一期一食

016. Deep dive OKINAWA—食農一体のしなやかさ—


Orito HamadaOrito Hamada  / Jul 4, 2020

SPiCYSOLのO-EASTのライヴが終わった直後、僕は石垣島に飛んだ。引き続き配信ライヴだったが、その状況にも少し慣れてきている自分がいた。エンターテインメントの形もこうやって時代とともに変わっていったんだろうな。僕がプロになった時代がたまたま大きな試練がなかっただけなんだろう。本人的には今まで生存できたくらいの心意気は流石にこの年齢になれば多少はあるけど、歴史を見れば、まだまだ自分の甘さが見えてくる。自分の中の音楽家像を漠然と持ちながらやってきたけど、更に目指すものが難しくなっている。とんでもない課題をもらっちゃったなとこのときから、漠然と思い始めたんだった。

今回は石垣島でのステイだけでなく、西表島にも行って、自然に身を任せてもいた。
そこで出会ったのが、一隼(いちたか)だ。沖縄の恵みを思いっきり使い尽くして楽しませてくれた。

まずお通しでフルーツが。

なんでこんなに嬉しい気持ちになるんだろうね、こういうの。
食べながら、頭はどんどん切り替わってきた。

とにかく暑いので、パッションフルーツやドラゴンフルーツのサワーが体の隅々までしみる。フルーツを食べながらお酒でリラックスして、火照った身体を涼ませることからスタート。冷たいジョッキがライヴ食後の右手のハリや熱を抑えてくれる。

ここは、“沖縄料理とpizza”と名乗っていて、店内にとても立派なピザの薪窯がある。沖縄料理とピザーーー、完全にその料理の距離間でワクワクが止まらない。距離感があるものを取り合わせられる人が創造性を掻き立ててくれてやっぱり好きだ。一つ一つの料理を食べていると、身体に元気が出てくる。沖縄料理って本当に生命力がある料理が多いよね。ガストロノミー文脈でも深堀りしてみたいところだなぁと、密かに思ってる。

魚が本当に美味しい。暑い地域の魚はなんとかだという話はたまに聞くけど、そんなことないです。本当に美味しい。滋味あふれる魚をたくさん食べて、フルーツのサワーをいただく。普段はこういう取り合わせの食べ方はあまりしないけど、ここに来ると、これが心地良い。身体が自然と求めているんだろうな。

汗もたくさんかいたから、ついお酒が進んでしまう。フルーツも美味しいので、食べているような飲んでいるような。パインの生搾りなんて聞いたことないよ。

沖縄らしい料理も当然あって、

食べながら、締めはピザ。

と思ったんだけど、フルーツのシャーベットが。。。

お酒よりも果汁に包まれたいという感覚が完全に勝っていた。その地域にいるとその地域の食べ物を体が自然と欲するんだなと思った。

このレストランの面白いところは、農園を併設しているところだ。と書くと、以前よりも新しさはないと思われるかもしれないけど、ここは農場が先ではなく、レストランが先らしい。移住してレストランを始め、地域で愛されるお店を作ったことで、地元の農家さんから農園の継承をお願いされてやっていると聞いた。

農業は本当にこれから課題がどんどん出てくるんだと思う。しかし、こういう人とのつながりや出会いがまた未来へつながっている。6次産業とか言葉にしてハイ!終わりではなく、継続性と人々の営みにもっと光が当たればいいのになって、音楽業界の片隅で黒子のように日々研鑽している自分でも感じるところだ。

この日の次の日、満月でサガリバナを見に行った。心も体も魂も現れた数日だった。
また頑張ろうって素直な心で思えた。

一隼

沖縄県八重山郡竹富町 字上原10-720
17:00~23:00
不定休
https://www.iriomotejima-ichitaka.com

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