連載「店とTシャツと私」#6

[Big C]の話


So IgarashiSo Igarashi  / Jan 25, 2026

[Big C]。タイの街の風景に溶け込む大きな赤いCこと、タイを代表する大型スーパー。

[Big C]のはじまりは、1993年。タイ最大級の流通グループであるCentral Groupによって設立され、ほどなくしてバンコクに1号店を開く。広い売場に、日用品、生鮮、家電まで、いわば「生活のフルセット」を、まとめてバンコクにドンと置いたのがはじまりである。買い物かごというより、もはや小型の引っ越しトラックが似合う店の登場だった。

転機は1999年。アジア通貨危機後の再編の波の中で、[Big C]はフランスのCasinoグループの影響下に入り、外資主導のフェーズへ。ここで[Big C]は「大きい店」から「強いチェーン」へ進化した。そして2016年。[Big C]はタイの五大財閥のひとつ、TCCグループの傘下となり、ふたたびタイの資本に戻ることで現在の展開の骨格が固まっていった。大型スーパーのフォーマットであるSupercenterを核にしながら、Extra、Market、Foodplace、Mini、そしてOnlineと、生活者の距離に合わせてさまざまなフォーマットを展開し、買い物のシーンごとに「ちょうどいいBig C」を用意したのだった。ちなみに[Big C]という名前は、ただデカいからBigなだけではない。公式によると 「C」はCustomersを意味すると説明されている。つまり「大きいのは店じゃなくて、顧客への気持ちです」と言っているようなものだ。もちろん実際には売場もちゃんと大きいので、両方大きい。二冠である。

わたし的に[Big C]がおもしろいと思うのは、ロゴのデザインがやたらと正直なところ。赤・黄・黄緑という配色は、上品に寄せる気配はまったくない。むしろ「見つけろ」「入れ」「買え」と、色が直接語りかけてくるような商売根性をストレートに表現しているようにすら思う。ロゴというより、生活者に向けた巨大な号令。スーパーに必要な能力は、ポップさや上質なウィットではなく、ストロングスタイルの商い的腕力なのだと教えてくれる。そしてBigよりも、主役は巨大なC。文字を読ませる前に、記号として成立している。外観の巨大サインとしても、値札に入れても、アプリのアイコンになっても、この赤いCは即座にBig Cだと分かる。言い換えるなら、[Big C]のロゴは「ブランドロゴ」である前に「道しるべ」だ。買い物が目的地になっている。まじめに考察すると、このデザインはBig Cの展開の多様さと相性がいい。Supercenterでも、Miniでも、Onlineでも、このCがいる限り全部[Big C]。フォーマットが変わっても人格は変わらない。案外そのあたりはちゃんとしている。

そんな、今日もタイの街のどこかで、タイの誰かの支えになっている赤いCこと、[Big C]。

このロゴをサンプリングして作ったのが、幡ヶ谷にあるタイ料理店、[maama]のTシャツ。

バンコク出身のオーナー、ビンさんが手がける立ち飲みスタイルの[maama]では、ほどよいポーションで、センス溢れるちょうどいい味付けのタイ料理を堪能できる。辛いもの好きのエスニックナードから、エスニックビギナーまで、まさにBig Cのように多様なお客さんの気持ちに寄り添ったタイ料理。

ちなみに、去年バンコクに行った時に[Big C]に行ったところ、さすがにこんなデカデカとプリントされたスタッフTeeは存在しなかったけど精肉コーナーのスタッフは[Big C]ロゴが刺繍されたキャップを被っていた。そしてその時、せっかくなのでこのmaama Teeの撮影を店内でしようと思ってサンプルverを持っていったら、黄緑のインクの指定を間違えて作ってしまったのでかなりパチモン感が強い感じになってしまった。もとがサンプリングなので、パチモンもなにもないのだけれど。どうか[Big C]も、これぐらい潔いスタッフTeeをオフィシャルで作ってほしい。わたしが欲しいので。

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