curry note on RiCE
初めてのインド、南北横断。カレー好きデザイナー、とうとう本場へ。05
ケララ州巡礼から読み解くインドの日常
この日は朝からフォートコチとアレッピー、エルナクラムなど、ケララ州の各地を車で巡る日。日本で手配しておいた、英語が喋れるガイドさんと一緒に車で運んでもらう。
▲ ホテル近くのキリスト教会。前日の雨が入ってきていたのを皆で掃き出していた。前夜のうちに雨が止んで朝から晴れていたので、濡れた植物が綺麗
フォートコチ周辺から車で1時間程度で、アレッピーの街に着く。バックウォーターという運河を、船に乗って川下りするレジャーをしに。奇跡的に最高の天気だったのだけど、時期としてはギリギリ雨季のため、観光客はほぼゼロで河はめちゃくちゃ空いていた。シーズンにはたくさんの船が同時に運行されるんだろうなあと想像できる、数多くの船が乗り場に。各船のスタッフみんな暇そうにボーッとしている。運河をほぼ独占状態で、乗っていたインド人3人全員が無言なのがウケる。 2時間かけてかなりゆっくりと巡ってもらった (ゆっくりすぎてガイドは爆睡していた) 運河の左右の土地には普通に人々が生活をしていて、その様子が観察できるのも面白い。普通に河で洗濯や釣りをしていたり。こちらから見ると中洲に見える場所で、田んぼのような広大な草むらがあったので、ガイドを起こして質問。 そこではかなり多くの米を作っているらしく、ケララ州のバスマティ米はブランド米的な高級品なので現地の人は食べないらしい。 雨季に超雨が降る場所で河のすぐ側で稲作しているのはびっくりした (水没しないのかな? ) 泊まっているホテルのカウンターのお兄さんにその話をしたら、自分の実家もアレッピー付近で米農家をしているとのこと。米はよく売れる、だから自分は教育を受けられた、と言っていました。
▲ みんな暇そう
▲ 最初だけ起きていたガイド
▲ ジャングルクルーズ・ケララ版。船が超広い
▲ 写真スポットだらけ
▲ プールに入りながらこちらを確認する子供たち
▲ 釣りをするご婦人。昼飯のおかずでしょうか
▲ 生き物みたいな船。新婚旅行や欧米人観光客など、こんなかんじの家のようになっている船に泊まりながら観光するらしい
川下りが終わった後は定番の土産物屋に連れ込まれ、シルクのスカーフやら宝石やらを見せられる。ガイドが店と結託しているのは明らかな空気だったけど、これも記念……と店のお兄さんの根気に負けて指輪を買いました…… そこからコチ周辺へ戻り、何人かにオススメされていたGrandHotelのレストランへ。ここはHotelという名の食堂ではなく、本当に “ホテル” の一階にあるレストランで、宿泊客だけでなく地元の家族連れがちょっとリッチなランチをしにたくさん訪れていた。 ドアマンがトラディショナルな格好をした髭紳士。レストランのボーイさんたちもビシッとスーツで、サービスもとっても良かった。
▲ この地方ならでは、のアレッピーフィッシュカレー。白身魚とココナッツ
▲ 左はビーフドライカレー、右はオムレツカレー、奥にパロタとライス
▲ 最初はボーイさんが各皿にサーブしてくれます
▲ カレーは地方ごとにページが分かれたメニュー。 たくさんありすぎて全部食べたいけど1週間くらいかかりそう
南地方でキリスト教徒が多いからか、ビーフメニューがある。牛肉は、調理法がドライだったからかもしれないけど、かなり固めでギュッとしていた。日本のビーフカレーとは全く違います。 オムレツカレー、半熟のオムレツがそのままカレーに沈められているような感じでかなり美味しく、卵が使われているから甘めかと思ったら、から〜〜〜〜〜い! ! !パロタがふわふわで美味しかったな〜 きちんとしたサービスがあるので、少し高めの金額。ここまで来て思ったのは、店による金額の違いは、サービスや安心感、清潔感にお金を払っている感覚。フレッシュジュースも美味しかったー。 ランチを終えて、スパイスをマーケットで買って帰りたい、とガイドへリクエストして、エルナクラムの市場へ連れて行ってもらう。ケララ州のスパイスは質が高いという噂だけど、果たして?
▲ 店先にてんこ盛りになるスパイス「MASALA CENTRE GUJARATI SHOP」
▲ 地下から2階までぎっしりのスパイス
▲ 返品不可の標語
▲ インドのお店でよく起きた、誰が店員で誰が客なのかわからない現象。人が多い
▲ お姉さんの早口接客。服が可愛い〜
どうやら家族経営で、接客してくれたお姉さんが娘、店頭のスパイスの山の前に鎮座してぶすっとしているのがボスのお父さんみたい。値切ったらボスに許可を取って安くしてくれた (けど、いらないサフランとかもいろいろ付けられた) 自分ではスパイスカレーを作らないけれど、周りの作り手たちのために、カルダモン、カレーリーフ、ブラックペッパー、クミンを調達。日本よりはるかに安いし、粒が一個一個大きい!山から量り売りで銀の袋に詰めて、その場でシーラーの真空パック。普段から大量に仕入れてフレッシュなうちにさばかないとこういう売り方出来ないよな〜。後日使った人から、香りの爆発力がすごかったと感想もらいました。
▲ 車から見えたデコトラ、ハンドメイド感がすごく良い
夜まで時間があったので、ホテルの近所にあるカタカリ・センターに行ってみることに。現地で調べてみるまで知らなかったけどケララ州の伝統的な舞踊らしく、欧米人観光客のためにそれを見せる施設。かなりシュールで衝撃的だった……。
▲ 踊り手が化粧をする段階を見せてくれる。女性役も男性がやる、歌舞伎的世界。目がうつろ……
▲ 完成系がこちら。本人たちは一切喋らず、BGMは太鼓と後ろに控えた歌い手の男性の掛け声だけ
言葉が通じなかったり、教育を受けていなかったりしてもわかるように、セリフやストーリーはすべて手や表情の動きだけで表現される。なので、顔芸! ! て感じでかなりシュール。 (こんなに派手な見た目なのに、クライマックスまでほぼ突っ立ってるだけで顔しか動かなかった……) YouTubeなどで検索してみてください。 どっぷりと暗くなった夜、街の雰囲気にも慣れてきたのでホテルから出て、近くの食堂・dal rotiへ。友人にオススメされていた地元の食堂。余計な飾りはない、壁・机・椅子だけなのに、なんとなくセンスがある無骨なかっこよさ。
▲ ロゴいけてる
▲ ベジターリー、豆メインのさらさら系、辛さゼロ。ネパールのダルバートみたいな優しさ
▲ チキンカティロール。ピタロールみたいな、ローカルフード。パロタにロールされたチキンが具に。酸味と甘みがある味付けがクセになる!めちゃくちゃ美味かった
次回、南インド3日目にして最終日〜北へ向かう。
- Graphic Designer
宮崎 希沙 / Kisa Miyazaki
カレー大好きグラフィックデザイナー。新宿の「curry草枕」でたまにアルバイト。東京のカレー屋さんを食べ歩いたレビューをまとめ、2010年より毎年発行しているzine「curry note」がライフワーク。自身が運営する自主出版レーベル「MESS」などで販売。
Instagram #currynoteで日々のカレー記録中。30歳を機に内臓脂肪と戦っていますがカレーは食べます。
http://kisamiyazaki.com