一期一食

#39 水が決まれば、料理が決まる


Orito HamadaOrito Hamada  / Jun 18, 2021

いつも仲良くしている画家の若佐慎一くんが、地元に凱旋して個展を開くというので、仲間内で観に行った。音楽で例えがちだけど、これは僕らにとってのコンサートと同じであり、彼なりの表現の集大成。やっぱり、その場に行って見ないとわからないことがたくさんあるのは、一緒だと思っている。昨今、さまざまな領域でチャレンジをしている彼だけど、絵の表現が僕はやっぱり一番好きだ。作品は素晴らしい物ばかりで、迫力が違っていた。彼なりのさまざまなものに対するリスペクトとチャレンジ。ジャンルは違えど、いつもたくさん刺激もらえるし、置きにいっちゃいけないよね、って思わせてもらってます。

僕と同じように数人が東京に来ていたので、彼が大切なお店に連れて行ってくれた。市内より少しだけ離れた宮島にある[AKAI]というお店だ。

古民家をリノベーションしたカウンターのお店である。オーナーの赤井顕治さんの美意識が行き届いた設えのお店だ。あえて僕は、ジャンルの話をしないタイプなので、細かいことは言わないが、赤井さんの料理は、繊細なイメージだ。言うよりもまずは、いつも通り料理の写真を。

スナップエンドウのお粥。最初にこう言うお皿がくると、それまでの時間が綺麗にリセットされて、ここのお店を楽しむモードに入っていく。本当に優しい味だった。

倉橋島のもずくにバージンオイスター。ジュレの涼しさよ。このオイスターめちゃくちゃ濃厚だったな。もずくとジュレがあるおかげでバランス感がたまらなかった。

唐津の黒鮑、三好市のアスパラ。火入れとアスパラの味の深さが印象的だった。

子羊のソーセージ。羊の風味が口中に広がって、美味しかったな。味はしっかりあるのにやっぱり優しい。なんだろう?ってここから思い始めた。

唐津の赤真鯛、新生姜のお粥。ここでお粥が入るんだ。後で納得するのだった。

鹿、腰のあたりのロースを藁でスモーク。鹿のソース、わさびと共に。
黙って向き合っていたら、あっという間に食べ終わっていた。

滋賀県の木下牛の胸肉のハヤシライス。〆にこういうのサラッと出してくれるあたり、好きなんだよなぁ。

デザートはプリンだった。このプリンもやっぱり優しかった。

先から、似たような言葉をたくさん書いていたけど、これは食べた時の感想をそのまま書いた。なんでだろう。ずっと気になっていた。それには理由があった。食べ終わった後に聞いたら、赤井さんがここにお店を開くことを決めた理由の一つが水だという。ここの水がないと僕の料理がまとまらないと仰っていて、全てに納得がいった。でも、そういう考えでお店の場所を決めるってやっぱり純粋にすごいなと思った。僕も見習うところがいっぱいある一夜だった。

茶道でも名水点という、お水にフォーカスしたお点前がある。一服頂く前にまずお水をいただくお点前だ。水が決まると料理が決まるって、すごく心が引き締まる思いだった。確かに以前某パン屋さんが、水の硬度でバケットの仕上がりが変わることにすごくシビアになっているという話もあったし、お酒の仕込み水だってそうだし、お寿司屋さんのシャリに使うお水だってそうだ。そういう思い込みはやっぱりいけない。もっと純粋に楽しめるようになりたいな。

その後も、他のお料理のお話を聞いて、食べたくなる料理がたくさんあったので今年のツアーで広島に行くときはまた訪れたいなと思っている。

AKAI
広島県廿日市市宮島口4丁目3ー41
JR山陽本線宮島口駅 徒歩8分
JR山陽本線宮島口駅タクシー約3分

要予約
Instagram@akai.hiroshima

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