり、本来のガメイの魅力が今広がっている。

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