タコス特集 #3 タコスパーティー 2.0 : タコス編
カルニタスもトルティーヤも、スクラッチから仕込む
タコスが流行り始めて久しい。街にはタコス屋さんが増え、私たちはいつの間にか、トルティーヤの種類やサルサの違い、ローカルごとの味わいにまで目を向けるようになった。
それなのに、ホームパーティーのタコスはどうだろう。
フラワートルティーヤに、タコスミックスで炒めたひき肉、市販のワカモレとサルサ。もちろんそれだって楽しい。でも、「タコパ」がもはやタコスパーティーの略称になりつつある今、家で食べるタコスにも、もう少し本気になってみたくないですか。
今回提案するのは、スーパーで買える食材を使いながら、カルニタスもトルティーヤもスクラッチから仕込む、一歩先のタコパ「タコスパーティー 2.0」。
いつものホームタコスに少しだけ物申したい料理人と、食べるのが大好きな編集部メンバーで、本気だけどちょっとゆるい、わいわい楽しめるタコスパーティーを開いてみました。
今回取材に協力してくれたのは、瀧原櫻さん。
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宮城県出身。調理学校卒業後、RICOLETTOやHacienda del cieloでイタリアンスパニッシュとメキシカンに携わる。その後、フリーランスでフードコーディネーター、イラストレーターを経て今は渋谷にある天ぷらと白ワインの店[テンキ]で働く。(写真は本人提供)
◎カルニタス
人によって作り方の違いが大きいカルニタス。使う部位も味付けも、火入れの具合も、その人の好きな味がダイレクトに反映される。
きっとメキシコでは、それぞれの家にそれぞれの“正解”があって、誰かの母の味だったり、思い出の味だったりするのだと思う。ああでもない、こうでもないと言いながら食べる肉料理には、それだけでロマンがある。
でも、そんなことは一旦いいんです。
肉の脂でじっくり煮込まれた豚肉に、オレンジ、クミン、にんにく、そしてコーラ。響きだけでもう、みんなが好きな味。今回のレシピは「マーマレードポーク」のような甘みとコクを目指した、親しみやすいカルニタスです。
手をべとべとにしながら、指までおいしいカルニタスのレシピをどうぞ。
–レシピ(4人分)–
豚バラ 500g
豚肩ロース 500g
ラード 適量 ※なければクセのない油で代用可
オレンジ 1個
玉ねぎ 1個
にんにく 2かけ
クミンシード 適量
水 180mL(コップ1杯分くらい)
コーラ 350mL缶で余るくらい
エバミルク 大さじ5くらい
<下準備>
1.豚肉は5cm角に切り、重量の1%の塩で30分~一晩置く。
2.オレンジは皮を剥き、白い筋を取り除く。皮と果肉を使うイメージで、果肉はざく切りに。
3.玉ねぎもオレンジと同じくらいの大きさでざく切りにする。長時間煮込むので、大きさそこまで気にしないで大丈夫。
4.にんにくはつぶしておく。
<工程>
まずは、豚肩ロースと豚バラを用意。
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鍋にラードを熱し、肉に焼き目を付ける。
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そこに玉ねぎとオレンジ、塩、にんにく、クミンシードを足して、水とラード大さじ3杯、鍋ひとまわし分くらいのコーラを入れる。
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玉ねぎから水が出るので、水は少なめで大丈夫。
落としぶたとふたをして、「つかんだ時にホロホロ崩れる」のを目指して1~2時間ほど煮込む。
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コクとまろやかさを出すためにエバミルクを足して、10~15分ほどさらに煮込む。
最後に、ラードを二周くらい加えて、揚げ焼きみたいにするとうまみ爆発です。
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ホロホロ具合のイメージ。
◎トルティーヤ
スーパーに売っている市販のトルティーヤは大体がフラワートルティーヤ。フラワートルティーヤももちろんおいしい、私もラップサンドを作るときによく使っています。
が、しかし。
今回は本気のタコスパーティーなので、トルティーヤも粉から作る。使うのはマサ粉。とうもろこしの香りがふわっと立つ、タコスのための土台です。
生地を丸める人、プレスする人、焼く人、食べる人。みんなで分業しながら、作りながら食べながらを繰り返す。毎回あつあつを食べられるのも、ホームパーティーでトルティーヤを焼く楽しさ。
ちょっとお腹いっぱいになったら休憩して、また焼けばいいしね。
せっかくなので、トルティーヤプレス機を買ってほしいです。新たな世界が広がります。
-レシピ(4人分 焼いたものは冷凍保存も可能)–
マサ粉(今回はイエロー)300g
ラード 大さじ1杯
水 100g~
塩 ひとつまみ
※マサ粉:水=3:1を目安に、生地の状態を見ながら調整。
マサ粉と塩を混ぜ合わせたものにラードを入れる。
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パサつきを防ぐのとうまみ要員で、ラードを加える。
水は、やわらかくなりすぎるのを防ぐためにも、数回に分けて入れるのがポイント。
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粉っぽさがなくなってきたら、ググっと力を込めて練り込んでいく。
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目指すは、大人の耳たぶくらいのやわらかさ。
求めるやわらかさになったら、15gほどずつに分けて生地を丸める。サイズの目安はリンツのチョコくらい。
不安だったら、一枚試しに伸ばしてみて生地の状態を見るのもいいかも。
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表面が「つやん」としているのも、大事なポイント。
まるめたら、乾燥しないように濡れたふきんや手ぬぐいをかけておく。
トルティーヤは乾燥が天敵なのです。
でも、もし乾燥した場合も、練り直したり霧吹きをしたりして、もう一度うるおいを与えてあげれば大丈夫。だからそんなに神経質にならず、ゆるゆるっとやりましょう。
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写真下がトルティーヤプレス機。重い方がうまく伸ばせるからいいかも。
ここから、一つひとつをプレス機で伸ばしていく。
ジップロックを本の見開きのようにカットし、生地を真ん中にセットして挟む。
均一な薄さを目指して、プレスしては生地を少し回転させる、という作業を繰り返す。
そして最後は、伸ばした生地をフライパンやホットプレートなどで焼いていく。焼いているときにちょっとぷくっとするのが、調子のいいトルティーヤの証拠。
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焼き加減も基本お好みで大丈夫。ただ、パリパリすぎると包みにくいかも。
焼き上がったものはおひつや濡れふきんをかけて保存すると、蒸せて少し包みやすくなるのでおすすめ。
さあ、すべての具材を抱きとめる土台が完成しました。
◎サルサ・メヒカーナ
いわゆる「サルサ」と聞いて多くの人が想像するであろうあのソース、正式にはサルサ・メヒカーナと言うんです。
でも実はサルサは、辛さや材料、用途によって数えきれないほど種類があるもの。メキシコの食卓にはもっと自由で多様なサルサの世界が広がっています。
そして今回のメヒカーナには、イチゴを入れてより甘酸っぱい仕上がりに。食欲がない日でも食べられるメヒカーナは、これからの時期、もはやタコスとか関係なく冷蔵庫に常備しておきたい一皿です。
–レシピ(4人分)–
トマト中玉(みじん切り) 2個
赤玉ねぎ(みじん切りにして水にさらしておく) 1/8個
イチゴ(みじん切り) 4個
パクチー(みじん切り) 3本ほど
ハラペーニョ(みじん切り) 適量
ライム 1/8カットを2個
塩 適量
ライム以外の食材をすべてボウルに入れる。
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メキシカンでは、フルーツを食事に使うことが多い。これからの季節は、イチゴの代わりに、スイカやプラムにするのもおすすめ。
ライムを絞って塩を入れ、さっくり混ぜ合わせれば完成。
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汁っぽくなるのを防ぎたかったら、トマトの種を除いてしまうのも手。
◎すり鉢ワカモレ
ワカモレの基本は、メヒカーナにアボカドを足したもの。なので、レシピはメヒカーナの流用でいけちゃうんです。
今回は、材料をすべてすり鉢にいれて、すりこぎでつぶしていく。本場ではモルカヘテという石臼を使うけれど、ここは日本なので、すり鉢でジャパニーズスタイルに。
すり鉢がない場合は、ボウルとフォーク、あるいはスプーンでも代用可能。あるもので代用していくDIY精神、かなり大事です。
–レシピ(4人分)–
アボカド 2個
トマト中玉(みじん切り) 2個
赤玉ねぎ(みじん切りにして水にさらしておく) 1/8個
パクチー(みじん切り) 3本ほど
ハラペーニョ(みじん切り) 適量
チチャロン お好みで
ライム 1/8カットを2個
塩 適量
すり鉢に種を取り除いたアボカド、トマト、パクチー、赤玉ねぎ、ハラペーニョとチチャロンを加える。
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右端にあるのはチチャロン。豚皮を揚げたスナックで、クランチ食感とうまみがアップ。
ライムを絞って、塩で味を調えたのち、すり鉢でざっくりスマッシュしたら完成。
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強いて言えば、つぶし過ぎず少し食感が残るくらいで止めるのがおすすめ。ザクロやフェタチーズをのせてもグッド。
◎タコス
そしたらもう、好きな具材を焼きたてのトルティーヤに挟んで食べるだけ。
カルニタス、サルサ、ワカモレ、ライム。焼きたてのトルティーヤに、好きなものを好きなだけのせる。ルールなんて、ございません。
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黄色いソースもサルサ・トマティージョというサルサの一種。ちょっと2.1すぎるので、記事の最後に追記するおまけレシピを参考にしてくださいな。
でも、トルティーヤを焼いて、肉を煮て、サルサを刻んだあとに食べる一口は、ちゃんといつものタコパとは違うはず。ちゃんと感動するし、おいしすぎて不思議と笑ってしまう。
「生まれてきてよかった」は少し大げさかもしれないけど、そのくらいの気持ちを同じ時、同じ場所で、自分の好きな人たちとシェアできるのって、やっぱり特別ですよね。
ホームパーティーなので、多少失敗してもなんだかおいしく感じる。というか、その失敗をアテにお酒が飲めちゃうので、むしろプラスです。
次回は、食卓に花を添える、意外となじみのないメキシカンの前菜たちを紹介します。お楽しみに。
極めたいあなたへ。おまけのレシピ
①サルサ・トマティージョトマティージョ 8個
210℃のオーブンで焦げるまで焼く。フライパンに
ワヒージョ 1個
ニンニク 1かけ
を癖のないオイル(こめ油おすすめ)30gで低温でじっくりコンフィ。
(目安:焦げる手前、ニンニクがきつね色になってやわらかく、ぶちゅっと潰れるくらい)トマティージョとコンフィしたものをまとめ、ミキサーで回す。
塩で味を整えて完成。Photo by Misa Shimazu(写真 島津美紗)@smzms_620
Text by Terra Owen