連載「この町の正解。酒場のいい順路」#4
食通に聞く、ローカルはしご酒ガイド|三重県・伊勢編
旅のはじまりは、ちょっとした戸惑いから始まることがある。
さて、どこへ行こう?
旅先でふと湧きあがるそんな疑問に、やっぱり頼りたいのは、その街を知る人の声。
今回案内してくれるのは、「物流」をテーマにクラフトビールやアパレルなどを展開する〈MERRY LOGISTICS〉などを手がけるブランドディレクター・澄田果林さん。
伊勢に足を運んだのは、友人が立ち上げた飲み屋兼宿泊施設[ONAKAMA]がきっかけ。十数年ぶりに訪れた伊勢の町には、思っていた以上に素敵な飲み屋がたくさんあって、すっかり魅了されてしまったそう。今回は、そんな果林さんが友人とめぐった2泊3日旅の、ある一日をご案内。
普段は、初めに訪れたお店でおすすめを聞き、そこから次の一軒へと、流れに身を任せて飲み歩くのが果林さんのスタイル。予約も正解も決めず、地元の人の声を頼りに、その日のルートを組み立てていくのだとか。ガイドブックにもSNSにも出てこない、ローカルにしか見えていない店の魅力を、体当たりで掘り当てていく。そんな「情報は現地で取る派」の澄田さんが歩いた、伊勢のいい順路、ぜひご一緒に。
「三重県・伊勢」エリア by 澄田 果林
11:00 [若草堂]
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14:30 [ぎょうざの美鈴]
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16:00 [千成]
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18:00 [一月家]
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20:00[スナック卯月]
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22:30[ONAKAMA]
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11:00 [若草堂]参拝前に、老舗でうどんと瓶ビール。
伊勢神宮を参拝する前に、腹ごしらえと始まりの一杯を。伊勢うどんと瓶ビールをいただいたのは、創業70年を超える老舗。現在は、ご高齢の女将さんがおひとりで切り盛りされていて、店に入った瞬間、タイムスリップした気持ちに。
天然レトロな異空間のなかで味わう伊勢うどんはもちろん、お店のたたずまいや女将さんの佇まいも含めて、すべてが尊い店。
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14:30 [ぎょうざの美鈴]餃子の名店で忘れられないのは、おにぎりの“手の味”。
参拝を終えたら、伊勢の名店のこちらへ。焼餃子、唐揚げ、カニクリームコロッケ、そしておにぎりを注文。ここで、今回の旅最大の衝撃が走ります。そう、「おにぎり」です。あまりの美味しさに、全員が即おかわり。それだけで終わらず、なんと翌日もおにぎりのことが忘れられず、ハシゴ酒の途中にテイクアウトしに再訪。お米の炊き加減や絶妙な塩加減…そういう言葉では足りない、なんとも言えない味わい。おにぎりを専任で握る(おそらく)方がいらっしゃったのですが、その手のひらに魔法がかかっているとしか思えない。
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韓国には「手の味」という言葉があるそうで、“おふくろの味”に近い意味らしいのですが、まさに、あれが「手の味」だったんだなあと、今でも余韻にひたっています。
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16:00 [千成]うまい、安い、伊勢らしい。憧れの酩酒場へ。
憧れの伊勢酩酒場へ。古き良き佇まいと活気ある店内、その空気だけでもう最高なんですが、さらに驚くのはメニューの豊富さと、そのどれもがリーズナブルで美味しいこと!刺身、焼き鳥、そして伊勢の郷土料理「さめたれ」(鮫を干したもの)まで、つい頼みすぎてしまうラインナップ。 お酒は温かい日本酒に、チェイサーがわりのビールを添えて。
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18:00 [一月家]三重の地酒と、名物づくしの酒場。
千成から歩いてすぐ、憧れの伊勢酩酒場その二へ。こちらも店内は大賑わい。ここでは「ふくだめ(=とこぶし)」に湯豆腐(“日本三大居酒屋湯豆腐”らしい)、いわし酢、あさりの酒蒸し、そして隠れた名物「カレーライス」などをオーダー。お酒は三重の地酒を、ふくだめを食べた後の貝殻に注いで一杯(誰もやってなかったけれど)。最後に現れたのは、そろばんを手にした素敵な大将。絶対人気者に違いない風格で、お会計は、びっくりするほど良心的。 壁にかかるメニューに値段は一切書かれていませんが心配無用です!
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20:00[スナック卯月]飲んで、歌って。気さくな町スナック。
一月家から徒歩10分ほど、駅のほうへ歩いた先に現れる、アットホームなスナック。長細いコの字型カウンターのみの店内なのですが、半分はハイチェア、その対面半分は小上がりの座敷になっていて、靴を脱いで上がるという不思議なつくり。4,000円で飲み放題・歌い放題、スタンドマイクあり。ママも常連さんもあたたかく、誰でもすぐになじめる空気が心地よいスナックです。 歌いたくなったら、ぜひ!
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22:30[ONAKAMA]帰ってきたら、最後はカレーを。
伊勢滞在中のお宿でもある[ONAKAMA]に帰着。ここは、友人でもあり出張カレー屋としても人気の“カレージョッキー”ことCJくんが営む、飲食・ギャラリー・宿泊がひとつになった場所。宿泊者でなくてもふらっと立ち寄って飲んだり食べたりできる、街の憩いの場です。この日も遅くまで賑わっていました。散々飲んで食べて歌った後も、[ONAKAMA]に来たならCJの激ウマカレーを食べナイト!ということで、最後の締めにカレーをいただいき、 伊勢のハシゴ酒はお開き。就寝。
以上が一通りの巡り方。でも、「まだ飲み足りない・もう少し寄り道したい・さらに楽しみたい」。そんな方へ、果林さんが教えてくれた追加案内をどうぞ。
伊勢の地ビールといえば、お馴染みの[伊勢角屋麦酒]。参拝後、すぐに乾杯するならこちらで。(朝9:00から営業!)外宮のあとには外宮前店、内宮のあとにはおかげ横丁の内宮店へ。お参り後の乾杯に。
📍[酒のあおき]
[ぎょうざの美鈴]の向かい、[ONAKAMA]のすぐ隣にある老舗の酒屋さん[あおき]。 美鈴は人気店なので、並ぶこともしばしば。そんなときは、ぜひあおきへ立ち寄るのがおすすめ。日本酒からクラフトビールまで幅広いラインナップで、私は三重で人気の〈ひみつビール〉のクラフトビールを購入。美鈴の待ち時間に楽しみました。看板娘でもある店主の奥さん・千香ちゃんは、明るくてとても気さく。おしゃべりするだけでも楽しくて、ちょっと寄り道したくなる酒屋さんです。
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📍[AHL]
素敵な空間のバー。クラフトビールやナチュラルワイン、カクテルなどお酒も豊富に揃っています。今回は2日目の昼、ワインを一杯いただきにふらりと訪問。食事メニューもとても魅力的だったので次回はゆっくり再訪したい!
案内人:澄田果林(すみた・かりん)
株式会社CAPES所属のブランドディレクター。“物流をもっとポップに”をテーマに、クラフトビールやアパレルを展開する〈MERRY LOGISTICS〉や〈TOJO〉の企画・運営、「物流百貨店」のショップ運営などを手がける。ほぼ週7で飲みに出る愛飲家で、旅先でも日常でもスナックは高確率で立ち寄る場所。最近は自宅でのお燗酒にも目覚め、晩酌にも余念がない。 IG: @okawarin