NEW STYLE SOBA SHOP

産地による味の違いを食べ比べで グリーングラス


RiCE.pressRiCE.press  / May 12, 2019

住宅街にひっそり佇む、蕎麦店[green glass]。隠れ家的ムード漂う店だが、一歩中に入ればくつろぎの空間が広がっている。静岡出身の店主・関根美徳さんが提供するのは、手打ち蕎麦と静岡の酒、そして静岡おでんだ。日本酒は静岡県内の全酒蔵を取り扱い、酒を呼ぶ肴の数々にも、静岡産の鹿肉や猪肉など、都内ではなかなかお目にかかれない素材が使われている。

静岡おでん おまかせ盛り合わせ  ¥1,250

「蕎麦と静岡おでんを出せば、店の特色になると思ったので。東京なら、こういう偏った店でもなんとかやっていけるかなって(笑)」 静岡おでんは牛すじのダシをベースにした真っ黒な汁や、黒はんぺんが必ず入ることなどが特徴の、庶民的なご当地グルメ。しかしグリーングラスの静岡おでんは、具材のひとつひとつに丁寧な下処理を施し、黒はんぺんなどの練り物は添加物不使用の静岡産を使用、卵はおでんでは珍しく半熟状態で供するなど、細やかで上質な仕事が光る。

肝となる蕎麦は、日によって産地が異なる二産地食べ比べ、三産地食べ比べが人気メニュー。毎朝、石臼で製粉する手打ちの十割蕎麦は、茹でたてをまずはひと口、何もつけずに口にすると、産地によってまったく異なる味わいが広がることに驚かされるはずだ。
「蕎麦も産地によって、こんなに香りも味も違うんだと知ってもらえたら。最近は海外のお客様も増えてきました。なるべく農家さんとは、直接やり取りできるようにしているので、そうしたお客さんの声を伝えますし、それを聞いた農家さんもやる気が増して、さらにいい蕎麦を作ってくれる。そういう好循環が生むことが目指すところですね」

三産地食べ比べ ¥1,300
右下から時計周りに長崎県対馬の在来蕎麦、長野県山形村の乗鞍在来、茨城県笠間の常陸秋蕎麦。

蕎麦は実の保存から製粉方法、麺打ち、茹で方まで、非常に扱いがシビアな食材だという。
「 僕にとって蕎麦の最大の魅力は“香り”。しかもその香りのピークは茹でたての数十秒しか保ちません。その一瞬で変わる所もまた魅力です。手間はかかりますが、まだまだ蕎麦を追求していきたいですね」

店名の由来は3度のG1タイトルを獲得した同名の競走馬。馬好きの店主らしく、店内のそこかしこに馬の置物やグッズが置かれている。静岡おでんや魅力的な肴も揃うが、あくまで蕎麦店。「蕎麦の注文をされない方はご遠慮願います」とのことなのでご注意を。

グリーングラス
東京都新宿区上落合3-28-9
12:001400 18:0022:00
日、月曜昼、金曜昼、定休
http://green-glass.info/

撮影 きくちよしみ、文 斎藤春子

当記事はRiCE No.10「蕎麦の新作法」の記事をWEBサイト用に再編集しています。
RiCE No.10の内容を見る。

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