足を運びたくなる福島の酒と食の魅力
FUKUSHIMA SAKE SEVENフェア開催
2025年の11月から2026年の1月にかけて福島・東京・関西の飲食店でFUKUSHIMA SAKE SEVENフェアが開催される。
「究極の美味しさは産地にあり!」を理念に、福島県の酒と食の魅力を伝えるプロジェクト“テロワージュふくしま”。
その活動の一環として、福島の“今“を伝えるべく、県内の7軒の造り手を「FUKUSHIMA SAKE SEVEN」として選出した。
フェア参加店舗では、各蔵のお酒と料理のペアリングが楽しめるほか、期間中には特別イベントも予定されている。
詳細は“テロワージュふくしま”の公式サイトをチェックしてほしい。
(テロワージュふくしま Terroage Fukushima)
FUKUSHIMA SAKE SEVEN
福島のお酒といえば日本酒。そんなイメージを抱く人も多いだろう。
しかし近年は、ワインやジンなど、多彩な酒づくりが県内各地で進んでいる。
“テロワージュふくしま”が選んだ造り手たちは、それぞれ土地の風土や文化を大切にしながら、新しい挑戦を続けている。
7蔵それぞれのおすすめの1本
フェアに先立ち、都内で行われた試飲会では、7軒それぞれの個性が披露された。ここでは、その7軒を紹介する。
■吾妻山麓醸造所(ワイン/福島市)
2019年に吾妻山のふもとに誕生。カリフォルニア大学でワイン醸造を学んだエノログ(醸造家)が手掛けるワイナリー。
オーク樽で熟成されたメルローや、シャルドネはしっかりとしたボディとふくよかな味わいが特徴。福島市産のりんご100%を使ったシードルも人気。
■かわうちワイナリー(ワイン/川内村)
耕作放棄地の再生から始まり、2021年に醸造をスタート。
ステンレスタンクで仕込む川内村産ぶどう100%のシャルドネは、冷涼な気候が生む綺麗な酸と豊かなアロマが魅力。北海道・余市町のぶどうを使ったオレンジワインなど、多彩な味わいを展開している。
■ぷくぷく醸造(クラフトサケ/南相馬市)
“境界線を溶かした日本酒”をコンセプトに、全量酵母無添加の自然発酵やビール醸造の手法と取り入れたクラフトサケを生み出す。
2024年に自社蔵を設立し、浜通り産米を使った酒づくりを行う。ホップを使った個性豊かなクラフトサケや、フルーティーでジューシーなドブロクが楽しめる。
■ホップジャパン(クラフトビール/田村市)
2020年に醸造を開始した、国内でも珍しいホップ栽培からビールづくりを行うブルワリー。“人・もの・ことをつなぎ、人々を笑顔にする”という理念のもと、持続可能な社会づくりを目指す。
定番のIPAや White Wheat Aleは、軽やかな口当たりと香りの良さが魅力。クラフトミードのAllez hopは、甘さを抑えたドライな味わい。
■naturadistill 川内村蒸留所(クラフトジン/川内村)
2024年にオープンした、日本の固有植物に着目し、”日本の香りを世界へ届けること”を目指す蒸溜所。代表の大島さんは、ホップジャパンで醸造経験を積んだ。
1作目「固有種蒸留酒」、2作目「紫蘇忽布蒸留酒」ともに、減圧蒸留による繊細な植物の香りと柔らかな口当たりが印象的。
■矢澤酒造店(清酒/矢祭町)
天保四年(1833)創業以来、清流・久慈川の伏流水を用い、伝統的な酒づくりを今も守り続ける。
“食事に寄り添うお酒”を大切に、インターナショナルサケチャレンジで1位を受賞した「白孔雀」をはじめ、世界で評価される銘酒がそろう。
■大和川酒造店(清酒/喜多方市)
寛政二年(1790)創業。九代にわたり酒づくりを続け、無農薬・減農薬の米にこだわる。自社の田んぼやそば畑を耕すなど“農”の世界にも積極的に関わり、原点から酒を見つめ直す姿勢が印象的だ。
全国新酒鑑評会で金賞を受賞した「弥右衛門」や、天然乳酸菌の酸味が特徴的な「純米SUN」など、幅広いラインナップが魅力。
どの造り手も、地域の文化や未来の世代を見据えながら、お酒づくりに取り組む。そんな温かな人々が生み出すお酒と、福島の気候風土がもたらした食材とのペアリングを味わうと、自然とその産地へ足を運びたくなる。
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テロワール(風土)とマリアージュ(組み合わせ)を掛け合わせた言葉、
“テロワージュ”。ぜひ、この冬は福島のテロワージュを体感してほしい。
Photo by Tameki Oshiro(写真 大城為喜)
Text by Terra Owen
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