連載「YADOKARI LIFE IN KUMAMOTO」#2

中毒者続出ヨダレカレー


Naoto MorishimaNaoto Morishima  / Sep 27, 2025

住まいも決めず、ほぼ無一文状態で東京から熊本に移住した僕が「Yadokari Life in Kumamoto」と題し、主に職場のコーヒーショップを通して出会った人々を紹介する連載第2回。

元々文章を書くのに少し苦手意識や抵抗があったけれど、初回の記事を見てたくさんのうれしい連絡があったので、「あれ、案外向いてるのか?」とお調子者の僕は勘違いを起こし今回からツラツラと書かせて頂いています。前回の記事は書くのに3〜4時間かかりました (ありがとう夜のSゼリヤ。熊本にはサイzリヤはあまりないんです。中心街にはまさかの1店舗のみ。これには驚いた)

東京から出る前に、何人かの懇意にして頂いてる先輩や仲のいい友人に移住の件を報告したところ、グルメな方々が口を揃えて言うのは「おっいいね、ヨダレがあるじゃん!」「ヨダレが今までで1番だったわー」「とりあえずヨダレに行きなよ」とヨダレヨダレのオンパレード。全国のカレーフリークのあなたはすでにご存知かもしれませんが、熊本でヨダレと言ったら[ヨダレカレー]。人並みに都内の有名カレー店に足を運んだり、男なら誰しも通ると勝手に思ってる “スパイスカレー作り” をコロナ禍で勤しんでいた時期もある僕だが、恥ずかしながら熊本までの情報をキャッチできていなかった。

最初に行ったのは移住して2日目。熊本で初めてのお昼が、じつは[ヨダレカレー]。名前のインパクトもさることながら、その潔さと店の空気に驚いた。カレーはとても綺麗で上品で野生的で中毒性がある。カレーは2種類。丸鶏と野菜の旨み、スパイスと上質なオイルが合わさって、シンプルながらもその極みを確実に感じます。味覚を言葉で伝えるのは難しいけれど、あえて言うなら往年の名プレーヤー中村俊輔のフリーキック。ひとたびフリーキックの場面に俊輔がいるとどの角度、場所からでもゴールが必ず生まれそうな期待感。一つの動作を何度も探究し繰り返すから生まれる美しさ。同じ素材 (野菜や鶏肉)でも季節やものによって味わいは変わるので、オーナーのコウスケさんも日々研究を止めない。うまいこと言った気でいます。あざす!

初めて食べた[ヨダレカレー]。当時の携帯カメラが壊れていて謎の広角モード。食べたら分かるさ、この美味さ〜!

じつはRICE 7月号「スペシャルティ・カレー特集」でも見開き4Pで大きくかつ丁寧に取り上げられていて、細かいお店の歴史や美学をここでまた書き連ねるのもナンセンスかなと感じていますので、ここでは少し違った部分から(ちなみにカレー好きはぜひ見てほしい保存版です。回し者みたいですが本当に)

オーナー夫妻のゴヤさん&コウスケさんの魅力もこのお店を語る上では欠かせない。上熊して間も無い僕にもすごく優しい&多感で行動的。ヨダレと音楽は切り離せないくらい、お店で流れてくる曲からはふたりの生き様を感じます。早朝から仕込みが始まるのに、どこにそんなパワーがいつもあるんだろうか。

ヨダレファミリーに混ざって晩酌!美味しくて踊り始める息子のつーくん。ゴヤさんは帰りの代行を呼んでいる図。この時に代行現場を初めて見ました、私。

単に美味しいカレーを食べに来てるだけでなくて、夫妻やスタッフのみんなに会いに来てる人も半分以上いると思う。昼のオープンからはカレーを食べに来る人たちで一気に店内があふれかえる。料理が来るまでは楽しく談笑しているみんなが、着丼後 (カレーでもいうのかな?) には夢中かつ無心で丸鶏に本能のままかぶりつく様子は異様そのもの。カニとか食べたら黙っちゃうのと似てるのかも。あー食べたい。ひと通り食べた後、少しお皿に残るオイル。セパレートされているお米を全部移して綺麗に食べきりたい。。。

[ヨダレカレー]は毎日売り切れ御免スタイルで、営業しているのでランチのピークタイムを過ぎても、まだカレーを食べれるチャンスがある日もある。(インスタグラムに丁寧に売り切れの情報とかを更新してくれます)

14時過ぎに着いて何とかカレーに辿り着けた7月のある日のこと。カウンターでひとり辛口を食べていたら、横に大学生であろう筋骨隆々な若者が現れた。店主のゴヤさんと話してる様子から、彼が久々に熊本に帰ってきてヨダレに辿り着いたのを知る。確か部活のアメフトで前十字靭帯かどこかを怪我していた。久々に来た彼に、「◯◯君のこと、小さい時から知ってるからね〜、彼女できたの?好きな子は?」とゴヤさんは質問攻め。「大学の部活内のマネージャーに可愛い子がいるんすよ」と言っていた彼の恋路はどうなったんだろうか。話に混ざってるうちに2〜3時間は店に滞在。喫茶店かよ。

初夏に食べた時にヨダレから届いたDM。正直お米の具合に僕は気づけなかったけど、こんなに真摯な人いる?

ピークタイムの野生的でストイックな店内の雰囲気とは、全く別のEVISBEATSかのような放課後チルタイム。片付けや仕込みもしながらコウスケさんもしっかり話に加わるから、誰が来るかで、その日の帰宅時間が決まるのが常だそう(笑)

ふたりは人が好きなんだと思う。よく観察をしている。「彼のこういうところがいいよね〜」「あいつ頑張ってるよな」「ナオトこういうことしたら面白くなるんじゃない!?」とかそういう話をよくしてくれる。とてもポジティブだ。何を隠そうこの連載のタイトルである「Yadokari Life in Kumamoto」もじつはヨダレの2人によるもの。働いてる職場にコーヒーをふらっと飲みに来てくれた時、このコラムの話になって何種類もタイトルを提案された(笑)。その内の一つに「借り暮らしのモリエッティ」もあった気がしたけど、それだけにはしなくてよかったと心底思ってますよ。コウスケさん。

ヨダレチームは何をするにも本気。お店のオリジナルTEEを昨夏にリリースした時も、その本気度合いに驚いた。「やるからには全力で楽しむ」を仕事でも遊びでもやってる人はカッコいいですよね。

こちらが夏にリリースしたヨダレカレーのオリジナルTEE。熊本で着てる人をたくさん見かけるナイスデザインは、某有名外車のあれをサンプリングしている。マスターピース! 職場の[グラック]からほど近いセレクトショップ「and chill」のマサオくんがデザインを手がけたクールなルックも。来年にはこのデザインに一つ捻りを加えた新作も出るとか出ないとか。ください!

仕事でこれから1週間東京に行く途中の飛行機でこの文を書きながら、あーバタバタしてて東京前のヨダレチャンス作れなかったな。と唯一後悔の念に駆られている現在。僕も中毒者の仲間入りなのかな? これからも通いますよ!夏も冬も自転車でね。

[ヨダレカレー]是非皆さんも体感しに行ってみてください。

ヨダレカレー
熊本県熊本市南区田井島2丁目3−1 タイホウビル1階Google Maps
12:00-21:00(売り切れたら終了)
売り切れ情報はインスタグラムストーリーにてお知らせします。
火曜定休
IG @yodarecurry

Gluck Coffee Spot
熊本県熊本市中央区城東町5-52(Google Maps
7:00〜19:00
IG @gluckcoffeespot

Gluck Coffee Roaster
熊本県熊本市東区下南部3-12−24(Google Maps
11:00〜18:00
木定休(+不定休)
IG @gluckcoffeeroaster

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